第4話 やっぱり母親も知ってるのかな
初めてよ 母の日以外にプレゼントするの
エルメスの財布を 隠れ家レストランの
帰りのデパートでプレゼント用のリボンをつけて
ちょっぴりゴージャスに包装してもらったの
母のあこがれだった ベージュのエルメスの財布
きっと喜んでくれるはず
母は ブランドの箱を開けた途端
びっくりしたような 怪訝そうな顔で
どうしたの? こんな高価な財布
ママには似合わないよ
ママはね ぜいたくを味わうことよりも
ただあんたがまっとうに生きてくれることだけが
願いなの
高くもない給料で ムリしなくていいよ
薄い花びらがしぼむような 消え入りそうな
はかな気な笑顔を見せながら 背を向けた
ひょっとして ママはもう気付いてるのかな?
私の二重帳簿横領
今日も葉の枯れた 樹木の真ん中に穴のあいたような
ケチのくせに大まぬけな社長に 二重帳簿の公開部分を見せ
バレずに済んでほっとしていたが
母と子は 命でつながっているというが
母は 私のすべてをお見通しなのかな
私は親不孝をしているが バレたらもっと
取り返しのつかないことになる
バレないためには いつものように
タダ働き床掃除しかない
マルチ商法で購入した強力洗剤で
今日はいつもよりもピカピカに磨き上げよう
これがせめてもの 横領金額の償い
そして 私に残された良心の呵責に
フタをして生きる術
嗚呼 神様ヘルプ
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