ファイアドラゴンと戦う2

 マジックバックが入らなくなってしまって、そこで取るのをやめた。空間倉庫はいつまでも入れられるから切りがない。3日ほどかけて中腹まで来るとファイアドラゴンが空をまわっていた。見つかっているのか見つかっていないのか、それとも敵ですらないと思われているか。頭上を飛ぶだけで何もしてくることはない。なので今のうちに登っている。何もしてこないのならね。


 グギャー


 頭上で叫ぶ小さめのファイアドラゴン。ワイバーンよりも小さい。見ていると急降下してこちらへやってきて、爪を前にして捕まりそうになる。瞬間、クリスタルで防ぐと上空に戻っていく。それを合図に魔力の大きな動きを感じる。もしかして?


 グオオオオォォォォ


 数匹がブレスをこちらに放ってくる。相殺するように氷の塊を作り出すとブレスに向かって飛ばす。けたたましい音と共に氷が、ファイアドラゴンの頭に当たって墜落していく。強すぎたのかな?それを眺めていたドラゴンたちは山の上へと飛んでいった。

「ズワルト、死んでないよね?力試しに来ただけなんだけど」

「あのくらいでは死んでおらぬ。弱い方とはいえドラゴンじゃ。気にする必要もない。そのうち目を覚ます」

「死んでいないならいいんだよ」

「ふむ、死なぬように手を貸してやろう。よいよい、たまには存分に発散するといい」

 漆黒の毛並みをふさふささせながらかっこよくいう。

「じゃあ、思いっきりやる」

 体の周りに風を纏わせると、宙に浮き上がる。高く、高く、上がっていく。ファイアドラゴン集団が降りてくる。

「何か用か?人間」

「本気で戦いたいんだ。戦ってくれないかな?」

「思い上がった人間が、下層の一族を倒したからと調子に乗るな」


 グオォオ


 示し合わせたかのような同時のブレス。集まって1つのブレスのように向かってくる。考えるより先に体が反対の魔法を目の前に作り出して受け止める。溶かされているな。じわじわと溶けていく氷の塊。まずいよね。

 集中するように飛んできているので、塊の周りから小さめの塊を作って飛ばしていく。目標は魔力のあるところ。ドラゴンは魔力が多いからすぐにわかる。数匹地上に落下していく。じりじりと氷が溶けているのはわかっているので、それを素早く繰り返して地上に落として、溶ける氷の後ろに同じ物を作ってしまう。防ぎながら氷の塊をぶつけて、地上に落とす。しゃべっていたドラゴンにブレスを防いでいた氷をぶつけて、目の前のドラゴンたちはいなくなった。死なないなら大丈夫だね。

 そのまま山を登っていく。上に行くほど熱く感じるのは気のせいかな?植物が少なくなって、黒い石が多くなってくる。ゴロゴロした感じ。

 さっきよりも大きいドラゴンがやってくる。赤くなってる?下のって茶色がかってる。

「珍しい、人間か。我らの体が目的か?」

「体・・・・・・そうか、ドラゴンって貴重な素材になるんだ。忘れてた。今日は目的が違うんだ。力を試したくて、ドラゴンなら相手になってくれるかなって」

「力比べと、人間に舐められたもの。その奢り、命であがなえ」

 急速に魔力が膨らんだと思ったらブレスが向かってくる。今までのと比べものにならないぐらいの威力で、さっきの集団で放っていたのよりも強い。出した氷の塊がぶつかると、すぐに溶ける。ハッとして、クリスタルで炎をそらす。クリスタルが溶けていっている。

 魔力の量を多くして氷を作り出す。それを口にめがけて飛ばす。ブレスの中を口に向かって突き進む。口に入ったところで、少し間があって爆発した。爆発の衝撃でブレスはやんだ。ここぞとばかりに氷の塊をぶつけていく。効いている。ふらふらとしているから真上に大きめのを作り出して、そのままぶつけて地面に落下していった。

「勝った」

 地面にぶつかる凄い音が響きわたる。動かないけど死んでないよね?

「どうしたランス、まだ上に強者がいるぞ。力を持て余しているだろう?」

「動かないけど」

「気絶して多少骨にヒビが入っただけだ。この程度で殺せるとは思わぬことだ。時間がたてば翼が落ちようとも再生出来るのだからな」

「そんなに凄いんだ。それなら全力でやってみる」

 あの大きな翼を再生出来るとか、ドラゴンって凄い。まだ強いのが上にいるみたいだから、さらに登っていく。

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読んでくれてありがとうございます。

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