第26話 突入後の昼食
チャーリーもブレンダ様も使用人全て居なくなった荒れ放題の邸に、この邸はどうするんだろうと、不思議な感じで見ていた。
「エステル、そろそろ昼食を頂くか?」
「使用人はもう誰もいませんが…」
誰が準備すると思っているのでしょう?
「すぐにジャンとウィルクス邸の使用人を呼ぼう!」
クレイン様、今ほんの少しですが、使用人が居なくなったこと忘れてましたか。
そして、クレイン様の部下がすぐにジャン達を呼び出し、やって来たウィルクス邸の使用人は庭にテーブルを広げ昼食を並べ出した。
この間も来てくれたウィルクス邸の料理人はひたすら料理を作っている。
「エステル様、クレイン様がお帰りになられてようございました」
「はい…ジャンもありがとう」
クレイン様の隣に座る私にジャンは喜びながらそう言ってくれた。
クレイン様の部下達とルーファス様も席に着き、まるでガーデンパーティーのように昼食が始まったが、クレイン様は離れない。
そして、何故かクレイン様に私はリゾットを食べさせられている。
「どうだ?エステル。美味しいか?」
「は、はい…あの…一人で食べられますので…」
「エステルは口が小さくて可愛いぞ」
「…そうですか」
時々話が噛み合わないクレイン様に誰も止めない。
「それにしても、ルーファス様の近衛騎士様はシノビのようですね」
「……そうか?さぁ、エステル、食べなさい」
そしてまた口に一匙やって来る。
「エステル…クレインのせいだ。クレインが隊長になってからこんな部隊になったんだ。」
ルーファス様は前はもっと普通の近衛騎士だったとしみじみ話した。
そして、年配の近衛騎士は、疲れた、と言って帰国し、若い近衛騎士ばかりになったらしい。
クレイン様…留学で一体何をしてましたか?
何を目指していましたか…?
「クレイン様、邸が荒れましたけどどうしましょうか?」
「そうだな…片付けに誰か雇わんといかんな」
邸を見ると、大広間だけでなく、廊下とか他の場所も所々窓ガラスが割られて吹きっさらしになっている。
きっとあの割れた窓からも突入したのだろう。
私に連絡がつかず帰って来るにしても、こんな登場は予想もつかなかった。
斜め上どころか、斜め上を突き抜けた登場でしたね。
実際、窓を突き破って来ましたし。
「クレイン、無駄な金を使うことはないだろ。片付けなんかは捕らえた使用人共にさせろ。あの使用人達の罪の償いにこの邸の片付けをさせろ。奉仕活動という名目にすればいい。それなら金もかからんし、見張りには部下を付ければいい」
ルーファス様の案にクレイン様は私にリゾットを食べさせながら頷いていた。
昼食が終われば、ルーファス様は城に帰らないといけないらしく、馬車の準備を整えていた。
クレイン様も行くのかと思ったけど、ルーファス様がクレイン様を置いて行くことにしてくれた。
「長いこと婚約者殿を待たせてしまったからな。明日の晩餐に城に来い。それまでは休んで構わないぞ」
「ありがとうございます。ルーファス様」
ルーファス様やクレイン様の部下の近衛騎士達を見送り私達はやっと二人になった。
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