マクガヴァンとの再会1

「ベン、いい加減にしないか。命の恩人だぞ。礼を失しているのは君の方だ。そのお礼もしないで、暴言ばかり」

「だがな、あいつが貴族への礼を知らないのに、教えてやるのが年上の勤めってモノだろう」

「ランスは自分が礼を尽くす相手にはきちんと出来る。そういう態度だからこそ、礼を持って接してくれないんだぞ」

「舐めている」


 怒り心頭のベンをベイジーンがなだめている。


「見苦しくてよ、ベン」


 剣のさやでロウサが頭を殴る。


「守るべき我々が祝福前に守られて、力がないことを喚き散らさないの。フォーウルフを倒せないのに、下に見られてもしかたのないことですわ。普通にしていれば普通に接することが出来るのですから。地位に縛られてるというなら、ベン、あなたが礼を尽くしなさい。S級冒険者なのよ?国が礼を尽くすS級冒険者にあなたがどういう態度で接するのか見て差し上げますわ」

「は?」

「話を聞いてませんの?バカだと思っていましたが、本当にバカだったのですね。祝福前でありながらS級の実力を持ち、祝福後にはS級冒険者になるランスのことを。マクガヴァン様やグレンフェル家、コールス様が認めているのですよ?あなたのような、騎士団に入れそうかどうかの実力ではないです」


 信じられないという顔をしている。


「ベイジーン、おじいちゃん生きているの?」

「おじいちゃん?」

「マクガヴァンっていう人。腕上がったのかな?いい年だから死んでないかと思って」

「生きておるぞ」


 振り向くとおじいちゃんがシャキッとして立っている。殺気立ってるね。


「久しぶり。スキルは上がった?」

「そうじゃな、1つなんとか上がったわい」

「またやる?」

「ええのう。いつもの木刀の立ち会いじゃな。先生、訓練で使う施設を貸してもらえんかの?」


 そんなに殺気をばら撒なくてもいいのにね。先生は恐縮したようにおじいちゃんを案内している。


「ウォーウルフを一撃か」

「やったのはフウイだけどね。ベアとかウルフが嫌いみたい」

「そうか、天馬なら可能じゃろう」


 楽しそうに笑っている。ずっと殺気をまき散らしているんだけど?


「こちらでございます、マクガヴァン様」

「木刀は置いてあるのかの?」

「こちらに、使い古しのモノしかございませんが」

「練習には十分、借りますぞ」


 訓練場は広めに作られている。フウイは自分で逃げることも防御も出来るから、降りてそのままに。


「何年ぶりか、そんな気分じゃ」

「1年と数ヶ月だと思うけど。久しぶりといえば、久しぶりだ」

「ランスと手合わせするのを楽しみしておった。そろそろ、祝福を受けるのであろう?」

「今年の早くに受けられればいいかな。15になる年だからね」

「そのあとも楽しみしていてよいかのう?」

「うーん、学ぶことのない学園に入るのはどうかな?」

「ここから禁書庫に通えばええじゃろう」

「いいの?」

「わからんが、公爵様か宰相殿に聞いてみればいいじゃろう」


 そういうことなら、ここにいる意味もあるのかな?


「それでは始めよう」

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読んでくれてありがとうございます。

☆や♡を恵んでください。お願います。

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