フィーレ王国へ2
順調に進んで王都に到着。薬師ギルドに着くとギルド長が降りてきた。
「ランス君、すまない。数日飛竜が空かないらしくて、すぐにいってもらえないんだ。いつものところに泊まって待っていてくれ。準備ができ次第、呼ぶようにする」
馬に無理をさせたわけじゃないから、たぶん予定通りぐらいに着いているはず。急にいったから予約が出来なかったんだろうな。なるべく早く行って、帰ってきたいんだけど。
「他の移動手段ってあるの?」
「飛竜以外の手段は思いつかない。馬車や馬だともっと時間がかかるだろう。大人しく、飛竜の予約を待つ方が賢明だと思うんだが」
「そうなんだ。宿屋はいつものところで。街を見てから行くね」
移動できないならしかたない。冒険者ギルドで他に手段がないか聞いてみよう。冒険者ギルドなら何か知っているかも。
すぐに移動してレスタの受付に移動する。
「今暇?」
「暇じゃねえけど、どうしたんだ?」
「飛竜の予約が取れないときってどうするの?」
「冒険者ギルドだと緊急なら、総本部に専用の飛竜がいるからそれを貸してもらう。それが無理なら待つしかない。飛竜を借りるのが無理なこともある。時間を考えて馬でいった方が早いときは、なるべく乗れる速い馬を用意することもある。乗れるので1番速いのは伝説の天馬種になるが、乗せてもらった冒険者は今のところ確認されていない。空を走れるからな。あと天馬種がいることはないから、次に乗りやすいスヴァジルファリ、グラニ種ぐらいか。だいたいグラニに乗ることが多いな。他の馬より体力もあるのもあるが、自分で身体強化して速く走れるんだ。空は走れないが十分速い」
へーといっていると聞いていた。
「何か急ぐ用事でもあるのか?」
「薬師ギルドの総本部に呼ばれているんだけど、飛竜の予約が数日後らしいから何か移動手段がないかなって。冒険者ギルドなら知ってると思って聞いてみたの」
「飛竜に負けないなら天馬種ぐらいしかない。他は飛竜の速度には負ける」
「そっか。なら待つしかないね。ありがとう」
売買に関してのことなら、商業ギルドかな。知ってるといいな。
冒険者ギルドの次は商業ギルドに向かって行く。いつものように馬車や荷馬車、人の出入りが多い。どうにか中に入って行く。
「ランス様、何かギルド長にご用ですか?」
「ギルド長じゃなくてもいいんだけど、飛竜の予約が取れないから、それに負けない馬がいるって冒険者ギルドで聞いてきたから、知ってるかなと思ってきてみたんだけど」
「魔馬の天馬種のことになると思います。魔馬は特に気性が激しく、乗り手の実力を試すのでおすすめできません。一刻も早く行きたいとお考えでしたら、飛竜で行くのが安全で速いです」
「数日予約が取れないって、薬師ギルドで言われたから。馬屋にいるなら会ってみたいなって。会うだけならいいでしょ?」
困った顔をしてお待ちくださいと中に入って行った。もう1人のよく見る男の人と一緒だった。
「ランス君、魔馬がほしいんだって?しかも飛竜と同じぐらいの速度の。希望の天馬種は王都にいるにはいる。見るだけならいいが、試すとか、買って行くとかは考えないでくれ。それなら案内だけはしよう」
「じゃあ、見るだけにしとく」
「リクッターさん、いいんですか?」
「見るだけなら魔馬も攻撃してこないから、何も起こらないよ」
リクッターさんは近くにいた人を捕まえる。
「すまない、馬車を1台用意してくれ。パーシング魔馬屋まで」
「はい、わかりました。副ギルド長」
この男の人、よくいると思ったら副ギルド長だったんだ。知らなかった。
「馬車を用意するから、少し待っていてくれ」
受付の横で、待っているとシーラさんが入ってきた。
「どうしたんだいランス、こんなところに突っ立って」
「パーシング魔馬屋へ連れて行ってもらうところ」
「天馬種でも買うつもりじゃあないね?」
「見るだけだって。乗せてくれたら買ってもいいのかな?」
「危ないことはやめておくれよ」
リクッターさんが戻ってくる。
「ギルド長、飛竜の予約はどうしても数日かかるようです。天馬種を見るだけ見てきます。乗るために何かしないように、私もついて行きます」
「リクッターがついてくなら安心だけど、変なことをしないように見ておくんだよ。天馬種は都市を踏み潰したと言われるぐらいの力を持っているんだからね。試したら王都がなくなるよ?」
「承知しています」
「王子の婚約破棄で忙しくて、ランスの相手も出来やしない」
なにやらすごいことになっている。天馬種って、確かに強かったけど、都市をって、出来そうかも?威力はあった気がする。相殺していたからわかんないけど。
馬車の用意が出来たので連れて行ってもらう。
久しぶりにパーシング魔馬屋にやって来た。普通の馬よりみんな強いらしい。
中に入ると前と同じで、独特の何というか、ね。それよりもみんな大きいね。前は入れ替わりで掃除をしていたから、あんまり思わなかったけど。
「いらっしゃいませ。リクッターさん自らいらっしゃるとは、今回はどのようなお客様でしょうか?」
「商業ギルドでも大きな事業を発案してくれた方で、今回は天馬種を見るだけ、見るだけさせてもらえないでしょうか?」
「もしかしてそちらの小さな方がそうなのですか?」
「そうです。試すことなく、見学だけでお願いします。万が一になることが絶対にないようお願いします」
「は、はい。では、奥にどうぞ」
毛の色も色々あるんだな。赤や青っぽいのは普通の馬屋にはいない色だ。キョロキョロしながら、歩いて行く。
「こちらが天馬種になります。特に白馬は天馬種皇帝の血族と言われ、魔法を使い人語も解する優秀な馬になります。天馬種はいかなる地形もかけ、天すらも道と成し、移動にかけては唯一無二。天に地上に水上。あらゆるところをかけることの出来る素晴らしい馬です」
説明をしてくれている人も近づこうとはしていない。フンスと鼻息が聞こえながら近づいてくる。
「歩いているのを見てみますか?」
「見られるのなら見せていただいても」
「運動が好きなようですので、世話をしているものを呼んできましょう。少々お待ちを」
今の人はここの店主なのかな?お世話している人って、あのおっちゃんかな?
予想通り馬房の掃除のときのおっちゃんが来て、馬具をつけると馬房の外に出る。
「こっちだ。外でちょこっと歩いてくれねえか」
少し離れてみていると馬房からこちらへ歩いていく。おっちゃんのいうことは全く聞いていない。大人達は後ろに下がるが、僕は前に出る。
「ランス君!」
「大丈夫だよ。ね、おっちゃん」
「ら、ランスか。お前さんがいるんでいうことを聞かんのだな」
諦めたように手綱を放した。馬はゆっくりと近づいて顔をこすりつける。服をかんでひょいっと投げて背中に着地した。手綱を持って移動させると運動する場所に素直に向かう。背中もなでながら運動場を回る。
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読んでくれてありがとうございます。
☆や♡を恵んでください。お願います。
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