公爵夫人4
「ようこそおいでくださいました、こちらへどうぞ。お連れ様の服装は、着替えを用意しましょう」
「ファイアドラゴンの服だけど、それ以上の素材?」
「ファイアドラゴン、それは失礼しました。どうぞお通りください」
案内人がそんなことを言うので、着替えの素材を聞いてみた。普通は綿とか羊毛の類いだろう。綿花や家畜の毛が普通だから、ドラゴン素材とかないはず。高級品のはずだよ。
「その服がファイアドラゴンの何で作ってもらったんだ?」
「ファイアドラゴンの鱗。普通の服に見えるように作ってもらった。普段着られるようにね」
「ファイアドラゴンの装備か、いいな、憧れる。どこで作ってもらったんだ?」
「防具だから防具ギルドで作ってもらった。普段の服に見えるようにって」
「確かに見た目はわからないな。しかし、わざわざ普通に見えるようにしてもらうなんてもったいない。性能を生かす装備にしてもらえばいいのに」
エロイーズは装備なので話に乗ってきた。
「うーん、祝福前だと目立つ装備は狙われるから、あんまり目立たない方がいいかなって」
「そうか、そうだな。祝福前ならしかたないか」
「ファイアドラゴンのところに行ってないな。そのうち行かないと」
「その口ぶりだと、遊びに行っているみたいだな。正直に白状しろ」
頬をつつかれながら部屋に通される。
「フウイがいたら時々行ってた。魔法の練習にもなるしね。高魔力の練習は家の近くの山かファイアドラゴンのところでしか出来なかったんだ。魔力暴発したときに被害にならない場所で練習しないといけない」
「その辺ではダメなのか?」
「暴走はしなかったけど、扱う魔力はレベル8ぐらいだから、王都周辺ぐらいならなくなるんじゃない?あくまでも暴走したらってことだけど。練習は加減してするしかないよ。扱えているけど、そのうちドカンとやってみたいよね」
「王都を飛ばさないでくれよ」
「この国次第かな」
そんな話をしていると料理が運ばれてきた。高級品なだけあって、美味しい。小出しでコースとかいう面倒なヤツだ。酒場の方が好きだな。好きに食べれる。ここだとマナーで緊張感がある。
「ランスは王都に住まないの?」
「この国の王都に住む予定はないです。ファーレ王国なら、すぐにでも探すつもりです」
「学園は寮で過ごすつもり?」
「そうです。貴族の方でも寮に入るのでしょう?」
ローレット様は何かと質問してくるけど、少々怖い感じがするんだよね。
「そうね、入寮が推奨されているわ。平民と貴族では寮が違うけど、貴族の推薦があれば貴族寮に入れるけど、ランスはどうしたい?」
「平民の寮で構いません。メイドを連れていても構わないのですかね?」
「それは構わないわ。お金を持っている商人の子どもが、入ることもざらですからね。ランスは貴族当主相当の地位を約束されているのだから、貴族寮に入寮してもいいのよ?」
「ただ通うためだけに、貴族寮に入る必要はありません。平民の寮で構いません。勉強のために通うわけではなく、通って欲しいというお願いを叶える形での入学ですから。寝られる場所があれば十分です」
エロイーズは何やらニヤニヤしている。
「そうか、そうか。ランスもお年頃ということか、シャロンの行き先がランスだと安心したが。そういうことだったのか?」
「何のこと?」
「平民寮では貴族寮と違って、メイドと同室なんだ。間違いがあっていけないからな、同性であることが多い」
「な、え?き、貴族寮じゃないと無理なの?」
「平民寮はメイド用の宿泊設備が付属していない。連れて行くのは構わないが、シャロンが飢えた男達に狙われるぞ?それともランスが狙うのか?」
楽しそうにニヤニヤと。ぐぐぐ。ローレット様の顔を見る。
「き、貴族寮に入れないでしょうか?」
「入りたいの?いいわよ。ちゃんと貴族寮を用意しましょう。ベイジーンも喜ぶわ」
「シャロンが嫌がってなければ、よろしくやればいいだろう?ランスなら将来安泰だろう。いい嫁ぎ先だと思うが」
悪ノリしているエロイーズに、ローレット様の目が向く。
「あら、じゃあ、エロイーズさんが嫁げばいいのではない?ランスの爵位なら、すぐにでも用意出来るのよ」
「男爵とかでは、家の格式が釣り合いませんので」
「そう?伯爵を用意出来るかしら?グリゴリイの弟子の名前を明かしてくれれば、そこまで引き上げることも出来るでしょうね。子爵までなら入学までになんとかするわよ?」
「お父様とお母様も反対すると思いますので」
なぜか慌てるエロイーズ。貴族なんかにはなりたくない。
「あなたが乗り気なら、私は説得する用意があるわ。どうかしら?」
「いや、えっと」
こっちを見て顔を真っ赤にした。それより話に置いて行かれている。
「どうかしら?」
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読んでくれてありがとうございます。
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