第4話 付き合ってる人いるの?

「どうだったバスケ部?」

「え?」

「春香に見学連れてってもらったんでしょ?」


晩御飯までの一時。

帰宅してリビングに行くとソファに寝転んで雑誌を読んでいた弥生姉が話しかけてきた。

普段は部活や塾で帰りが遅いことが多いけど、今日は部活が休みということで珍しく早く帰ってきていた。


「うん。練習は大変そうだけど、遣り甲斐もありそうだし入部予定だよ・・・」

「そっか。頑張りなさいよ!って、どうしたの何だか浮かない顔して」


そうなんだよな。

部活の事は良いんだけど、、、

春香姉とコーチの関係が気になって。

そうだ、弥生姉なら知ってるかな。


「あのさ、春香姉って・・・彼氏とかいるのかな?」

「春香に?聞いたこと無いけど・・・どうかしたの?」

「うん・・・男子バスケ部のコーチと凄く仲良さそうで・・・"春香ちゃん"とか呼ばれてたし」

「はは~ん。やきもち焼いてるっていうか愛しの春香姉にもしかして彼氏が!!ってことで落ち込んでるのね」

「茶化さないでよ。それにそういうわけじゃ・・・」


弥生姉に聞いた僕が間違いだった。。。

それに、そもそも春香姉は僕の彼女ってわけじゃないんだし男友達とか・・・彼氏が居たって僕にとやかく言う権利はないし・・・。


「全く早く告白でもなんでもしちゃえばいいのに。好きなんでしょ春香の事。

 それに小さい頃からの付き合いなんだし春香だって多分あんたのこと悪くは思ってないと思うよ(っていうか結構好きだと思うよ。まぁ教えてあげないけど♪)」

「で でも・・・」

「でもも何もないの。春香の方が年上だからって待ってても告白はしてくれないと思うよ。あの子も結構奥手だし」

「う うん・・・」

「あ~もうじれったいなぁ。春香って結構どころかかなり人気あるんだよ。ちょっと天然なところはあるけど、見た目可愛いし生徒会長やってて誰にでも優しいしさ。今のところは告白されても断ってるみたいだけど、早くしないと誰かにとられちゃうよ」

「・・・・」


だよね・・・それはわかる。

同じ学校に通う様になってあらためて思ったよ。

春香姉が教室に来ただけでみんなの注目浴びたし・・・だから余計に僕なんかが告白していいのかって思っちゃうんだよな。


「う~ん。睦月も奥手だからなぁ~

 まぁでも男子バスケ部のコーチってことは、村田さんのことだよね?

 春香と親し気に話してたのって」

「そうだけど、弥生姉もコーチの事知ってるの?」

「うん。まぁね。だから、あの人なら大丈夫だよ。

 バスケ部のOBでもあるけど、ご両親が小春おばさんの高校時代の先輩でもあるのよ。ちなみに駅前の酒屋さんだよ。

 だから家族ぐるみの付き合いで小春とも小さい頃から面識あるのよ。私や菜月も何度か会ったことあるけど、ちゃんと付き合ってる人も居るみたいだし」

「そうなの!!コーチって彼女さん居るの!!」

「な なによ現金ね。いるわよ。だから安心しなさい」


そ そっか彼女さんが居るんだ。

よかった・・・・っていうかそれなら成海も教えてくれれば。

あいつだってコーチと知り合いだったってことだよな?

でも・・・それはそれとして僕が春香姉に告白か・・・。




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<渋沢 成海視点>


「成ちゃん。バスケ部入ってくれるんだね。お姉ちゃん嬉しいよ!」

「だーかーら、もう高校生になったんだし、その成ちゃんってのはやめてくれよ。

 っていうか間違っても学校とかでは言うなよ」

「え~いいじゃない。成ちゃんは成ちゃんだし♪」


姉ちゃんが良くても俺が恥ずかしいんだって。。。

それに睦月のやつが羨ましがるし。


「あ、そういえば見学の最後の方、何だか睦月君難しい顔してたけど大丈夫だった?何かあったのかな?」

「・・・姉ちゃん無自覚か」

「え?」

「あ、いや何でもない」


睦月が難しい顔してたのは確実に姉ちゃんが村田さんと仲良さげにしてたからだろ。まぁ俺が説明するの忘れてたのも悪いんだけどさ。

あ、そうだな。念のため確認しておくか。


「それよりさ、姉ちゃんって彼氏とか居ないよな?」

「ふぇ!う うん。居ないけど何よ急に」

「でも結構告白とかされてるんだろ?前に弥生さんが言ってたぜ」

「もう弥生ったら。。。まぁ確かに告白は多いけどさ。まだ高校生だし」

「"もう高校生"だろ。断った理由はタイプじゃなかったとかなのか?」

「まぁそれもあるけど・・・」

「はっきりしないなぁ~」


中学の時も姉ちゃんって人気あったし高校でも目立ってるみたいだからモテるのはわかるけど・・・断ってる理由は多分睦月なんだろうなぁ~

睦月が姉ちゃんのことを好きなのは横で見ててもわかるけど、姉ちゃんも睦月に接する時の態度が明らかに違うもんな。

年上だからとか気にしてるのかもしれないけど、お互い好きなんだからとっとと告白しちまえばいいのに。


「ねぇもしかして私が何か睦月君が嫌がるようなことしちゃったのかなぁ。

 馴れ馴れしく教室行っちゃったこととか怒ってるのかな」

「あぁもう。睦月に限ってそう言うのは大丈夫だから」

「ほ ほんと?睦月君私の事嫌いになってないかな?」

「大丈夫だって(むしろ好きだって)

 それよりお腹空いたよ。今日は父さんも母さんも帰り遅いんだろ?祖母ちゃんも今日は出掛けてるし夕飯どうすんだよ。姉ちゃんが作ってくれるのか?」

「え~と料理は。。。」


姉ちゃんって完璧に見えて家事の方は色々と残念なんだよな。

センスが無いというか・・・多分睦月も苦労するぜ。

仕方ない今日は俺が作るか・・・まぁカレーだけどな。

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