傍オリ2話

きおを呼び出したあの日から、何日が過ぎただろうか。

自分の罪深さに絶望したあの日から。俺は、家に引き篭もるようになった。

きおに合わせる顔もなく、独りを好んだ。きっと朱音や翠も俺に呆れていることだろう。

外部とは連絡を一切取らなくなり、自分だけの世界に入り浸る。

寝て、ネットを周回し、時々きおのことを考え吐き気に襲われる。これを繰り返す毎日だ。

幼馴染として俺は何も出来なかった。

目の前にいる親友を俺は見捨てた。

二人にも見放されて、俺には生きる理由などないように感じられる。

だが、生理的欲求を満たす為にまた今日も息をする。


いつも通りSNSを開く。

しばらく、絶えず更新される呟きに目を通していた。

休日の為か、いつもよりも情報が多い。


「....は?」


スクロールを止める。

今見たものに対し俺は思わず声を漏らしていた。

反射的に手が薄く埃を被るスマホに伸びた。

電源をつける。

眩しく光るパネルには無数の通知が表示されていた。


通知には朱音と翠から各々、沢山のメッセージが入っていた。

詳細を見ると心配する声とクラスであったこと、が述べられた。

其処で始めて、俺は勝手に幼馴染との間に壁を作っていたことに気づかされる。

二人を置いて、俺は傍観者になろうとしていたのだった。

待ちきれずメールを入れる。

「今から空き地集合な」


連絡を入れると、空き地にすぐに翠と朱音が集まる。

なぜ集められたのか、二人には大方予想が付いたのだろう。

俺は待ちきれなくなり口を開く。


『有村が、だよな』


二人は頷く。

少しの安心感と現実だという認識を手に入れる。

そして、次の言葉を捻りだす。

『実はさ、俺––』


『有村が死んだ原因、知ってんだ』


「....え?」

予想だにしないであろう言葉に二人は声を漏らす。

俺は空かさずに続ける。

「引き篭もってる時、一つの炎上事件を見つけたんだ。

その呟きは、有村のアカウントからのものだった。」

二人は静かに話を聞いている。

「前に朱音がクラスの女子の自撮りを見つけたと送ってきたんだ。

その自撮りが投稿されてるアカウントのフォローを辿ると大体の女子のアカウントがわかった。

その中に、有村のアカウントがあったんだ。

そして、そいつらのリストを作った。

まぁ開くことは殆どなかったが。」

其処までいうと翠が声をだし、途中で詰まらす。

「炎上した呟きって....」

予想される質問の返答を返す。

『それは、いじめに関する呟きだった』









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原色、モノクロと化す。書き直し。 傍氏。 @tanenso

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