第10話 時を同じくして
上里が隠れてご飯を食べていることに気が付いていたのは、日高だけではなかった。
もう一人、上里と日高と同じ一番後ろの席であるズッキ―も気が付いていた。
(やはり上里は飯を食うか。だったら、俺も同じく飯を食う!!)
ズッキ―も机の上に上里と同じように教科書を立て、弁当箱を取り出した。
身長を伸ばしたいという願望から、運動部でもないのに弁当を二つ持ってきているのだ。
(いざ尋常に、飯食いだ!!)
と、ズッキ―は弁当箱を開いた。
だが、弁当箱を開けて、数秒後教師が授業の手を止めた。
「何か匂うぞ。誰か飯を食っているな?」
歴史の教師がそう言い放った。
そして、息つく間もなく、歴史の教師は言う。
「全員両手を挙げて止まれ!!動いた奴は飯を食っていたとみなす」
その勢いが良い言葉にクラスメイト全員が両手を挙げて、固まった。
ズッキ―も上里も例外ではない。
そして、歴史の教師はゆっくりと、一人一人食っていた形跡がないか確認していく。
(くそう!!俺の身長のびのび作戦が!!だが、俺と同じく飯を食っていた上里の方が先生に近い。つまり、上里がバレれば俺に矛先が向く確率は低くなる。つまり俺は無罪放免だ!!)
などと、淡い期待を抱いていたズッキ―であったが、上里はもう完食しており、その形跡も完璧に隠ぺいしたため、結局ズッキ―が一人怒られる羽目となった。
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