未神楽ミコ。わたし神様だよ。
第5話 神様はダンスが好きだったよ。
朝が来た。日曜日の朝が来た。
冬休みのさいごの日の朝が来た。
わたしは、お父さんがつくってくれた、あさごはんを食べた。
でもって、みんなで食器を洗ったあとに、アニメを
エンディングで、ダンスをおどる、女の子がたたかうアニメを
そしてアニメを
「つまりミコ様は、日本の最高神、アマテラス・オオミカミの生まれかわりなのです」
「オオカミ? わたし、オオカミの神様なの?」
「ちがいます。
「プチ家出! わたしもやった! 神社のすぐそばにある石階段のところで!
お父さんにおこられて、そこにかくれたの!
けっきょく、一時間くらいで帰ったけど」
「しょぼい!」
「しょうがないでしょ。家出をしたのは一年生のときだよ?
アニメがはじまっちゃうもん。今、ちょうどテレビやってるアニメの、まえの、まえの、まえの、まえのやつ。
エンディングのダンスはいっしょにおどるでしょう?」
「しらん」
「しょうがないでしょう。一年生のころだよ?
ふつうは、いっしょにダンスをおどるでしょう??」
「しらん」
「アマテラスも、プチ家出から、ダンスを見たくなってもどります」
「わたしとおなじだ!」
「そして、そのダンスをおどっていたのが
「そうなんだ!」
「うん♪ だからボクは、歌とダンスがダイスキ!」
サラサラの金髪ツインテールと、水色のフリッフリッでふわっふわのワンピースが「ふわりん」とゆれた。そして首にかけている、おっきなペンダントみたいな、あおみどり色の鏡が「キラリン」とかがやいた。
カワイイ、本当にカワイイ。お人形さんみたい! フランス人形!
そっか……わたし、本当に神様なんだ。
オオカミ……じゃない、アマテラスっていう神様なんだ。
ん? でもまって、しょぼくない? アマテラスってしょぼくない?
だって、うちの神社ってぜーんぜんご
わたし、ぜーんぜん彼氏できないよ??
わたしが首をかしげていると、
「
え? どういうこと??
お父さんが、コーヒーをすすりながら、
「そうだよ。この神社はたしかに
「え? ホント??」
女の子がたたかうアニメのオープニングがはじまったときに、コーヒー豆をガリガリとひきはじめて、CMに入ったときに、わかしたお湯をポタポタとそそぎはじめて、ちょうどエンディングのダンスがおわったときに、ようやくこだわりのコーヒーをすすりはじめたお父さんは、話をつづけた。
「ホント。
そして、ミコが大きくなるにしたがって、ご
「え? 本当に本当??」
「本当に本当。ちなみに
その時間なら、ミコのご利益を確実にさずかることができる」
「本当!? 本当に本当???」
「本当に本当に本当。
ちなみに、
そうでもいわないと、お
なんてこった。
わたしは昨日、自分にお願いしようとしてたってこと?
自分に「イケメンの彼氏ができますように!」ってお願いをしようとしてたってこと??
え? ちょっとまって??
てことは、わたしのお願いってだれにたのめばいいの??
「イケメンの彼氏ができますように!」ってだれにたのめばいいの??
なんてこった。
神様ってちっともいいことない。
うううぅ……本当に不幸だ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます