元気になって依頼を受けるw
日が昇って目が覚める。お腹空いたけどお店は開いていない。ここのギルド長かフッセさんが来るまでは待っていないと心配するからね。お腹が空いた。近くのお店でも開けば買いに行くのに。串焼きやとかまだだよね。お店が動き出すのはまだかな。1人なら空間倉庫が自在に使えるのだけど、誰が見ているのかわからないこの場所では使えない。早く誰か来て。
朝早くからすぐに動けないのが困ったところだけど、ただで泊まれるならそのくらいは我慢しないといけない。フッセさんが来たので、ご飯を買いに行くと言ってからパン屋で買ってお腹をみたす。小麦を買ってから 調合室において石を探しに出る。だせるとすぐなんだけどな。門番の人に取っていい石を聞くと石壁近くじゃなければよいとのことだったので道沿いに歩いて探す。粉をひくための小さな石臼が作れればいいので、そんなに大きくなくていいんだ。ごろんとした石を見つけたので、それをざっくりとした円柱にする。横にして転がしていく。持っていけなくない重さだけど、転がせるんだから利用しよう。門の待ち時間が長いからちょっとづつ前に進むしかない。ギルドカードを見せて中に入る。
調合室に入れておいて、次は回すのを補助する木と粉を回収するための皿のような、石か木か。ちょくちょく来るなら木でいいか。もう一度外に出て、木をとって戻る。今度は重さがないから楽かな。調合室の前で石と木の加工をする。石は回せるように軸部分と曳くところと上の石には曳く物を入れる穴をあけておく。石臼の下に木の枠をひいて、粉を回収できるようにして、木の取っ手をつけて、試しに回すときちんと回った。
「何やってるのランス君?」
振り向くとフッセさんが来ていた。不思議そうな顔でのぞき込んでいる。
「えっと、パンの種をもらったらパンを作ろうと思って、臼を作ってた。うまく回るかどうかの様子を見ていたところ。回るけど曳けるかな。ちょっと入れてみよう」
小麦を入れてから回してみる、重たいけど回るし粉が石臼から出てきている。
「よし、うまく出来た」
「なんか、聞いたことのない音がしてたから来てみたけど、石臼を作っていたなんてね。どうやって作ったの?」
「生活魔法で削って、あとは調整をしながら回るかとか曳けるかを見てた。うまく曳けていたから十分かな」
「生活魔法で?そんなこと出来るの?」
「出来るよ。頑張って、練習してレベル上げれば。凄く頑張らないとレベル上がらないけど、やれば出来るよ」
なぜか引きつった顔で目をそらす。
「魔法は練習したけど、全然ダメだったのよ。センスがないわ」
「生活魔法を練習する人なんていないからね。でも、生活魔法は基本なんだって、師匠が言ってたから練習を続けているよ。出来ると祝福でもらうスキルの魔法とかが使いやすかったりするんだって、だからもらえるまで、もらっても頑張っていくよ」
「どんな風に練習するの?」
「最初は魔力を感じるだけでいいって。火の生活魔法で火をおこすよね?そうすると火が出るでしょ?それを続けるの。途切れてもいいから火を出し続けて、火を灯し続けるだけ。それをなるべく毎日続けていくの」
小さな火を宙に浮かせる。ただそれだけ。
「それだけでいいの?」
「うん、他の属性が使えるのなら他のも浮かべて、一緒に練習。四属性を浮かべていられると効率はいいよ。うまく出来ないなら1つから増やしていく」
風の塊、土の塊、水の塊を火の横に並べる。生活魔法はスキル補正がないから、祝福後の魔法スキルありの人がやっても難しいらしい。頑張れば出来ると思うけどね。
「師匠もLv.5で止まったらしい。他にもしたいことがあるからって。師匠が言うにはLv.を上げていくと、上位魔法が使えるかもっていってたから頑張るの」
「それでランス君は生活魔法はレベルいくつなの?」
「7って昨日、冒険者ギルドのヘルセさんが測っていったよ」
「7って生活魔法Lv.7なの?」
うんと返事をして宙に浮かせている四属性の塊を消す。動かなくなったんだけど、どうしたんだろう?
