警察の発表について。ミステリー作品の根幹。
現在、連載しているミステリー作品『彷徨える王』のなか、「美しい依頼人 4」での描写につきまして──
新巻へもんさまより、下記のような、大変に有益なご指摘がありました。
【警察が藤川綾乃と発表した以上はなんらかの確認をしてます。このケースは水死体なので特に慎重になるはずです。
身分証明書を所持していたならそちらに確認しないわけはなく、そうでなければ氏名を断定しての発表はしないと思います。
発表では身元不明、所持していたスマホから連絡というなら分かります。
確かにまだるっこしくなりますし、実は別人だったという驚きが減るので工夫が必要ですが。】
おっしゃる通りなんです。
実は、当初の原稿は今とはちがい、綾乃の所持品で警察からの問い合わせがあり、それで藤川綾乃と断定すると書いておりました。
しかし、序章にすぎない「美しい依頼人」が冗長になりすぎる嫌いがあって、当初の原稿から3000文字を削り、それから、本来、書こうと思っていた、丸の内署のゲンジンという櫻子の友人の警官部分も割愛しました。
両方を合わせると、おそらく5000字ほど削除していると思います。
【学生時代からの友人で東京特捜部にいる男が浮かんだ。佐藤平一朗、平凡な名前とは真逆の悪友で得体の知れない男だ。あだ名はゲンジン。高校時代、教科書に掲載されていたジャワ原人の写真に似ているためついた名だ。連絡を入れてみよう】と初稿に書いてました。
このゲンジンは復活しませんが、警察との会話を本文に書き入れ、へもん様のご指摘を解消いたしました。
当初の原稿をお読みくださった方々には、本当に本当に申し訳ございません。
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「美しい依頼人 4」の変更部分です
【新聞記事】
『昨夜、隅田川の支流で溺死体を発見。丸の内警察署の発表では、三十代から四十代の女性。所持している携帯から、遺体は藤川綾乃さん。住所、身元など不明。お心あたりのある方は警察署へご一報ください』
【追加の警察との会話】
受話器を取って、所長から聞いた丸の内署の警官に連絡を入れた。担当の刑事が、すぐに応対にでてきた。
「ご連絡いただいた戸隠法律事務所の黒城です。墨田川で発見された女性の溺死体の件ですが」
「黒城櫻子さんですね」
「そうです」
「わかりました。確認のために、こちらから折り返します。お待ちください。わたしは丸の内署の巡査部長一ノ瀬と言います」
きびきびとした声が電話口から響き電話が切れた。すぐに折り返しの電話が鳴った。
「黒城です」
「お手数をかけます。間違いない電話か確認しました。さて、隅田川で遺体としてあがった女性ですが、使い捨てのプリペイド携帯には、戸隠法律事務所と黒城櫻子先生との通話履歴だけが残っておりました」
「事務所だけですか? わたし個人の連絡先を伝えてありましたが」
「いえ、携帯には法律事務所の連絡先だけでした。データを消した痕跡があります。名義人は藤川綾乃さんとなっています。ご存じの方ですか?」
「依頼人なんですが。間違いなく藤川さんですか?」
「遺体の特徴を申します」と、言って彼が描写した女性の特徴は、まさに藤川綾乃に一致した。
「詳しい事情をお聞きしたいのですが」
「ええ、わかりました。時間が出来次第、そちらに連絡します」
「よろしくお願いします」
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「美しい依頼人 5」の変更部分です
【会話を挿入】
「奇妙なこともあったもんだ。実は、今朝方も警察、どこの警察じゃったか。奥さまは在宅かと聞かれたんだが、妻が出ると、確認して切れたんじゃ。つまり、そういうことじゃったか。その妻を名乗った女性の写真はあるんかね」
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新巻へもんさま。本当に、ありがとうございます。
ちなにみ書籍化作家さまである、新巻へもんさまの新作は下記です。面白いですよ。
●「ぼくが大魔法使いの息子って嘘だよね?」
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