シャローザと婚約?6

 目を潤ませながら見つめられる。連れていきたいけど、口約束で連れ出すとあとで問題になってもおかしくない。きちんとした書類があることで一緒にいられる。彼女は辺境伯家の血族で貴族なんだから。

「ご一緒してはいけないのでしょうか?」

「今は口約束で婚約を破棄出来るんだよ?そんなことはなかったで、終わるんだからきちんと書類を用意してくれないと来ちゃダメ。誘拐とかにされて、村が攻められるとかありそうだし。追い返したりは出来るけど、僕が犯罪者になっちゃう。ギルドにも迷惑かける。正式な書類と確認出来たら、いつでも来てもらっていい。犯罪者になるのはイヤだからね。そこはちゃんとしてもらわないと、シャローザは欲しいけど、血の海で婚約と結婚したい?」

「それはイヤです。ランス様を犯罪者にするようなことをするわけにはいきません。正式な書類の用意をお願いしまして、発行されましたらお迎えをお願い出来ますでしょうか?」

「うん、その時は迎えに行くよ。ふう、ギルドでも書類とかしてないのに。でもギルドは約束を守らなかったりしたら、やめればいいのか。書類までいらないのかな?ギルドカードが書類の代わりになるからいいのか?」

 ギルドでの約束事が守られてないと、冒険者ギルドみたいなことにしないと厳しいのか。F級はそこまで出来ない。他のギルドは移れない。調べてくれるところとかはあるのかな?わからないな。

「ギルドカードはギルドへの所属を示しているだけですので、書類は作られたほうがいいのではないでしょうか?冒険者ギルドでもクエストは紙があると聞きますけど、どうなのですか?」

「そうだね。クエストボードから選んで受注の受付をしてもらう。薬師ギルドとかはどうなんだろう?商業ギルドは書類をきちんと作成してくれるんだろうか?」

「商業ギルドは契約をきちんと書類で行うようにしているので、書類がないのはおかしいですね」

「取引の割合は決まって、相場をどうするかは任せたから?でもうちの領主も取り分があったからそのせい?貴族の契約を優先するからかも」

 領主の使いにはこの割合だよって伝えさせるように追い返したから、きちんと決まっていないってことになるのかも。書類でするならきちんとするだろう。

「それでしたら領主との契約を決めてから、ランス様の契約をするはずです。薬師ギルドはわからないですね、売り買いをするためと薬師に助言を行っているように見えるので、所属すること自体が売買に当たるのかも知れません。決まった手数料や運搬料とか決まっていて、祝福をする時期に一括で説明しているのかも知れませんね。一斉に所属登録するでしょうから。冒険者ギルドのように随時登録する人が多いところは少ないですから」

「それなら薬師ギルドには1度聞いてみないとね。他に聞きたいことはある?」

「村でどのように生活されているのかもお伺いたいのですが、それよりも私にためられている魔力が切れたときに、どうすればいいのかわからないのです。ランス様が来てくださるのでしょうか?」

「光の魔力をシャローザに注ぎ込めばいいから、誰でも出来るよ。魔力を注ぎ込んでもらうだけ。難しいことじゃない」

「それでしたら安心です」

 シャローザの手を取って、光の魔力を注ぎ込んでいく。体が少し光る。

「ちょっと光ったら、これ以上は入らないからそれが目安だよ。誰かにしてもらうこともあるだろうから覚えておいて」

「いつもランス様がしてくださるのではないですか?」

「正式な婚約者ではないから、一緒にいるのはいけないんじゃないのかな。貴族ってそういうことで犯罪者にしたり、殺したりすると聞いたことがあるから難しいよ」

 グリじいに貴族の女には気をつけろと教えられている。女には気をつけろとティワズもいっていた。平民の女なら別れるとかお金取られてぐらいで終わりだが、貴族の女はたぶらかされたとかで平民は殺されちゃうか、犯罪者にされることがあるから特に気をつけろと言われた。そんなこともあるから正式な婚約にしておけば、最悪犯罪者にはならないはず。

「誰がそのようなことを」

「師匠達が2人ともいってたから、見たり聞いたりしているんじゃないのかな?本人がそうなかのは知らないけど」

「お師匠様が。ならば、私もお父様に早急に正式な書類を揃えるようにお願いします」

 立ち上がりそろそろ出て行くよと告げる。荷物を兵舎に取りに行って。

「お待ちください。もう行かれるのですか。ごゆっくりされてからでもいいのではないでしょうか?お食事を取られてからでも」

「長居をしたくないんだ。ここにはシルヴリンもいて、僕は落ち着けないんだ。だから、帰る場所に戻る。待っているよ、シャローザ」

 少し跳ねた髪をなでて、みんなが消えるのを確認すると扉を開けた。帰る準備を整えて、門のところにはシャローザが見送りに来ていた。

「帰られるのですか?」

「ここは僕のいる場所じゃない」

「そんなこと、いてくださってよろしいのですよ」

「本当はシャローザとはもっと一緒にいたい。だから待ってるよ。次は婚約者だからね」

 それだけいって門をくぐる。街道は大きくて立派な物だ。帰りの食料をさらに補充して、城門をくぐり外の世界に出て行く。それなりに人の流れがあるので、街道に沿って進んでいく。途中の薬師ギルドとかで道を聞きながら帰り道を進んでいった。村への道を進んでいく。

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