第7話 問題児
シンデレラグループの各店舗にヘルプで入るようになって感じたのが、人気キャストは常識がある人が多いことだ。眠り姫のエースのまなつさんをはじめ、ランキング入りするようなキャストは周りに気を遣うし、仕事に対する意識も高い。
逆にそうでないキャストは当然人気が出ない、つまり指名が入らない。
通常、風俗店は指名なし、つまりフリーの場合は新人さんから優先して仕事を入れてもらうことが多い。1~2か月くらいはその状態が続くがその後は、他のキャストと同じような状態になる。
新人期間が終わると、評判のあまり良くないキャストや明らかにダメそうなキャストはフリーの場合後回しにされる。忙しい時なら仕事が回ってくるが、そうでないときは仕事がない場合だってある。(なるべくそうならないように店も配慮はするが・・・)
新人期間が過ぎて稼げなくなると、退店して他の店で新人として働いて最初の美味しい部分を掠めていく人も結構いる。
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その日はアロマ店、眠り姫のヘルプ、比較的のんびりした営業だった。事務所の駐車場で待っていると、ラインが入る。
『レイナさんを寮でキャッチして、ホテルイーストに入れ込みお願いします』
初めて聞く名前だ。新人さんみたいだ。
寮は事務所の近所にあるワンルームマンションの一室だ。店で何部屋か借りていて出稼ぎの娘を中心に格安で店が貸している。
寮のエントランス前に車を止めて待つこと10分。中々出てこない。
事務所に電話を入れる。
「レイナさんまだ出てこないですが・・・」
「あれ?さっきラインして既読になってるのに。じゃあこちらからかけてみますね。」
しばらくして電話が鳴る。
「かけてもつながらないから、見てきてもらって良いですか?」
仕方ないので寮の部屋に向かう。インターホンを鳴らすが誰も出ない。
中に人がいる気配もなさそうだ・・・。
再度事務所に電話
「仕方ないから他のキャストにしましょうか。」
そう話していた矢先に車にミニスカートの若い女の子が近づいてくる。
「シンデレラの人ですか?」
「そうですが、レイナさん?」
「はい。お願いしまーす。」
店にキャッチした旨を伝えて入れこみに向かう。
キャッチに遅れた癖に謝罪もなし。しかも酒臭い・・・。
どっかで飲んでたのか?
「運転手さん、たばこ買いたいからコンビニ寄ってください。」
は?すでにお客さん待たせてるんですが・・・。
態度には出さなかったが、さすがにイラっとした。
「すみません、お客さん待ってますので、仕事終わってからでお願いしますね。」
レイナ嬢は不服そうな顔をしたが、何も言わなかった。
ちなみにアロマ店はアロママッサージがメインだ。標準のコースなら着衣(キャミソールと短パン)でおさわりなし、ハンドフィニッシュなので一見楽そうだが、その分技術を求められる。ちなみに服を脱いだり、口でのサービスはオプションで可能だ。
正直なところ、この状況ではレイナ嬢が指名を取ることは難しいだろう。若くて可愛いが、それだけだ。脱いでおさわりのあるシンデレラやアリスならともかく、研究熱心なキャストが多い眠り姫では、ルックスだけでは他のキャストに太刀打ちできない。
そんなレイナ嬢だが、様々なトラブルを次々に持ち込んでくることになる。
つづく
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