調薬1

 起きてから布団を片付けて、ハムを挟んだパンを食べる。ハムの塩味がパンで薄まって普通のパンを食べるよりはいいかなってぐらい。美味しいかと言われると、串焼きの肉を挟んで食べる方が美味しいと思う。何かで味を出してくれるともっと美味しいんだけど。串焼きのタレでも十分だと思うけどね。

 食べ終わってのんびりしていると控えめなノックがされた。出ると男の人が立っていて、一緒に来るようにいわれる。

「薬の知識はあるのか?」

「ある程度はあるよ」

「調合は?」

「ローポーションは作っているよ」

 連れてこられた場所は薬の調合とかをしている場所だった。

「ここにギルドが作る薬の調合表がある。症状に応じて作るものを決めて、その横には注意事項が書いてあるから読んであげること。薬をもらいに来る人は字が読めないことが多い。何をしたらいけないか、そういうことをちゃんと教えてあげるんだ。秤や薬研に乳鉢はある。机の下には量に応じた袋があるから、作った薬を袋に入れるんだ。入れる袋を選ぶんだぞ。作る薬は受付の人達が判断してくれるが、わからないときはこっちにこういう症状で伝えてくれるからそれに合いそうな薬を調合する。わからないときは聞いてくれ。薬草は棚に入っていて、名前が振られているから今のうちに見て、何があるのか、覚えてくれ」

 まずは道具の確認。天秤の重りや薬研の動き具合とかを確認。貼ってある薬の表を確認して、色々あるなって見ている。へー。何かを並べる箱も。

 薬草の場所の確認もしないと。たくさんの棚が並ぶ中で、上は小さい引き出し、下は大きい引き出しになっている。表を思い出しながら、薬草の名前を確認していく。名前を見る限りは下の大きな引き出しにだいたいの薬草が入っているみたいだ。場所を見ながら、いるようになったら確認しながらやるしかないかな。

 薬師ギルドが空くまで他の人達は忙しそうに動いていた。表を見ながら作れば間違いないと思う。症状はわかりやすく書いてあるので、見間違えない限りは大丈夫なはず。こういうのは初めてだから少し緊張する。症状を聞いて薬を作る。よし、行けるはずだ。


「ええとねえ、よく頭痛がするの。旦那の怒鳴り声を聞くとね、すぐに頭が痛くなってねえ。よくなる薬はあるのかえ」

「菊とかで調子が悪くなったことは?」

「菊で?ないね」

「それでは頭痛の薬をお作りしますので、イスにかけてお待ちください」

 1番最初の人は僕を呼びに来た人の担当みたい。ささっと材料を取りに行って、それからすぐに配合の表通りに量っていく。慣れているせいか手際がいい。それを混ぜ合わせ、机の下から袋を取り出して入れた。一連の動作に無駄がなく、見ていてすごいなと思った。

「出来た。頭痛薬だ」

 ハーブの入れられた薬の袋を持って受付に行く。

「菊で調子の悪くなったことはないんですね?」

「ないねえ」

「お茶にして飲んでください。この薬が効かなかったときは、もう1度いらしてください。薬が切れたら同じ薬をもらいに来てください」

「わかったよ」

 お代を受付の人がもらって、戻ってくる。次の人がやって来て、もう1人の人に薬の依頼が回る。みんな速い。薬草の場所まで行くのも速いけど、とってきてから混ぜ合わせるのも速い。

「これをお願い」

 返事をすると、風邪と書かれた木札が置かれる。なんか並べる箱って、木札を並べるための箱だったんだ。風邪のところの症状を確認するとエキナセア・エルダーフラワー・タイムと書かれてあった。

 まずはそれを覚えて薬箱からとってくる。まだ混ざらないように机に並べてと。秤を用意して書いてある分量を量っていく。薬研にそのまま入れてゴリゴリと混ぜ合わせていく。作業としてはこんな感じでいいのかな?混ざったので袋を取り出して、木札と一緒に持っていく。

「お茶にして飲んでください。特に注意することはないですけど、治りが悪かった、続くようなら、もう1度来てください。そのときに特にひどい、咳が治らないとか鼻水が止まらないとかを教えてもらえれば、それに合わせた薬を作ってもらえるので、よかったら教えてください」

「こんな子どもが作った薬で大丈夫なのかい?」

「この前、薬師総本部で研修を終えたので、薬師として薬の調合は合格をもらってます」

「総本部ってのはすごいのか、知らないよ」

 受付の人が割って入る。

「ここが国の本部になります。本部は薬師ギルドのある各国にありそれぞれ国に1つずつあります。だいたい王都にあり、その国の薬師ギルドをまとめています。その上に各国の本部をまとめる総本部があるのです。総本部では各種研修や研究などを行っており、薬師達の技術向上とよりよい方法を広めるために活動をしています。総本部での研修を終えますと一定の品質を持った薬を作れることを保証しております。ですので、薬師ギルドとして薬の品質は保証いたします」

「そうかい、薬がちゃんと出来ているなら別に文句はないよ」

 そういって薬を受け取った。渡したので調合台に戻って次の薬を作るのを待っておく。僕が作るとダメなのかな?それでも木札を持ってこられたら作るしかない。

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読んでくれてありがとうございます。

☆や♡を恵んでください。お願います。

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