第3話 チャリ
最近の俺はメタボ気味だ。飲んで食ってブクブクブクブク太ってきている。シェイプアップも兼ねて通勤をチャリでしようとチャリを購入した。ガソリン代の節約にもなるしな。買って3日目にサドルをパクられた。代わりに西瓜が刺さっていた。ムキィーーーー。俺は切れそうになったが自制した。警察を呼んで被害届を出した。やって来た巡査は刺さった西瓜を見て笑いを堪えるのに必至だった。俺は会社に遅刻してはと思いその西瓜の刺さったチャリで全速力で漕いで行った。道行く奴らはそんな俺を見て侮蔑の眼差しを向けた。西瓜に座るとツルツル滑った。俺は代わりのサドルを注文して新しいサドルが届いた。これで明日から普段通りの通勤だと安堵した。翌日。無い、無い、無い。ヤラれた。またサドルを掻っ払われ今度は南瓜が刺さっていた。くそったれ奴が。瓜は瓜でも今度は南瓜で攻めてきやがったか。こん畜生が。俺の脳裏にかみさんが過った。彼奴の仕業に違いねえ。間違いない。俺はかみさんを問い詰めた。「俺のサドルをパクったのはお前だろ。お前以外考えられねえんだよ」「あたし、そんなの知らないよ。あんた、バカじゃないの。そんな、しょうもない事あたしはしないわよ」俺はかみさんと一悶着してる間にまた会社に遅れそうになったので仕方なく南瓜に座ってチャリを漕いだ。南瓜はゴツゴツして座り辛かった。道行く奴らはそんな俺に異端の眼差しを向けて畏怖していた。夕刻、仕事を終えて家に帰るとテレビからニュースが流れていた。「最近、シャイアンで連続して多発していた自転車のサドルの窃盗犯が今日の朝に逮捕されました。容疑者の自宅からは250個のサドルが押収された模様であります」後ろを振り返るとかみさんがしたり顔でにやついていた。翌朝。サドルの南瓜が取り外され果物ナイフがガムテープでグルグル巻きに固定されていた。
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