マクガヴァンとの再会4

 ビルヴィス公爵は忙しいらしい。今日の帰りは遅くなることがわかって、執事さんに伝言をお願いした。ベイジーンからも説明の足りないところを伝えてもらって次の日。準備をして王城へ。


「手紙は持ったね?」

「あるよ」


 ベイジーンから渡された手紙を持っている。ついでにメイドさんにお弁当をもらった。今日のお弁当は何かな?今日もメイドさんはニコニコしている。


「それじゃあ行ってきます」

「気をつけて行ってらっしゃい。あんまりマクガヴァン様に迷惑かけないんだよ?」

「こっちがかけられてるの」


 訓練に付き合うといったので、約束としていくけど。おじいちゃんも前よりも動きが洗練されてきたけど、衰えは隠せない。衰えの方が速いかもしれない。だけど、誰からでも吸収しようとする姿勢は好きだ。訓練に付き合ってもいいかなって思ったのはそこだ。


 王城の入り口で門番に手紙を渡す。受け取って読み始めて、すぐにお待ちくださいと代わりの兵士を立て、走って行った。


 フウイから降りて顔をなでたり、横をなでたりしていた。


「待たせたのう、こっちじゃ」


 おじいちゃんがやって来て、後ろをついて行く。王城は迷路みたいで、どこへ連れて行かれているのかわからなくなる。2つ目の入り口があって、おじいちゃんを見て、僕を見る。


「マクガヴァン先生、こちらの方は?」

「ワシに剣を教えてくれたランスじゃ」

「祝福を受けているようにはお見受け出来ないのですが?」

「うむ、まだじゃな。通るぞ」


 張り切っているのか、言葉少なく門をくぐる。そこを抜けると騎士達がたくさんいて、鎧の有無や帯剣の有無もありながら、部隊の拠点だからいろんな人達が混じっている。女性の比率が少ないけど、男性ばっかりでもない。魔法使いはいないみたい。別の場所かな?


「こっちじゃ」


 どこかへ連れて行かれる。周囲の視線が気になるけど、おじいちゃんは気にも止めていない。


「ここじゃ、訓練場じゃから端の方でやろうかの。端の方を使うのは構わん」


 他にも剣を振っている人や整列した兵士を見ている人達がいる。見学は壁の上に作られている。


「それで、ソードスラッシュをどうやっていなしているんじゃ?木刀で出来るのはなぜなんじゃ」

「気合い?師匠からはそんな風に教えてもらったけど」

「ずいぶんと教えベタじゃのう。それで強くなるのは才能も格別あったと見ていい。騎士の家だったのかもしれんの」

「わかんない。狩りはしていたみたいだけど」


 知らないのでわからない。そのくらいのことしか知らない。


「ソードスラッシュが何に分類されるモノか。武技の力の源が何なのかってところがわからないけど。祝福前でも訓練でなんとかなるのだとしたら、魔力に類するモノ。武技によって変質している魔力、それを訓練で身につけたのかもしれない。自分でもわからないけど。なんとなくでこう、気合いって感じだから、説明が難しい」

「魔力とは考えたことがなかった。体に流れる気やオーラといった類いのモノが、武技という形になっているんじゃろうと思っていたのでな。魔力も体に干渉することも出来る。無意識に魔力を使えるようにしているかもしれん。それがスキルであるなら、よりわからん」

「そういえば、それが出来るようになって、魔法を切れるようになったから魔力を纏わせているんだよ、きっと」

「魔法を切れるんか?魔法を切れる剣でなくてもか?」

「そうだよ」


 木刀のある場所で適当に数本振ってから、しっくりきた木刀を持ってさっきの場所に戻る。


「そんなことより、出来るか出来ないか。じゃあ、ソードスラッシュをお願い」

「木刀で切れるためにどうしたらいいじゃ」

「魔法は魔力で剣を覆うけど、ソードスラッシュはどうするか自分でもわかってない」


 わからないから説明しようがない。何度か見たら何か掴めるかもと、ソードスラッシュを撃って、消す作業をする。


「やっぱり気合いだよ。剣の振り始めになんかこう、力を入れるように魔力っぽいのが流れてる気がする。別の何かだとわからないけど」

「出来れば相殺しているところを見たいのう。人を借りてくる」


 訓練をしている方へ向かって行く。端で自主練している人達じゃないみたい。何かを話している。


「ランスこっちじゃ」


 手招きされるままに偉いっぽい人の前に行く。


「紹介する、息子のレンダンじゃ。国軍の軍団長をしておる。ブレアは知っておるな」

「エロイーズのお父さん。レンダンさん初めまして」

「うむ、父上から話は聞いている。ソードスラッシュを打ち消す技術を教えてくれるそうだな?」

「自分も無意識だから、うまく説明できないけど。出来るようになって欲しいかな?」

「どうしてそれを父上に教えるんだ?」

「剣術Lv.10の人と剣を交えるのに必要だから」


 周囲がざわつく。Lv.10という言葉に反応する。軍団長は眉間にしわを寄せている。


「模擬試合みたいなことをするのに、ソードスラッシュを消す必要があるのか?」

「Lv.10の練習とか見たことある?素振りするだけで斬撃が飛ぶんだ。剣をぶつけるまでに、そのソードスラッシュのようなのをかわしたり、消したりしながら近づかないといけないんだよ。信じてないでしょう?じゃあ、軍団長真ん中で、左右5人ずつ並んでソードスラッシュやれるだけ撃ってよ。それで剣を振るぐらいは再現出来るでしょう?軍団長まで行ったら信じてくれる?」

「しかし、死んでしまうぞ」

「ダメそうだったら、生活魔法で相殺する」


 更に眉間にしわを寄せて悩んでいる。おじいちゃんが大丈夫といって、準備をさせる。だいたいの位置について、対すると構える。


「いつでもいいよ」


 ソードスラッシュという声で、飛んでくる斬撃を振りの角度に合わせ当てる。1撃目を消すとざわついたけど、気にせずに歩き出す。それに合わせるように斬撃の数は増えていく。剣を振って、時にはかわして進んでいく。近づくにつれて、難易度は跳ね上がっていく。


「これ以上進めない。人が多すぎた。生活魔法使う」


 11人分の斬撃は多すぎた。もうちょっと少なくしていれば。生活魔法で相殺の威力を調整しつつ、進んでいく。使ったら全然楽。


「魔法で全部相殺したら、わからんではないか」

「ごめんごめん」


 おじいちゃんが文句を言うので、木刀で間に合わない分を魔法で相殺。進んで、軍団長のところまで来たら終わり。


「剣の振りが間に合わなかった。まだ振れる力が足りないな」

「はっはっはっ、父上が耄碌したのかと思ったが違ったようだ」

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読んでくれてありがとうございます。

☆や♡を恵んでください。お願います。

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