公爵夫人6
「それは王が決めるから、それを待つだけよ」
賠償に対しては返事をしたくないようだった。各種デザートを制覇したので、一息つく。お腹いっぱい。
「エロイーズ、この国の周辺で、1番戦争しそうな国はどこなの?」
「魔族地域に近いメア連合国だな。国境ではいつも小競り合いが続いている」
「そっか。それならそっちにやってもらうのも、物資は足りるのかな?武器と防具も」
「何をしようと考えているんだ?」
「マジックバッグと武器防具を提供したら、この国滅ぼしてくれるかなって考えていただけ。マジックバッグは物資の輸送に、武器防具はわかると思う。やれるだけの力は持っているのかな?」
「ランスの作る物なら戦況をひっくり返せるのか?」
「わからないけど、物資の補給はマジックバッグでまかなえて、武器防具は付与をするだけなんだけど。どうなるかな?補給の移動が少なくなるのが利点だと思うんだ」
軍事力とか把握してないから、どうなるのかを判断できない。近い戦力なら、ひっくり返せる。
「冗談でもやめてくれ。魔族が攻めてきそうなときに、戦争なんかしている場合じゃない。それに多くの命が失われる。殺し合いを望むのか?」
「ギルドにいられないのは困るから、他の方法を考えていただけ。やるつもりなら黙っているよ。それに、この国は滅ぼしてないじゃないか。生産のためにやらなかっただけなのに。今さらだよ」
「本当に滅ぼせると?」
「試すのは簡単なんだけどね」
手を叩いて音を出した、パティさんに振り向く。
「デザートはもういいのでしょう?仲がいいのはわかったから、服屋に行きましょう。さあ、お立ちなさい」
それもそうかと立ち上がって、精算に向かう。
「何をしているの?今日は全てビルヴィス家で持つから馬車に乗りなさい」
「いいんですか?」
「ええ。構わないわ」
「ありがとうございます」
お礼をしてから、次の服屋につく。中に入ると店員がすぐに試着の出来る広めの個室に通される。いくつかの服がすでに用意されている。そういえば制服を作ったところだ。
「何が似合うのかしら?シルバーブロンドに映える服はどれがいい?」
「髪もきちんとさせるともっとよいのではないですか?」
「そうね、手入れもしていないなんて。よくないわ」
「シャロン、ランスの髪を手入れしなさい。主人の身だしなみは、メイドの仕事ですよ?」
返事をしたシャロンが道具を取り出して、髪をとかして何かの液体っぽい物を頭に塗っている。何を塗られている?
「こちらでいかがでしょうか?」
「見ちがえたわね。十分よ、下がりなさい」
髪を直すとシャロンは下がる。ローレット様が扇子で服をさすと店員が持ってきて、着替えをさせられる。襟に装飾が施された服で、縁取ったような装飾が折り返しや縫い目にされている。
「悪くないかしら?元がいいと何でも似合うから、選ぶのも楽しいわ。そっちはどうかしら?」
「あれはどうでしょうか?」
いろいろな種類の服を着せられる。シンプルなものから装飾が凝ったものまで。刺繍がたくさんされた服に動物や魔物が刺繍された服。様々な服をとっかえひっかえ着せられていく。着られれば何でもいいので、こんな風に着せ替えをされるのかは、わかっていない。
あれがいいやらこれがいいやら、店の服をひたすらに着せられる。いつまで続くのかな?
「奥様、そろそろ戻りませんと」
メイドの1人がローレット様に告げた。
「そんな時間?わかったわ。服はそうね」
扇子で指した先の服達が集められる。服を着替えている間に決まるかな?
「あとで制服と一緒に届けて頂戴」
「わかりました。本日もありがとうございました」
ヘトヘトだ。馬車に乗り込んで、帰り道。
「ランスもまともな格好をすれば、いいところのお坊ちゃんみたいだったぞ」
「機能の高い服がいい。戦うのにいらないからね。装飾なんて」
「その服は平民っぽいがファイアドラゴンの鱗なんだろう?」
「そうだよ。あと3重付与して、自動調整、耐久性、物理防御上昇かな。ファイアドラゴンの鱗だから元々耐火性はあるけど」
「3重付与?そんなことを誰がしたんだ?付与ギルドでは2重がやっとと聞いている」
「この前防具に5重付与をしたけど。武器や防具ギルドの里ってところに、古代の付与魔法が残っているから、写しをもらえるかもしれないって聞かされて挑戦したんだ」
エロイーズが言葉を詰まらせて、目を大きく開くとこちらを向いて肩を掴む。
「ほ、本当か?5重付与?ウソは言ってないんだな?」
「いってない。ちゃんと出来たし、ギルド長達は確認しているよ。それを、私の鎧にも付与をしてくれ、け、剣にも付与は出来るのか?」
「出来るけど、この国の関係者にはしない。貴族なら関係者だろう?貴族街警備隊長だ。関係者だよね?」
「ランス、そんなこと言わずに。お金になるぞ?」
「商業ギルドの販売で十分だよ。お金になるなら、マジックバッグを売ってもらうよ」
諦めきれないのか、顔を近づけてくる。
「頼む。どうにかならないのか?」
「ならない。他国に渡ってからならいいよ。いる間は絶対にやらない。文句なら国にいって。理由は賠償金がまだだから」
「な、またそれか?」
「そうだよ」
それを聞いたエロイーズは、肩を離した。
「そうか、それなら、しかたない」
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読んでくれてありがとうございます。
☆や♡を恵んでください。お願います。
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