メイドを雇う2

「それでランス君、職は何にしたんだ?」

「農家。そのために村に残っていたんだから」

「それで王都じゃなくて村にこだわっていたのか。なるほど、なるほど。この話が出来るということは、そのメイドも誓約をしているのか。いいメイドを雇ったものだ」

「バックス公爵に狙われてるらしいけど。これから雇うけど、雇っていたら守るための行動はいいはずだよね?」

「反撃は構わない。それにしてもやっとS級に昇格してもらえる。これでやっと肩の荷が下りた。改めて、祝福おめでとう。S級への昇格おめでとう。国内唯一のS級冒険者になるから、イヤでも目立つ。反撃は殺さない程度なら目をつぶるよ」


 商業ギルドと同じようなカードの登録装置が目の前に置かれる。


「ちょっと待ってくれ」


 秘書の人と操作の確認をして、黒色と銀色が混じった光りかたで金属で出来たカードを持ってくる。


「そのカードって素材は何?」

「オリハルコンとアダマンタイトとの合金だと聞いている。オリハルコンは柔らかいから、アダマンタイトで強度を出しているらしい。金属の専門家じゃないから、詳しいことはわからない」

「アダマンタイトが混じっているから黒っぽく見えるのか」


 カードを置いて、指示に従って手を置く。手を置いてしばらくすると、少し時間がかかって黒っぽいカードを渡される。S級扱いのマークが消えて、ランクのところがS級になっていた。名前も変わってない。素材が良くなった。


「高級品だ」

「再発行は大金貨10枚だから、なくさないように」

「うん。気をつける」


 カードの受け取りが終わるとフウイのところへ。


「フウイ、メイドさんで俺の身の回りの世話をしてくれることになったシャロンだよ。従者ギルドでこれから契約するから一緒に乗せていってくれる?」


 土の台を作って、フウイに一緒に乗る。後ろのシャロンが従者ギルドに案内してくれる。少し路地に入ったところにあった。看板はエプロンと羽ペンだった。フウイから降りると中に入る。


「シャロン、次の場所は考えてくれた?いくつか、候補は渡したでしょう?」

「部屋を貸してくれる?契約書と」

「もしかして、隣の子と契約するの?大丈夫?」

「それは部屋に入ってから説明するから、とにかく部屋に入れて」


 受付の女性は焦ったようなシャロンと俺を個室に案内する。ここで話すとまずいのかな。


「従者ギルドで受付と契約を担当しております、ジャキムと申します。お若いようにお見受けしますが、シャロンを雇うに当たって身分を確認させていただきます。貴族の方であれば、家名。平民の方であれば、ギルドカードなどになります」

「平民だからギルドカードだね」


 3枚のギルドカードを机の上に出す。黒っぽいカードと金色のカード、鉄色のカードだ。冒険者、商業、薬師の順番。


「え、えええええええ!!」


 ジャキムの叫びがうるさく響く。声がおさまるとノックが聞こえてもう1人が入ってくる。


「何かあったようには見えないけど。ジャキム、契約に際して従者のお手本となるように努めなさいとあれほど」

「それが、身分証がその」

「あら、S級とA級のギルドカードとF級。ずいぶんと差があるわね。でも、名前を拝見する限り、傷害事件等で聞かないから大丈夫でしょう」

「S級とA級ですよ?偽造ということも。照会をかけるべきではないでしょうか?」

「先ほど、冒険者ギルド本部長からランス様が、メイドを雇うのでこちらに来ると連絡を頂きました。国内唯一のS級冒険者のため、出来るだけ希望のメイドと契約をさせてほしいとお願いを受けました。それでシャロン、あなたの希望はどうなのですか?バックス公爵からの雇い入れの申し出を断ってまで、ランス様のメイドになる意味はあるのですか?」


 いきなり入ってきた柔らかな声の中年ぐらいの女性は誰なんだろう?


「バックス公爵は体目的で私を雇い入れるつもりです。そういう風に声をかけられました。アー、いえ、友人も個人的に雇われて、行方知れずになっていますので、バックス公爵には雇われたくありません。ランス様と契約するに当たって、私は過去にグレンフェル家での滞在のお世話をさせていただいています。ですので、雇っていただくのであれば見知ったランス様が良いのです」

「それであれば、冒険者ギルドからの頼みでもありますし、本人もそう考えているのであればいいでしょう」

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読んでくれてありがとうございます。

☆や♡を恵んでください。お願います。

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