「おーい、フッセさん?おーい」
声をかけても何も反応がないのでどうしたらいいのか、目の前で手を振ったりしているけど反応がない。どうするか考えるけど、案は浮かんでこなかった。どうするべきか考えるけどわからない。たっぷり固まったあとに動いて僕の方を見る。
「フッセさん、いつまでもここにいていいの?」
「ギ、ギルド長!ギルド長!」
裏口からギルドの中に入っていった。どうしたんだろうね。ところで何をしに来たんだ?中に入ってしまったのでわからない。お昼は過ぎているのかも、半日ぐらいで出来そうな依頼が冒険者ギルドにないかな?臼を調合室に入れておいて依頼を探しに出かける。冒険者ギルドは酒場でお酒を飲んでいる人たちと受付の人ぐらいしか見えない。掲示板でF級の依頼を探してみる。庭の雑草抜き、排水溝の掃除。屋根の修理?さすがに無理。庭の雑草抜きぐらいなら今からでも夕方には終わりそう。依頼書をはがして受付に持っていく。
「これをお願いします」
「はい」
依頼処理が終わってカードと依頼書をもらう。依頼書をなくさないように気をつけないとね。
「この依頼者の家ってどっちの方に行けばいいですか?」
「ええと、この依頼は西側に家があるはず。簡単な地図を渡すから探してみて」
「ありがとうございます」
街の中に繰り出して、薬師ギルドをちょっとすぎて左に曲がる。歩いていって奥の方に進んでいく。あまりいい雰囲気じゃないけど、草抜きの依頼はこの近くっぽい。地図はざっくりとしているので、見回してみる。人は住んでいるようだけど、あまり物音がしない。もうちょっと奥かな?地図では石壁のギリギリぐらいなんだけど。草が生え放題で高さは僕の背丈ほどある。放置されているのか、草刈りをしていないのか、わからないけどなんとか通り道があるのでそれを通って奥に進んでいく。
「ここじゃないかな?」
草に埋もれた家?自分の背丈ほどの草なので急に見えてちょっとびっくり。
「こんにちは。冒険者ギルドから依頼を受けてきました」
反応がない。
「こんにちは」
扉をたたくけど一切の反応がない。誰も住んでいないのだろうか?一応鍵もかかっているので諦めてギルドに帰ろう。元来た道を進んで帰って行く。街中から離れた場所に住んでいる人がいるんだな。
ギルドに入って受付の人に依頼書を出す。
「依頼者が家にいなかったのでやめます」
「ちょっと待ってね。あっこれ、依頼主がギルド長なの、今いってもいないわね。いつもなら受付でうろうろしているはずなんだけど、呼んでくるから待ってて」
そういって奥に入っていった。人がいないなら依頼が出来ないよ。ギルド長?あの人?うーん、イヤな予感しかしないんだけど。やめてもいいよね?待っていると奥から出てきてしまった。なんか反射的に受付の下に隠れた。
「誰が受けた?受付に見えないけど」
「さっきまでいたんですけど、帰っちゃったのかな?家にいないから戻ってきたって」
「そうか、受けたら私にいってくれって書いていたんだけど、見落とされたかな?」
受付からそっと顔を出す。ばっちりギルド長と目があった。そっと依頼書とカードを受付に出す。
「キャンセルをお願いします」
「ランスが受たのか?ほかにF級の依頼なんて誰も受けないか。うちにいないもんな」
「ギルド長は忙しそうなので、依頼は受けなかったことに」
「最近休んでなかったから、今から休んでランスの草刈りでもみるよ」
受付の人にすがるような目で訴えたが首を振られた。
「それじゃあ、行くか。依頼のついでに飯でも食っていくよな?なっ?」
受付から出ると隣に立っていた。そしてすごい力で肩を叩かれる。普通の人ならすごく痛がると思うんだけど。
「草刈りをしたら帰ります」
「ご飯ぐらい食べていくよな?F級なんだからお金ないだろう?」
今度は肩に手を食い込ませて、圧力をかけてくる。
「草刈りをしたら帰ります」
聞こえているはずなのに、どんどんと力を込めてくる。ちょっとニオイが。あんまり力を入れられると。
「あの、骨が折れます。治療してくれないならそろそろ力を緩めてください」
「F級なんだから、ギルド長のいうことには従うんだ。一緒に夕食を食べるよな?」
「料理は出来るのですか?」
「挑戦はした、一応、道具はあるの」
出来ないのに道具だけがあるとはどういうことだ?力を抜いて両肩を捕まれている。もしかして、ティワズと同じ食えればいいという脳筋戦士?家をのぞきたくないが、真実はそこにしかない。
「わかりました。今日だけですからね」
「今日だけ、今日だけ。そうそう、受けてくれればいい」
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