道具の作成1

 途中で鞄屋によって、いつでも持ち歩きやすいバッグを選んでもらう。小型のバッグで、メイドさんが外でよく下げているタイプだった。


「こちらに買い物の費用などを入れておくのです。盗難防止用に魔物の丈夫な革が使われています。屋敷には配達してもらうので」

「へー。そうなんだ。確かに持ち歩きには便利そうだ。屋敷がないから持って帰れるようにするね」


 次に冒険者ギルドに行って、B級ぐらいの魔石を買い、目的の魔道具ギルドについた。


「魔道具を作る道具を売って欲しい。魔導回路用のペンとインク。定着液。訂正用の消去液も。1番いいやつ」

「職がないと使いこなせませんが、よろしいのですか?」


 気の弱そうな声で女性受付が語りかけてくる。


「失敗するかもしれないけど、自分で作った方が速い。あと作業場は借りれる?ギルド員じゃないけど」

「少々、ギルド員より高くなります。が、お貸し出来ます」

「場所を借りて、あとペンダントの台座ってある?」

「こ、こちらになります」


 気弱そうなだけで仕事はパパッとしてくれている。案内された場所は、仕切られた作業台とイス。大きな台に使うだろう道具が並んでいる。


 まずは自分のマジックバッグとリュック型の改造からはじめる。荷物は空間倉庫へ移し替える。魔方陣の置き換え、魔方陣を呼び出してどこを変えればいいのかを確認する。完全に置き換えてもいいんだけど、商業ギルドで登録しているのにあまり気がつかれたくない。


 収納量アップと時間停止。そのうちこれらは誰かにあげよう。自分で空間倉庫と空間部屋を使えるから。空間倉庫が時間停止で生き物はいらない。空間部屋は時間経過で生き物が入れられる。ただし、空間拡張魔法なので、入り口と空間だけは作った方がいい。


 台座があるなら何か使えそうな物を置いてあるかもしれない。受付で聞いてみると、四角いペンダントがあったのでそれを買った。


「先に精算をお願いしてもよろしいでしょうか?」

「うん」


 初めての客が高いのを買えば、どうなるかわからない。先に精算をして戻っていく。受付の人は商業ギルドカードを見てひどく驚いていた。


 作業場に戻り、買ったバッグをシャロンから受け取る。


「時間停止と時間経過、どっちがいい?」

「何のことですか?」

「マジックバッグにするならどっちがいい?」

「え?マジックバッグに出来るのですか?」

「うん。持ってたマジックバッグの改造が終わったから、シャロンのもしておこうと思って。どっちがいい?」

「時間停止で、絶対に時間停止でお願いします」


 いきなり迫られたので驚きながら頷いて、バッグの縫い紐をほどいて中に魔方陣を書いていく。固定する道具もあるので、各作業は順調に進んでいく。細かく書く部分に気をつけて、ここだけ間違えなければなんとかなる。書き直すことも出来るけど、細かい部分は他のところも一緒に消えるので、そこだけは間違えたくない。魔方陣の円とかは練習をたくさんしているので、久しぶりでもすんなりいった。魔方陣が完成すると定着液で固定。元のバッグの形に戻す。


「出来たよ。あとから商業ギルドでお金を下ろそう」

「はあっ、夢にまで見たマジックバッグ。ありがとうございます」

「そんなに欲しかったの?」

「マジックバッグでの買い物は、高い位の貴族様しか出来ません。そして信用ある従者にしか持たせませんので」

「それあげるから、仕事兼用で使って。入る量は量りかねるけど」

「い、いただけません。ちゃんとお返しします。私物を入れてよいのでしたら、利用はさせていただきます」


 嬉しそうに開けたり閉めたりしている。その辺の道具を入れたり出したりして、すごいといっている。喜んでくれたのなら良かった。


「道具はちゃんと戻しておくんだよ?」

「ハッ、すいません。嬉しくて」

「いいんだけど、借りてる場所から道具の持ち出しは厳禁だ。元あった場所に戻しておくこと」

「はい」


 出禁にされると次に作るときに困る。道具を揃えてしまうのもいいかもしれないな。でも、場所が。場所が出来たら、考えよう。

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読んでくれてありがとうございます。

☆や♡を恵んでください。お願います。

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