第15話
「………被せたものはいいものの、どうするか。ティアの家へ眠らせた状態で送るか? でも、お昼食べに来たんだし何か食べさせてあげた方がいいよな。」
布団を被せて一応肌が隠れたものの、ティア自体が裸なことは変わっていない。前世の価値観など持っていなかったら、問答無用に服を着させたり出来るのだが、生憎そんな精神力は持っていない。そんな精神力を持っていたら、前世で童貞なんてやってないだろう。
布団を見ると、布団が掛けられているからといってもあまり布団自体が厚くなく、ティアの豊かな双丘の部分だけ妙に盛り上がっている。この世界だと男性が極端に少ないせいか、男性の容姿に近い、胸とお尻が小さく引き締まった体型が女性の理想の体型らしい。
この世界の他の男はどうなのか知らないが、俺はそんなの関係なしに肉付きのいい女性が好きだ。
「とりあえず、このまま寝かせておいて、ティアが起きるのを待つか。」
部屋の隅に置いている剣を取り、体の軸を意識しながら縦に振る。最初なんて、剣の重さに体が引っ張られてばかりでフォームがぐちゃぐちゃだったが、今ではしっかりと体を崩すことなく体重を乗せて剣を振ることが出来るようになった。
何せ、この世界の剣は魔物を切り裂く為に作られているせいか、日本刀が約一キロなのに対して、この世界の剣は十キロもある。約十倍。剣を持つだけで、相当な筋トレだ。この世界では朝飯前というように女性はブンブン振る。5キロのダンベルを持てることで堂々と自慢してきた友達に見せてやりたい。
俺は筋肉痛で腕が動かなくなるまで、剣を振り続けた。
■■■■■■■
「……んん……んんんっ……もっと…もっと…いい?」
「……」
「えっ!? ど、どうしてノアちゃんが?」
何時間か分からない程剣を振り続け、筋肉の疲労が最大になったことで剣を置こうとした瞬間。ティアは俺が眠らせる前の発情した状態で、目を覚ました。
俺が魔法を使って綺麗にした部屋は発情しているティアから出た液で再び濡れ、脳を蕩けさせるような甘い匂いが広がる。
Why?
感覚的にいえば冷凍されるもまだ生きていた魚が溶けて、急に動き出すような感じだろうか。
自分でもよくわからないが、ティアを発情した状態で強制的に眠らせてしまったからか、起きた時その状態が継続してしまった。
そして今。
魔法で愛液が広がる部屋を綺麗にしたという俺の配慮が全て無に帰し、ティアの発情した様子を俺は直接見てしまった。見ないことにしようとしたが、ティアの蕩けた目と俺の目が合ってしまい、どうしようもない。
前世でいうなら、裸を見た責任を取れと言われそうだが、生憎この世界ではそんなものは無い。この世界はそもそも、女性の裸には価値がないのだ。……まぁ、俺にはあるが。
紅く蕩けたような顔から一転、青ざめたような顔でしゅんと肩を小さくすると、白く傷一つない滑らかなくびれのある肌を隠すように布団に潜る。
「…………ノ、ノアちゃんはお風呂じゃなかったの!? そ、それに、わ、私の裸……見られちゃったよね?」
「……うん。」
目の保養になった。
「……わ、私の筋肉質じゃない脂肪の多い裸なんか見せられて、幻滅したよね? ごめんなさい。ごめんなさい。あの、ノ、ノアちゃんの言うことなら何でも聞くから、どうか嫌わなーーー」
この世界の理想の体型は、引き締まった体型だったからか、布団の中から顔の部分だけを亀のように出し、軽く目元を濡らしながら言葉を呪文のように言うティア。必死さからかとても早口になっていて、舌があまり回っていないのか滑舌が悪くなっている。
そんなティアを見た俺は、思わず本音をぽそりと呟いてしまう。
「……俺はティアの体型が好きだよ。…というより、エロい。」
「……え?」
少し遅れてやってくる疑問に満ちたティアの言葉。
さっきまで少し小さく開いていたティアの目も、今でははっきりと開いている。
「ちょ、ちょっとノアちゃん!! い、今なにを!?今、何を言ったの!? え? わ、私の体がエロい!? 」
布団の中から勢い良く飛び出し、艶かしいを隠す様子もなくこっちに攻め寄ってくるティア。息は荒く、獲物を見つけた肉食獣のような目で見つめられる。いつもの落ち着いた様子とは考えられないティアを、とりあえず落ち着かせようとする。
「………何でもない。だから、とりあえず服を着ーー」
「も、もしかしてノアちゃんて痩せてるよりも太ってる方が好きなの? ダンジョンの時も私の胸を見てたしーーー触る?」
触りたい。
本当は、その大きく実ったたわわを揉み尽くしたい。
ーーが、理性をしっかりと保ちティアの誘いに乗らないようにする。
そもそも、ティアは確かに肉付きはいいと思うが、別に太っている訳ではない。首の下にある二つの実は小さなメロン並みの大きさだが、それ以外は別に前世からいくと健康的な女性の体型ーー
と、考えてる内に何か弾力のある大きな二つの温かい何かが背中に当たる。
シリコンをもっと滑らかに、柔らかくしたような何かがそのまま背中で押し潰され、背中に当たる表面積が大きくなった瞬間、腰の上あたりに腕を回される。
「……ノアちゃんに服無しに抱き付いたことって無かったけど、私の体と違って、筋肉質で丈夫で、抱き心地が良いね。いい匂いもするし……もうちょっと、抱き付いていてもいい?」
「……」
抱き付いていてもいいと聞いてくるが、言葉とは裏腹に結構な力でティアに抱き付かれているせいで逃げようとしてもびくともしない。 Noと言っても、聞き取れなかったとか言って、誤魔化される気がする。
それに、ティアから漂ってくる果実のような甘い匂いが鼻腔をくすぐり、意識をだんだんと蕩けさせてくるせいで魔力を練れず魔法も使えない。
YESもNoのどちらの選択肢を選んでも変わらない状況で、俺はどうすればよいか、甘い香りによって回りが悪くなった頭をどうにかして回転させた。
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