学園見学2

 学園を出て王都から近場の森へ出向く。魔物がいるのかな?道もきちんと整備されていて、道幅もありさすが貴族の通う学校の実習地だ。いつも道のないところを歩いているから、魔物がいるのかどうかすら怪しんでしまう。


 森に入ってからフウイの様子がおかしいような?


「なあ、学園に入るって言うのなら貴族なのか?」


 ボブが馬を併走させて聞いてくる。


「平民だよ。貴族の推薦で入るかなって。試験は受けないとだけど」

「貴族の推薦ってすげーことなんじゃないのか?」

「祝福後に本当はファーレ王国へ行く予定だったんだけど。また会えるのを楽しみにしてくれている人もいたから、学園なんか行かずにそっちに行きたい」

「入学を蹴ればいいんじゃねえか」

「ビルヴィス公爵様と宰相様に直接通うように言われて断れる?祝福後ならまだしも」

「あー、それは、まあ、災難だったな」


 魔物がいるのはわかるんだけど、遠ざかってる?少し速度を落として最後尾にいる先生と並ぶ。フウイを感じ取っているのかも。さらに後ろに下がる。


「どうしたのですか?学園体験ならもっと前で見るのをおすすめしますよ」


 ベイジーンの馬車へ近づいているようだ。フウイに近づかないようにしている予想は当たっている。


「先生、この子は魔馬なんですが」

「はい、見ればわかります」

「魔物が魔馬を恐れて近づかないようにしているようです。なので、離れた位置から見ていることにします」

「それがわかるのですか?」

「もう少し行けば、魔物が出てくるでしょう」

「魔物が出ないのは困りますが、なるべく安全な場所で見ていてください。魔馬を怖がっているなら、近づいては来ないでしょうが」


 先生が先に行って追いついたぐらいに魔物と遭遇するはずだ。フウイが悪いわけでもない。空にあがると馬車の真上ぐらいに陣取って、戦いの様子を伺う。上からだと木に遮られて、断片的にしか見えない。倒しているようなので、問題ないかな?


「ランスー!」


 ベイジーンが馬車から降りて大声を上げているので、高度を下げて馬車の上に行く。


「どうしたの?」

「どこにいるんだ?姿が見えない」

「真上にいるよ」


 見上げたベイジーンと目が合う。


「空?どうしてそんなところにいるんだ。降りて一緒に行動しよう」

「魔物がフウイから遠ざかっていて、このままじゃ魔物に遭遇出来ないと思って距離を取ったんだ」

「戦わなくてもいいから降りておいで。魔物に運悪く合わないこともあるから、その時はまた実習に来ればいいんだ。心配はいらない」

「じゃあ、降りる」


 馬車の後ろに降りて、速度を合わせて進む。降りてきてからは一切魔物に遭遇していない。休憩出来る広場に来ると、お昼にすることになった。学生はたき火の準備をしているので、こっちはフウイに水を用意しておく。


 大きめの魔力を感知範囲内ギリギリに捉える。こちらに気がついていないようで、そのままやってくる。止まった。フウイも顔を上げる。お互いに認識はしたようだ。フウイは水を美味しそうに飲んでいる。気にならない程度かな?


「ランス、こっちにおいでよ。一緒に食べよう」


 呼ばれたので、一緒に火を囲んで座る。お弁当を出して、一緒になって食べる。だいたいフォークで突き刺して食べられるように、一口サイズになっているお弁当だ。その辺は冒険者弁当とは違うんだよね。色とりどりで美味しそう。豪華。


「あの魔馬はどこで買ったんだ?」

「パーシング魔馬屋だよ。乗れるなら誰でもいいから引き取って欲しいって」

「それで天馬を?信じられられん。グラニ種にもまだ乗ったことがないんだが、乗るコツとかあるのか?」

「わかんない。行ったら乗せてくれたから」


 ジェームスに興味を持って聞かれたけど、フウイが勝手に乗せてくれたのでアドバイスがいえるはずない。


「貴族っぽくないがどこの家の出身だ?」

「平民だよ。ベイジーンに学園の案内して貰ってる」

「それにしては口の利き方がなってないんじゃないのか?」


 ベンは睨みつけるように見てくる。

-------------------

読んでくれてありがとうございます。

☆や♡を恵んでください。お願います。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る