　夏がメインと思いがちの紫外線対策だが、実は戦いは春先からすでに始まっている。

　特定の波長の紫外線の量は、4月の時点で実は6月とそう変わりはないのだという。

　3月あたりにこの情報をキャッチした私は、そこから紫外線対策グッズの買い足し、日焼け止めの見直しに勤しんだ。

　まず、部屋の窓ガラスにはすべてＵＶカットフィルターを貼った。

　ワンルームマンションだと、窓はバルコニーに出る掃き出し窓一つと、洗面室の小窓のみなので、そう大変な作業でもなかった。

　これで屋内に入る紫外線はカットできる。

　そして屋外での対策。

　何となくで使っていた晴雨兼用傘を捨て、紫外線100％カットの完全遮光・遮熱タイプのものに買い換え、肘上まである黒いＵＶカット手袋を買い足し、目からの攻撃も防ぐためサングラスも買った。

　さらに日焼け止めの見直し。

　今まで、顔はベースメイク用品に少しだけ日焼け止め効果が入ったものを塗る程度だったのを、コスメカウンターで日焼け止め乳液を選び、ベースメイク用品もさらに効果が高い製品に変えた。

　また、普段のケアにも力を入れるべく、美白効果の高い美容液、シミの生成を防ぐビタミンＣの導入、日焼け止めサプリなども調べて購入した。

　こんなことをやっていると、不思議と高揚感が出てくるもので、コンプレックスへの対策をしているにもかかわらず、気持ちはどこか軽やかだった。

　まるで、一つ一つ武器を揃えて、モンスターに立ち向かうような、そんな気分というか。

　そうして買い揃えた品々を下ろし、使い勝手にも慣れてきた5月の朝。

　能天気なニュースキャスターの天気予報の締めの一言に、甘いな、と不敵な笑みを返して、テレビの電源を切る。

　たくさんの防具たちを携えて、今日も通勤路へ赴くとしよう。

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