第16話 鶏肉生で食ったら流石に体に悪い(作者経験済み)
再び日高龍馬の家にて。
彼の家のリビングには彼の姉、千鶴はもちろんズッキ―と上里がいた。
龍馬はズッキ―と上里の方を向いて言う。
「い、いやちょっと待て。なんでお前らまでここにいる」
「なんか呼ばれた気がして」
「呼んでいません。上里は?」
反応したズッキ―を軽くあしらった龍馬は次に上里の方を向いてそう言った。
「食事が無料で食えると聞いて」
「誰もそんなことは言っていません」
上里の発言に龍馬は再びあしらうも、何か嫌な予感をした龍馬はさっきから一度も話していない姉の千鶴の方を向いた。
何故かそっぽを向いている姉に龍馬は問いかける。
「まさかとは思うけど、姉さん。あんたが呼んだわけじゃないよな?」
「いやー、私は………………呼んで………………ないです」
「どんどん声が小さくなっていくのでバレバレなんだけど」
「ただ私から言えることはただ一つ。姉の人脈舐めんなよ」
「あ、そうですか」
もう追求する気も起きなかった龍馬は適当にそう答えた。
そして、リビングからキッチンへと歩みを進めた。
そんな時、ズッキ―が大きな声で問いかける。
「シェフ!!本日の料理はなんですか!?」
「誰でも簡単に作れる家庭料理。鶏のから揚げ」
ズッキ―の問いに答えた龍馬は手を洗い、隣にしっかりと姉が見に来ているのを確認した。
料理を学びたいと言った張本人なのだからいるのが当然なのだが、そこは真面目なのだと龍馬は少し安心した。
のも、束の間だった。
彼女はじっと龍馬が冷蔵庫から取り出した鶏肉をじっと見つめているのだ。
(まさかこの人、料理を学ぶためにここに見に来たわけじゃない。ただつまみ食いを狙いに来ただけだ)
と、まるで母親と育ち盛りの小学生のような状況を、高校生の弟と、大学生の姉で再現していた。
しかし、姉だけはないことを龍馬はすぐに悟った。
何故なら、ズッキ―と上里も席を外し、姉と同じように鶏肉を見ているのだ。
そんなおかしな状況に龍馬は心の中で思う。
(まだ焼いてもない鶏肉をそんなに美味しそうに眺めることができるとは!!こいつらはヤバい!!)
と。
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