第一章
第1話
人は一人では生きることができない。
ある意味正しいことであり、世の常識だと言えよう。
しかし、現実は一人にさせようとしているのではないだろうか。
大家族が核家族となり、恋人がほしい、愛がほしいと
書店に並ぶのはジャンクフードのように甘く、栄養の無い作品だらけ。
一体どこまで人を馬鹿にすれば気が済むのだろう。
最後に消える時は一人だ。
その時は一人だが、それまでに一人では無いように努力するしかないのだろう。
大男を倒し数日が経った。
スロウスとラストは海に近いショッピングモールのランジェリーショップで買い物をしている。
「面倒臭い」
怠惰な彼は無意識に呟き、視線を下着を吟味しているラストから店の奥にある試着室に変える。
試着室の扉の隙間から鏡ごしに女性の肌が見える。
「ねぇ、
ラストが振り向くと明後日の方向を見ているスロウス。
彼の視線を追うと試着室がある。
「むぅ!」
彼女は頬を膨らませながらスロウスに近づき、彼の頰を強く握り、無理やり振り向かせる。
「痛っ! なに!?」
「
「試着室」
「ほほぉ、
ラストはそう言うと涼を自慢の胸に押し込む。
胸の弾力とほのかに香る女性の匂いが涼を覆(おお)う。
いい匂い……息ができない……苦しい。
「ぷはぁ。あのー
「むぅ、なんでフルネームで言うの?」
「きみが言ったからでしょ」
涼は死んだ魚のような目で悠を見るが、彼女は満足した表情。
周りは「ふふっ」と笑う人たちや羨ましく思う人もいる。
周りからすると仲の良いカップルだなと認識しているのだろう。
心の中で「実際はそれ以上なんだよなぁ」と涼は思っていると、一階からなにかが
「なに?」
「悠、行くぞ」
「えぇ」
涼と悠はすぐに店を出て、一階を見ると粉々に壊れたオブジェと逃げ待とう人々、そしてひとりの男が「ふはははははは」と高らかに笑いながら、置いているものを壊していく。
その光景を見て涼は「うわぁ、面倒臭い」と呟く。
涼と悠の通信機から着信音が流れる。
二人ともボタンを押すとエンヴィーの声が聞こえる。
「スロウス、ラスト、ヴィランが現れた」
「えぇ、笑いながら物に当たってる」
「目視できる距離にいるぞ」
「なら頼む。討伐だ」
二人は真剣な眼差しになり「「了解」」と返事する。
「ラスト、行くか」
「えぇ、スロウス☆」
そう言い二人は男のところへ向かうのだった。
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