魔法具ギルドで1

 他のなら、魔方陣に干渉して止められる。結界はそういう干渉から守る存在だから難しいんだよね。


「構わしないよ」


 強く念じているようで、本部長を結界が囲んだ。あとは魔石の魔力が尽きるまで、結界は続く。


 帰ってきたシャロンがその様子を見て何事かと聞いてきて、しゃべらなくても発動するかやってみたかったんだってと説明する。強く念じれば出るからと説明しておいた。シャロンの欲しいものは揃えられたので、楽しそうにしている。


「ランス、これをどうにかする方法はあるのかい?」

「魔力を尽きさせるか、結界を外からぶち破る。どっちも魔力が尽きるのには変わりないけど、もったいなくない?」

「どれくらいなのかは、やってみるべきさ。壊せるのかい?」

「やってみるよ」


 軽く腕だけで殴る。弾かれた。結界としてちゃんと機能している。左自然体で構えると右手を振り抜く。当たった瞬間に結界にヒビが入って、魔力で修復をする手応えを感じる。部屋全体が衝撃で震える。1発で抜けなかったか。もう1発放つと結界が壊れた。


「よかったんじゃないかな。その辺の冒険者なら、2日は持つと思うよ」

「「「「なにごとですか!」」」」

 

従業員が押し寄せてくる。付与アクセサリーの性能試験をしていたと説明して下がっていった。ギルドが揺れたと驚いていたので、結界の性能は十分だと思う。


「だいぶ強固だったんだね。確かにもったいなかったよ」

「両方、魔道具と付与が出来るのか」

「さっさと登録をしてしまいな。本部や総本部も通さないといけないんだろう?」

「それでしたら、魔道具ギルドは確認が取りやすいので、こちらに確認が行くと思いますが、よろしくお願いします。ランス様、まずは魔道具ギルドへどうぞ」


 腕を捕まれるとぐいぐいと引っ張られるままに、表に止まっていた馬車に乗せられる。フウイが。後ろを振り返ると、空馬のまま馬車の後ろをついてきていた。賢い子です。


「無知なものでお教え願いたいのですが、魔道具ギルドは何を作ってどう活動されているのでしょうか?また、ランス様の地位や活動の制限等がありましたら、お教え願います」

「所属してないとわからないことも多いのよ。魔道具ギルドは、道具に魔方陣を書くことによって、動かしたり魔法を使わせたりするの。その魔方陣を書いたり、意図したとおりに動かすことが、ギルド員の生活を支えるわ。貴族の家にある湯網場のお湯を出す魔道具とか。噴水の水を噴き上げる部分とか。変わり種としては粉挽き器の自動化っていう、貴族の要望する道具を作ることが多いわね。出来るなら希少属性の魔法使いにも所属してもらって、魔道具を依頼していることもあるわ。今回、ランス様は希少属性の中でも更に珍しい時空間魔法の使い手。S級のギルドカードを発行させてもらいます。他には氷が引き合いが強い。水、火、風の順番である程度作れると十分に贅沢して生活出来るのよ。活動の制限は自分で勝手に売らないことぐらいね。技術自体はギルドに所属していたことがあれば、公開していることなので、うちで知られて困ることはないわね。魔法使いの方とも積極的に交流しているので、技術交換、魔法理論等は魔法師ギルドで教えてもらえるから、魔道具と魔法師に所属している人もそれなりにいるの。魔法師と冒険者の組み合わせが1番多いのだけどね」

「ランス様は魔法師ギルドにも所属した方がよろしのではないのでしょうか?」

「魔法使いの才能がないなら、魔道具だけでも構わない。無理に所属する必要もなく、必要なら所属するぐらいの気持ちでいいのよ」


 シャロンが何か言いたげにこちらを見ている。魔法師ギルドで何を学ぶというのか?


「ランス様、差し出がましいようですが魔法師ギルドへの所属はされないのでしょうか?」

「しない。グリゴリイの門下が所属しているのなら考えよう。グリゴリイの魔法理論は否定しているはずだ。グリゴリイがそのせいで国を追われた。グリゴリイの知識を教えられた者が、否定したギルドに所属するなど、信じられない」

「魔道具ギルドは大賢者グリゴリイの残した魔道具の研究するため、独自の研究会を作っております。それでも魔法師ギルドとは、良好な関係を築いています。大賢者グリゴリイの知識を収められておられるのなら、ランス様は研究会に所属されるとよろしいかと思います。どの程度の知識をお持ちなのでしょうか?」

「本に書かれていることは全部わかります」


 魔法具ギルドの人がぐいっと近づいてくる。


「それは所属してもらわないといけません」

「本の理解はある程度でいいんじゃないでしょうか」

「ぜひご教授を。グリゴリイの弟子の方々は、だいたい国に所属しているので教えてもらえることがないのです。ぜひにお願いします」

「学園にも通わないといけないので、時間が取れないので無理です」

「時間のあるときでいいので、お願いします」


 他にもギルドに所属しているのでと、かたくなに断っているうちに魔道具ギルドについた。入ると昨日の受付嬢が頭を下げている。


「お帰りなさい本部長」

「喜びなさい、S級魔法具師の誕生よ。ギルドは閉めて、手伝って頂戴」

「は、はい」

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読んでくれてありがとうございます。

☆や♡を恵んでください。お願います。

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