ビルヴィス公爵家からの呼び出し2

 着替えの終わったビルヴィス公爵が席に着く。料理が運ばれて、食べ始めた。高級品ばかりで村では絶対食べられない。


「おいしい」

「それは良かった。しっかり食べてくれ」


 メインディッシュの肉にフォークを突き刺して口に運ぶ。ソースの何だろう、この香りのいい濃厚な味に負けない肉の味がバランス良くおいしさを引き立てている。


「今日ランスに来てもらったのは、王国学園に入ってもらいたいので機会を設けた。いい経験になると思うのだが、入学しないか?入学のお金などは気にしなくていい」

「王国学園ですか?教育を受けに行くと考えて、何を学ぶのでしょうか?」

「武術に魔法に学ぼうと思えば、薬師のことも」

「薬師のことは総本部からの祝福後に招待を受けています。総本部が最先端だと伺っております。学園で学ぶことはないはずです。薬師ギルド総本部を越えるというのでしたら、ギルドに対して照会を行い、教育の出来ることを確認させてください」

「武術と魔法は?」


 フォークにさしたままで、質問に答える。美味しいので早く食べたい。


「マクガヴァン殿にお問い合わせください。この国に教育出来る者がいるのかどうか。自分のことを知っていますので」

「国軍剣術指南役のマクガヴァン殿と?」

「禁書庫の入場証を頂きました。あの時はグレンフェル家に滞在していました」


 一瞬で空気が凍り付く。料理を口に入れる。美味しいぃ。


「王国学園にはどうしても行けないと?」

「教育を受けに行くとなると、知らないことを知りたいのです。総本部なら、学べることも多くあります。ですので、祝福後はファーレ王国にて修行をしたいと考えております」

「この国の貴族との交友を持つこともいいのではなのか?」

「平民の出身なら、貴族様よりもギルドに重きを置くのもしかたないこととご理解ください。まずは昇級をしなければなりません」


 サイモシー・ビルヴィス公爵は眉間にしわを寄せて、手を止めた。


「正直な話、この国にいて欲しい。ファーレ王国に行けば、そこに腰を据えるつもりだろう?学園に通ってこの国に戻りたいと。戻る理由をあてがうことも考えている。出来ればではなく、学園に通って欲しい。教育など受けなくてもいい。それよりもこの国への繋がりをもってもらいたい」

「ですが宰相様」

「実技試験はいらない。国軍より推薦状を書かせる。筆記試験だけ、名前を書きにだけ行ってくれればいい。宮廷魔術師からも推薦状を書かせる。グリゴリイの知識を収めた者を国外に流出させるのは、国家の損失なのだ。頼む」


 宰相が頭を下げて頼んできている。貴族が頭を下げるとは。よっぽど学園に通わせたいらしい。ここで断ったら祝福まで、平穏無事にはいかない。通ってからそっと消えるのがいいか。


「わかりました。それで学園とはどのようなことをするのですか?」

「行ってくれるか。手配はこちらでしておこう」


 宰相はホッとして食事を始めた。


「座学と実技の練習。今度魔獣の討伐に行くんだ。王都の近くだけど」

「そうなんだ。強いの出る?」

「ワイバーンと比べたら弱いのしか出ないよ。慣れるために倒しに行くだけだよ。一緒に行ってみる?学園のことを案内してから、森に行けばいいよ」

「それはいい。学園には話を通しておこう。学園の体験だ。存分に見て回るといい」


 公爵は学園に通わせたいみたいで、案内はベイジーンがやってくれるのかな。行かないと行けないのなら、事前に知っておくのもいいか。


「それっていつ頃になる?」

「3日後かな?学園の授業が終わってから、学園を案内出来る。明日、明後日は放課後に学園内の案内。3日後は一緒に魔獣狩りの実習を見に行こう。冒険者の護衛もつくよ。採点の先生と」

「たくさんで動くの?」

「生徒5人ぐらいのパーティー。前衛の得意な子や後衛の出来る子で戦いの役割を分けてやる。戦うのはパーティーのメンバーで、手に負えない危ない魔獣が出たら、冒険者が戦ってくれる。僕は今年教育課程を卒業して、研究課程に進むんだ。学園にはいるから、暇なときは魔法のことを教えてよ」

「いいよ」


 討伐の実習が終わるまでは、ビルヴィス公爵家でお世話になることになった。ベットのフカフカ具合が高級宿屋より上だった。よく寝られそう。

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読んでくれてありがとうございます。

☆や♡を恵んでください。お願います。

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