第5話 ヘルプ
ドライバーを始めてから1か月が経った。昼に仕事があるので週2~3回程度、時間も4~5時間の勤務ではあるが、少しずつお店の内側も見えてくるようになった。
「シンデレラ」はシンデレラグループの中の中心となるお店で、ノーマルなデリヘル店だ。系列店としては、ロリ系の女の子を中心とした「アリス」、アロマ店の「眠り姫」、そして半年前にオープンしたM性感の「いばら姫」がある。
この4店はそれぞれ近くに事務所があり、女の子によってはヘルプに入ったり(研修の時にいた、まなつさんがそうだ)、両方に所属したりもしている。
そして、ずっと気になっていたのは、社長の存在だ。働き出してから一度も会っていない。
どんな人かも不明なのだが、店長と社員の話には出てくるし、どうやら事務所にもたまに来ているらしい。
「社長ってシンデレラにはあまり来ないんですか?」
ある日、暇な時間に店長に聞いてみた。
「ああ、今はいばら姫に殆どいるね。新店でみんな慣れてないから、かかりっきりになってるみたいだね。社長は自分で動くタイプだから、現役でバリバリ働いてるよ。あ、でも最初の頃一度来たから羽根田君も見てるはずだよ。」
そういえば、入って間もないころに中年の男性がキャストと一緒に事務所に来てたっけ・・・。まあ、事務所でじっとしてても暇なんだろうな・・・。
「そうそう!社長で思い出した。羽根田君、今日はいばら姫のヘルプに行ってもらうから!」
「え?俺で良いんですか?まだ入って1か月ですよ。シンデレラのこともよく知らないし・・・」
「社長からの指名なんだよね。羽根田君、女の子から評判良くてそれが社長の耳にも入ったみたい。仕事が丁寧だから社長も一度いばら姫で使ってみたいって。」
そう言われると悪い気はしないが・・・。キャストの顔と名前を覚えるの大変なんだよな・・・。
兎にも角にもこの日はM性感のいばら姫での勤務となった。
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