3  対立


その後も僕は何人かと付き合っては別れてを繰り返して気がつけば高3になっていた。うちのクラスは進学校なので3年時は気合が入る。

そして、この春学期は英語でのプレゼン発表で毎日が忙しくなってきていた。

そして、その中で穂波に出会う。


といってもただのクラスメートと一緒に英語でのプレゼンの準備をしただけだ。

その頃には僕は周りから女に手を出しまくるチャラいやつとして周囲から認識されており告白されることも減っていた。

そのため自分にしては珍しくここ数ヶ月は彼女がおらず、一人自由な時間を満喫していた。

当時の僕は勉強と部活に本気で取り組んでおり、この英語の時間もその1つだった。

そのためいくつかの班に分かれて週1回取り組むプレゼンのアイデアや進行も自分から積極的に進めた。

僕は英語においてクラスで優秀だったし、大体の場合において自分の意見は正しいとどこかで思っていた。


だからだろうか、穂波がプレゼンテーマで真っ向から対立してきた時は驚いた。


「このテーマだとわかりづらいよ!」

「これじゃあ反論されるし、結局何を伝えたいの!」


何度となく僕の考えは否定された。

彼女とは全くもって意見が合わなかった。

何か個人的な恨みがあるのか、と思うほどこちらの意見に対してまくし立てるように正論をぶつけてくる。

どうやら向こうも自分が正しいと信じて疑わないタイプらしい。

しかも悔しいこと彼女の意見はそのどれもがかなり的を得ていた。


僕は初め、真っ向から対立してくる彼女にイラついていたが、次第に彼女という人に興味が出てきた。

他人に、特に異性に対して興味を持ったのは久しぶりのことだった。

本気でぶつかったプレゼンは、班のメンバーに仲裁されながらも進んでいき、僕たちの発表はその週のクラスの発表では1番の出来だったように思う。


今思えば、その一件から僕と穂波は仲良くなったと思う。

本気で意見を戦わせて、ぶつかり合うことで見えてくるものがある。これは部活でも勉強でも同様らしい。


しばらくして、チャラ男扱いの一件のせいで女子に嫌われている僕にとって、穂波は大切な友人の一人になっていった。



そして夏休み、初めて自分から女の子を花火大会に誘った。


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