第14話 ナンバーワンの憂鬱②
まなつさんがドライバーを始めて2週間程経ったある日、シンデレラの事務所に行くと社長がいた。
「池永さん、ちょっと羽根田君借りるわよ。羽根田君ちょっと申し訳ないけど、○○駅まで送ってもらえる?終わったらすぐ終わる用事だから。」
というわけで、社長の送迎に・・・。今日も車で来ているのに珍しいな。
車に乗り込んで、しばらくして社長が口を開く。
「まなつのドライバーはどうだった?」
「元々気遣いが出来る人ですし、運転も上手いので良いとは思いますよ・・・。」
「羽根田君、ひょっとしてまなつがドライバーをしてる理由は見当ついてる?」
いきなり切り出してきた。
何となくは見当はついている。
「ネットですよね?」
「やっぱり気づいてたのね。」
ネットの掲示板では風俗店に関して色んな書き込みがある。店ごとにスレッドが立つのは勿論、人気嬢なら個別にスレッドがあったりする。まなつさんもその一人だ。
この掲示板でまなつさんはかなりひどい言われようなのだ。
・調子に乗ってる
・社員やドライバーに媚を売ってフリーの客の仕事をもらってる。
・どうせ生本番してるんじゃない?
こんな感じの書き込みが結構あった。ただし、よく見ると書き込んでいるIDは二つだけ。
書いてることは勿論事実無根だ。まなつさんはスタッフだけでなく他のキャストにも親切だし、そもそも人気嬢なのでフリーの客が入る隙間はない。本番に関しても本人は何も言わないが、性格上やらないだろう。
「内容からして店の誰かなのよね・・・。店長や社員は違うと思う。わざわざ売り上げに悪影響が出るようなことはしないだろうし。キャストの誰かなんだろうけど、ある程度は見当はついてるのよね・・・。」
確かに書き込みの内容、送信した時間を考えあわせれば、自然と書いた主は限定できる。
「まあ、ちょっと他のキャストの様子を気にかけといてくれる?まなつには戻ってきてもらわないと困るのもあるけど、他の子達が知るようになったら次は自分かもって疑心暗鬼になるだろうから。」
「はあ・・・」
そう言われてもどうしていいかわからないが、社長命令なのでそれ以降キャストの様子に気にかけるようにすることにした。
つづく
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