ファイアドラゴンと戦う1

 朝日につられて起きるとまだメイドさんもいなかったので、荷物を一式持って屋敷の外に出た。門番の人にどこか行かれるんですかと聞かれて、冒険者ギルドに行ってくるとだけ告げて歩き出した。大通りに出ると開いている店で食料の追加調達。串焼きは店の準備中。

「おっちゃん早いね。まだやってないよね?」

「おう、これから準備だ。坊主はそんなに荷物を背負って、田舎に帰るのか?」

「違うよ。ギルドが開くまでに食べ物を買ってたんだ。おっちゃんの屋台が見えたから来てみたんだ」

「うちも冒険者がよく買っててくれるからな、ギルドが開く前には焼き始めているんだ。もう少し待っててくれ」

 準備を眺めながら食べ物屋が開くとそちらにいって、保存の利きそうな物を探す。今まで買ってきた物を買い足すぐらいかな。

「待たせたな。ほらよ」

 おっちゃんに串焼きのつつみをもらって、バックの中へ入れておく。そのまま、冒険者ギルドに向かって、朝の準備をして忙しそうにしている中に入っていく。依頼のつけ外しが忙しそうだ。教官達が冒険者を少し遠ざけて、付けたり外したりしているのを見ていた。終わったあと、教官が時間を計って立ち退くと一斉に冒険者達が争奪戦を始める。ちょっと離れたところで、眺めて受付が落ち着いたところでレスタの受付に向かう。

 気がついたレスタが依頼書を用意している。すぐにカードを出して受付に置くと手続きをして返される。

「ちょっと待て。場所や行き方はわかるのか?あと向こうのギルドにもよって、これから行きますとだけは伝えておかないといけないぞ」

「ふぇ?」

 直接行けばいいと思ってたので、変な声が出てしまった。

「向こうのギルドへの顔出しは必要だ。その国でのことはそこのギルドが受け持ってくれるんだから、ちゃんと依頼を受けてこれから行きますとだけは、いっておくんだぞ?」

「わかった」

「手配しておいた飛竜は入り口の近くに待機してもらっているから、依頼書とギルドカードをみせるんだ。それで連れて行ってくれる」

 ギルドによらないといけなかったのか。簡単な地図をもらって、入り口近くにいる飛竜を見つけ言われたとおりにする。飛竜に乗せてもらって飛び上がる。


 飛竜は乗り継ぎ乗り継ぎで、最速で国まで連れて行ってくれた。2日かかる。飛竜は速いんだね。入山口に1番近いのが王都ということで、冒険者ギルドのカードで入国。冒険者ギルドに入ると中がざわついた。受付のお姉さんが出てきて駆け寄ってくる。

「こんにちは、そんな荷物を背負っているけど、どこから来たの?どうしたの?」

「ここによって、これから行くって伝えておけって言われたから来たよ」

「ん?んん?冒険者なの?祝福はもらってる?」

「冒険者だけどもらってない。依頼を受けてここに来たよ。依頼書とカード。はい」

 お姉さんに渡すと依頼書を見て固まった。

「どうしたの?小さい子が好きだからって、この子、可愛いわね。だけど仕事に戻るわよ。いつまでそうしているの」

「ら、らら、らん」

「楽しいのはわかったから」

「ランス様!」

 急に僕の名前を様付けで呼んできてびっくりした。うるうるした目で手を握られると近い。顔が近いよ。

「ランスってあのS級扱いの子?この子が?」

「間違いなく。S級扱いの印にワイバーン単騎討伐の印もきちんと刻まれています。確認のために受付へどうぞ」

 いつも通り、うーん、ちょっと高い受付に補助台をなぜか用意してもらって、魔道具の上に手を乗せてた。

「登録されている魔力と一致、ランス様に間違いございません。討伐依頼になっておりますが、受注に間違いはございませんか?」

 先ほどとは打って変わって、事務的な声になっている。

「討伐するかしないかはわからないけど、ファイアドラゴンと戦えるなら大丈夫」

「かしこまりました。討伐以外もあり得るとのことでしょうか?」

「全力で戦えるなら、いいなって思ってる。討伐はあんまりしたくないかな。ドラゴンの住むところっていろんな素材が落ちてるし、いなくなるとそういうのもなくなるから出来れば戦うだけで帰るつもり」

「・・・・・・どういうことでしょうか?」

「戦う友達みたいになれればいいなって思ってるんだ。魔物って強いのに従うのが普通だから。練習の相手になってくれると1番いいかなって」

「従えると思ってよいでしょうか?」

「ちょっと違うけど、そうなるのかな?」

 首をかしげる。従えるのではなくて、たまに遊びこられればいいかなって思っているだけなんだけどな。従魔契約とか使えないしね。

「そうですか、祝福前ですと使役等の契約も出来ませんので、討伐という形にして結果を報告ということにいたしましょう。討伐金も低く、違約金も発生しない特殊な依頼になっておりますので、そういうことを考えられて発行されておられるのでしょう。本日は遅くなっておりますので、ギルド推奨の宿にお泊まりいただいて、明日から登るようにしてください。向こうのギルドからも遅い時間なら調整をするようにいわれておりますので」

 そうなの?よくわからないけど、そうなんだろうね。おかしいことをいわれているわけじゃないから、言葉にしたがって宿屋に行って次の日を迎える。


 朝食を取ってから宿を出て普通に山の方角へ。途中で山に行く途中の検問にひっかかったけど、依頼書を出すと普通に通してもらう。連絡はしてくれているみたいでよかった。それから検問はなくて、道も草が生えて道かどうかわからなくなってきた。大丈夫かな?草を刈りながら進んでいく。道だとなんとなくわかるのは、左右に石の柱が並んでいるからだった。壊れたり、なくなっているのもあるけど、道がわかる程度には残っている。誰かが通っていたということぐらいはわかるけど、長い間使われていないようだね。古代文字とかあるかもと思って、たまに調べてみるけど古代の人が作ったものではない。形とかをまねしているだけだね。

 少し広い場所で休憩を取ってからひたすら進んでいく。ドラゴンはまだ見かけていない。もう少し上に住んでいるのかな?飛べるからどこに住んでいてもおかしくない。飛べるって便利だね。こっちは見つかりにくいようにするのが大変。早く祝福が欲しい。

 そろそろ耐火装備と登山をするための靴にする。マジックバックも燃えないように袋に入れておく。あとは、自分の空間倉庫の整理も。こういう人目がない場所でやらないと無理。大きな石の塊とか、使わないよね。その辺に置いておく。気を取り直して出発。


 途中から薬草をたくさん見つけて、せっせとマジックバックに収穫している。取り放題だやった。気持ちが高ぶらせながら、採集していく。空間倉庫にも入れていく。

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読んでくれてありがとうございます。

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