王都でお仕事中1

 また王都に来た。移動が長いんだよね。天候が悪いと何日か遅れてしまう。祝福まではしかたない。移動手段が欲しいけど、お世話できないから困る。いつでも一緒なら飼うこともできるけど、まだ落ち着かないので餌があげられないようなことはしたくない。考えるけど、まだ忙しいよね。

 大通りぞいの冒険者ギルドに入っていく。一瞬で目線が集まって、道が空く。受付の1番開いている、1番奥レスタのところに一直線で向かって依頼書を出した。

「完了したよ」

「おお?ランス久しぶりだな。何の依頼だ?」

「公爵の面会依頼を終わらせてきた」

 カードも受付に置いておく。

「はあ?公爵領の冒険者ギルドに行けばいいだろう。わざわざ、本部まで持ってくる必要あるのか?」

「公爵領ギルドとは敵対した。知らない?だから絶対によらない。緊急であっても目の前でドラゴンが飛来していても絶対に応じない。公爵領冒険者ギルドはなくせばいい」

「そこまで言うのならよっぽどだったんだな。完了処理をするからちょっと待っててくれ」

 カードと依頼書を持って事務長のところに持っていった。

「なんで子どもにビビっているんですか、アニキ」

「あのランスと問題を起こしたら降格処分の上罰金だ。しかも腕を飛ばされても文句は言えねえ。S級なんだよ、あんななりに騙されるな。ギルド職員ですら奴隷落ちにさせているんだ。関わらないのが1番だ。覚えておけ」

「へい、気をつけやす」

 受付で事務所内を観察中。レスタと事務長は話し中。受付のお姉さん達は忙しそうに絡まれつつ仕事をこなしていく。依頼書とカードを受け取ってから、受領処理まで注意事項や話しながら同時進行で行っていて、なんかわからないけど凄い。完了の処理や出金入金もその後ろにいるお金の人と連携して、なんか凄い。

「待たせたな。他の受付嬢なんか見て色気づいたのか?」

「依頼の処理とか速いな凄いなぁって見てただけ。色気づくって何?」

「女の子に興味があるのかと思ってな」

「うん、あるよ。婚約者が出来そう。正式な書類待ち」

 大きな叫び声がギルド内に響く。冒険者や受付嬢が一斉にこちらを向いた。

「婚約者って、相手は誰なんだ?ちょっと待てよ、辺境伯のところへは行ったんだから、そこの娘さんか?3女のシルヴリン様か?器量よしと聞いている。戦闘系のスキルを持っているから、辺境伯領住まいか?」

「シルヴリンじゃないよ」

「学園に通っている次女のフィリーダ様か。年が離れているがランスには年上の姉さん女房のほうが合っているかもな」

「あの人か、フィリーダっていうんだ。でも違うよ」

 考え込むように他に嫁に行きそうな人がいないんだがとブツブツつぶやく。

「ま、まさか呪い姫なのか!」

「そう呼ばれているみたいだね。シャローザだけど、何かまずいの?」

「呪いを持っているだろう?黒いもやをだして、周囲のものを近づけさせない。なんかまずいじゃなくて、呪い持ちは1番忌避するべき結婚相手だろう?」

「そうなの?気をつけるね。他の人に害のあるものじゃないし、その辺はどうにか出来ると確信してる。あの、なんていえばいいのかな。黒は協力してくれたし、いい子だと思うよ」

「黒?・・・・・・協力してくれるのならどうにかなるのか」

「祝福を受けたらどうにかするから、今は抑えることしか出来ないけどね」

 普通はそれも無理なんだがというレスタを無視して、カードを受け取って冒険者ギルドを出て行った。街道をうまく機会を図って渡りきる。馬車が遅いながらたくさん通っているので、引かれるとこっちが悪くなる。貴族にひかれたらよけいにまずい。だから冒険者ギルドにはあんまり行きたくないんだよね。

「ビーカーとポーションを作りに来たよ。どっちから作ればいい?」

 ギルド員用の受付のお姉さんにカードを出して聞いてみる。後ろを確認したあと職員用の扉を開ける。案内をされて通されたのは倉庫だった。ビーカーからかな?

「思ったよりも引き合いが強くて国内外から売ってくれと要望がすごい。我々もランス君しか作れないので、お願いするしかないんだが作ってくれないだろうか」

「言ってくれれば作るし、お金がいるようになるからたくさん作るよ」

「そう言ってくれるか。今回は前の5倍でお願いする。量が量だけに魔力が少なくなってきたら1度休んで、次の日にまたするようにしよう。無理にしてもらうのは、我々としては本意ではない。まずは自己管理をしっかりしてもらって、無理そうなら次の日にまわして魔力枯渇には絶対ならないように」

 魔力量の調整か。生活魔法で切れたことないんだよね。ごっそり持って行かれるのはほとんどいない属性の魔法を使ったときだ。普通の属性ではそんなに、回数をこなすから使うのかな?魔力量の残量に注意しながら頑張ろう。


「この量が1日で出来てしまうのか。ランス君ご苦労様。いつもの宿をとっているからゆっくり休んでくれ」

 伸びをしながらお疲れ様と言って薬師ギルドを出て行った。いつもの宿ってあの高級な宿屋のこと?何かあってはいけないからここにするようにしたはず。歩いて中に入ると従業員の人が近づいてくる。

「お待ちしておりましたランス様。夕食と朝食はいつも通り、お部屋にお持ちしてよろしいですか?」

「うん」

「では、ご案内させていただきます」

 顔を覚えられている。鍵を持って通り沿いの部屋に案内される。思ったよりも疲れている。集中力は使うし、ついたばかりですぐに始めたから疲れるのかな。前はもっと疲れることをしていたけど、もしかしてサボってる?もっとやらないと前みたいに頑張れていない。婚約者が出来るのに。

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読んでくれてありがとうございます。

☆や♡を恵んでください。お願います。

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