第18話 突入!?


「ブレンダ及び邸の使用人は全員引っ捕らえろ!!」


黒ずくめの人達が大広間の全ての窓をぶち破り突入して来たかと思うと、指揮官らしい背の高い黒ずくめの男が、ブレンダ様やチャーリー達を捕縛するように手を振り指示していた。


何ですか、これは!?

黒ずくめの人達が飛び込んで来ました!


東洋の神秘シノビ!?

いや!暗殺者かも!?


あっという間に大広間は制圧部隊に突入されたみたいになっていた。


膝と両手をつけて腰を抜かし呆然とする私に、ブレンダ様やチャーリーはあっという間に黒ずくめに床に抑え込まれていた。


「キャアア!?チャーリー!助けてー!!」

「ブ、ブレンダ様ぁーーー!?」


抑え込まれていたブレンダ様は髪を振り乱しながら、チャーリーに手を伸ばしていた。


チャーリーは後ろ手を抑え込まれ、必死でブレンダ様の名前を叫んでいる。


叫ぶブレンダ様とチャーリーに向かって、背の高い黒ずくめは、どこから出したか、二人にナイフを投げつけた。


「黙れ!汚らわしい声をエステルに聞かせるな!!」


ナイフは抑え込まれていた二人の目の前の絨毯にカカッと刺さり二人は気絶しそうなほど青ざめてしまった。


その間も突入して来た黒ずくめの集団は、ブレンダ様二人を抑え、邸を制圧するようにドカドカと動いていた。


大広間の外からは使用人達の叫び声が木霊するようにあちらこちらから聞こえる。


「蟻の子一匹逃すな!全員引っ捕らえるんだ!」


背の高い黒ずくめの男は、そう大きな声で怒ったように声を張り上げた。


私は腰を抜かしたまま、座り込んだ拍子に両下腿がむき出しになっていた。


そんな私に、背の高い黒ずくめの男はくるりと私の方を向き、近付いてきた。


頭にも黒い布を巻き顔を隠しているのか、その背の高い黒ずくめの男は私の前に膝を突き、腰を落として目の前に来ても誰かわからない。


「エステル、大丈夫か?…あぁ…可哀想に…」


顔の黒い布からは、私と同じ深い緑の瞳を覗かせ、どことなく優しい。


しかし!!


「誰ーー!?」

「エステル!?俺がわからないのか!?」


背の高い黒ずくめの男はあわてふためき始めた。


「大変だ!エステルが俺を忘れてしまっているぞ!?」

「…いや…隊長、顔を隠したままですよ…」


近くにいた黒ずくめは背の高い黒ずくめを隊長と言った。

いや、突っ込んだ!


そして誰!?


こんな暗殺者みたいなシノビの集団に知り合いはいません!?


「嫌!?近づかないで!クレイン様ー!?」


もうわけがわからず、クレイン様の名前を叫んでしまっていた。






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