第10話 地雷客

レイナ嬢のような地雷嬢はどこのお店にもいるが、客の方にも地雷がいたりする。

実際の所、我々ドライバーはお客さんと接することが殆どないので、嬢からの話でしかその存在を知ることが出来ないのだが・・・。



ある日のこと、その日はシンデレラでの勤務。キャッチの指示が来たので、現地に向かうことに。キャストは雪菜さん、まあまあの人気嬢だ。


車に乗り込んで売り上げを受け取り、事務所に車を走らせる。


雪菜さんはお疲れ様ですと言った後は、一言もしゃべらない。心なしか表情が暗いし体調も悪そうだ。



しばらく走らせると、おもむろに雪菜さんが口を開く。

「今のお客さん・・・」

「どうしました?」


「死ぬほど臭かった・・・。」

「・・・マジですか?でも事前にシャワー浴びますよね?」


「部屋も臭いし、シャワーを浴びても体は臭いの・・・。とどめに口臭も・・・」

「それはきついですね・・・」


「悪い人じゃないの。話し方も丁寧だし、触る時もちゃんとこっちに聞いてから優しく触ってくれるし。でもあの臭いは無理・・・。」

「どんな匂いなんですか?」


「魚市場のゴミ捨て場を10倍濃縮した感じ・・・」

「・・・」


「結構私のこと気に言ってくれたみたいだけど、次からはNGにしてもらうつもり・・・。ちょっとトラウマになりそう・・・」



風俗嬢にとってお客さんの臭いは深刻な問題だ。今回は特殊な例だが、体臭は殆どの場合、シャワーを浴びたら気にならないらしい。問題は口臭。


歯磨き云々ではなく、胃の中からせりあがってくるような臭いのお客さんは結構いるようだ。ちなみに自宅派遣のお客さんに多いらしい。


態度が横柄とか見た目や話し方が気持ち悪いというのは我慢できても、においだけはどうしようもないというのがキャストの本音のようだ。


悪気があるわけではないし、本人に直接言うわけにもいかないから対応が難しいのかな・・・。



確かに不潔なお客さんは地雷客ではある。しかし、言い方は悪いがドライバーには何にも被害はないので、俺としては頑張ってくださいとしか言いようがない。


デリヘルの客にはもっと凄い地雷客がいる。嬢だけでは対応できず店のスタッフまで出張る事態になったのだが、それはまた次回に・・・


つづく



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