第25話 『終末の灯』
――ゴゴゴゴゴゴゴッ!
「凄いなッ! さすが最強の大魔王……最強勇者大丈夫か?」
「ダンジョンから少し離れている聖都でもこの圧力、これだけで並の勇者であれば終わりそうですね」
「クライマックスって感じするなぁ」
「……ソウイチッ! 来ますよ!」
「……おっけい」
空に浮かぶ『皇龍』のダンジョンから放たれる恐ろしい圧力を感じ、そろそろ『皇龍』と最強勇者の激戦もクライマックスかなと思っていると、俺たちの周囲に見覚えのある天使や『女神』の実験体たちが現れた。
おそらく今からが1番盛り上がるところなので、俺たちに絶対横やりを入れさせないためのアクションなんだろうな。
どんだけ邪魔されたくないんだよって思うけど、こんな一瞬で俺たちの周囲に大軍を出現させることのほうが驚きだ。
ただ1番の驚きは隣にいるアイシャが放っている凄まじい闘気だ。
確実に最強勇者と『皇龍』の激戦に当てられている。完全にアドレナリンMAX状態みたいになっており、隣にいて熱いくらいに滾っている。
「今は私も心が躍っていますので……容赦しませんッ!」
「来い『
「『
――ゴウッ!
聖都に広がる黄金の炎海と降り注ぐガチャカプセルの雨。
どっちも建物などに被害は出さず、ただただ天使や実験体にだけ影響を及ぼせるスキルなので好き放題使える。
滾っているからなのかアイシャの『
俺の『
一応『
「『
「『
――ドドドドドドドッ!
連鎖的に敵が大爆発していく。
もう火力でアイシャと張り合える奴なんて今少ないんじゃないか? 火力と燃費のバランスが理想的だし、広範囲スキルも多くて自己バフや攻撃と回復を兼ね備えているスキルまで持っている。
俺はアイシャに合わせれるスキルが豊富だし、移動手段もいくつかあるのでアイシャの速さにも着いて行けるので悪くないデュオだと我ながら思う。
「『黄金の火』が何よりもチートに思えてくるな。『燃やす』概念を付与するって反則じゃん」
「反則なのはソウイチの配下たちですよ。囲まれた瞬間、各自広がって各個撃滅していますよ」
「群れて戦うの苦手だから仕方ない」
「私たちのところに来たのは……本当に上に行かせないための時間稼ぎのようですね」
「そのためにこんな大軍を一瞬で沸かせるの凄いけどな」
「『
「『
――ギャオォォォォッ!
アイシャの『黄金の火』を押し付ける戦いをサポートしているだけで簡単に敵が散っていく。
俺もアイシャもその場から動かずとも戦闘ができるタイプってのもあって、ただただ安全圏でスキルを押し付け続ける戦いを選択できるのは楽で良い。
上の激戦の気配が少しずつ弱くなっていく。
それに合わせるように『女神』からの仕掛けが無くなってくる。完全に上がクライマックスな感じなんだろう。
まだどっちの気配もあるが、最強勇者の気配の方が濃い感じがする。
「なんか最強勇者の気配が……変わった?」
「少し私たち魔王よりになった気がしますが……何かあったのでしょう」
「まぁ何かはあったんだろうけど、単騎で『皇龍』に勝つって、やっぱり最強勇者だな」
「よくも飛べない人間が空を支配する竜種に勝てますね」
「あれを常識の型にはめようとしても無駄だと思うぞ。本当に規格外だ」
「ソウイチの配下……あの兎ちゃんとどちらが強いですか?」
「ハクかな。サシの勝負ならハクは世界最強だぞ?」
「……親バカ魔王ですね」
上が決着したのだろうか?
天使と実験体たちはアイシャの容赦ない『黄金の火』によって一瞬で壊滅してしまい、ゆったりと上の状況を感じ取れる。
どうやって最強勇者が割と早い段階で『皇龍』を討伐したのか気になるところだし、『原初』と『女神』がここから動くのかも気になる。
俺たちは最強勇者が安心して暴れられるように聖都を護りに来た良い人みたいな感じになってしまった。
俺たちからすればここに来た意味があんまり無くなってしまったのは残念だが、良いモノが見れたし、ポラールが個人的に大満足したようなので良かったとしておこう。
そんなことを考えているとアイシャに頬を突かれる。
「ここで考え事するくらいなら、戻って私の持っている『聖魔物』から使うモノを選んだほうが良いですよ?」
「確かに……まぁ『皇龍』の魔名は手に入らなかったが、それなりに有意義だったとしておくか!」
「私としても面白い体験が出来たので良しとします」
最後の『大罪』。
俺たちに何かあったとしても、アイシャとラプラスをどうにか守ってくれるような隠し札的な存在。
『大罪』に対抗できるような『大罪』、3人の大魔王と呼ばれるようなレベルにまで達した魔名と、アイシャから託してもらえる『聖魔物』で『女神』の思惑を破壊してやりたい。
この世界に飛び込んで……記憶を失い、『原初』に良いように使われていたがここまで来ることが出来た。
ここまで来て最後の最後でチャンスを零さないように……最高の準備をしなくちゃな。
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