5  卒業


あの日以降なぜか僕たちは疎遠になった。

僕は僕で去るもの追わずの精神で穂波に自分からアプローチをかけることはなくなった。


穂波からこちらに来ることもなかった。

僕たちは夏の特別授業では進路別に変わるため違う教室になり、お互いに廊下であっても最低限の会話をするにとどまった。


そして夏休み半ばになり、僕は3年間をかけたIH《インターハイ》が3回戦で終わり、大学の受験勉強が始まる中、バスケ部のマネージャーの子に告白された。もちろん、断ったりはしなかった。


以前よりはうまくやっていたと思う、僕はマネージャーの女の子と何度かデートを重ね、お互いに受験勉強の息抜きに海に行ったりカフェを巡ったりした。

彼女はポニーテールがよく似合う愛嬌のある子で、3年間部活で一緒だったためお互い気兼ねなく喋れた。

僕たちは3回目のデートの帰りにキスをした。交際は順調だった。


でも僕は最低だった。

唇を重ねた時に思い出したのは花火大会の日の、観覧車で見せた穂波の照れた顔だったから。


時は過ぎ、高校卒業を迎えた。充実した3年間だった。

バスケ部のみんなにはマネージャーと付き合ったことがバレていじられたり、クラスで先生のサプライズ企画を中心となって進めたり、と最後まで充実していた。


この高校に進学して良かったと思えた。無事第一志望だった大学にも合格した。穂波とは、特に言葉を交わすことなく、僕たちは離れていった。



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