第6話 『運命ノ聖槍』
バビロンが『
最早隠す必要も無くなったんだろう。
王国騎士たちは『神熾天使』をベースに『女神』の何かしらが混ぜられた怪物へと変貌しており、天使型だったり獣だったりと人の姿を捨てて、ここは譲れないと言わんばかりの変わりようだ。
『
『ここの対策はしてこなかったのか?』
「おぉ~! 観戦しに来てくれたってことは~……バビロンのほうは終わったんだ~!」
『『
「うわぁ~……あれ私でもどうしようもできないんだから、こんな『
『ガラクシア対策は確実にしてると思ったんだけどなぁ』
ガラクシアのスキルは今まで何度も見てきてるだろう『女神』だから、さすがに対策してきているのかと思ったが、『
王都周辺を制圧するとき、敵の数に対してスムーズかつ労力を最小限にしてやれそうなバビロンとガラクシアに頼んでみたが……俺の想像以上に素晴らしい采配だったみたいだ。采配っていうか当たり前の条件を当てはめただけのやり方なんだけどな。
――ォォォォォォォォォッ!!
「遠くで観戦してたほうが良いかも! なんか凄いの来たね!」
『対策されてた時には遠慮なくデザイア呼ぶんだぞ! 近いところで待機してるはずだから!』
「は~い♪」
空気が震え、唸り声のような音が『
敵さんは同士討ちで次々倒れていく中、死体から光の粒子が飛び出していき、王都へ入る門前に立っている人物へと吸い込まれていく。
大軍を呆気なく失う勢いだったので、敵さんどんな想定で戦ってるんだって思っていたが、まさか対策するんじゃなくて真似てくるなんて思わなかった。
「仲間が死ねば強くなっちゃうだなんて……アヴァロンみた~い♪」
――ゴゴゴゴゴゴゴッ!!
パッと見た感じ全滅に近い惨状に陥りながら、女神の駒へと進化した王国騎士たちの力は全て1人の人物へと吸い込まれていく。
凄まじい勢いで魔力・闘気・『聖神力』を高めているのは身の丈の倍はありそうな巨大な槍を持った男だ。
ガラクシアも感じた通り、バフの段階がアヴァロンと同じってのもあり、『女神』陣営が用意してきた俺たちの今までの戦いから得たモノって奴なんだろう。
対策ってよりも同じ力を真似てぶつけてやろうって作戦、そして今回の戦いもどうせ学習の一環なんだろうな。
巨大な槍を持った男が空気が震えるような気を発しながら近づいてくる。
「友を失い、光を失い、守ってきた王国領土も失う直前……しかし、窮地でこそ輝く我が槍にて! 『大罪の魔王』を討ち滅ぼしてみせよう! 人であることを捨ててでもッ!」
「……あんなに遠くにいるのに話ができてるの凄いね♪」
白銀の重鎧を着こんだ金髪の好青年、本人の発言の通り、瞳は光を失っており、どんどん輝きを増していく巨大な槍が凄まじい存在感を放っている。
鎧を突き破って出てきたのは片翼の白翼であり、完全に『神熾天使』擬きへと姿も気配も変わりつつある。
しかし、大事なのは『神熾天使』たちとは違って『女神』の色の方が濃く、人間の名残も少しあるってところだ。
盲目ってのは確かにガラクシア対策の1つとしては有効になりうるし、あの鎧と『女神の力』が光をも閉ざすのならば、『
「我が名は王国騎士団ゲヘートⅠ副団長ライラなり! この槍にて『大罪の魔王』を討ち取ろう! 起動せよ『
「むかついちゃうなぁ~♪」
――バキバキバキッ!
まさかの王国騎士団の中でもトップクラスに大物が出てきており、ライラの持っている巨大な槍である『
黄金の輝きが眩しくて、どんな形状かすらも見えづらいながらも、とんでもない存在感を放っている『
ガラクシアの結界をいともたやすく破壊したところを見ると、やっぱり対策は万全って感じだったな。
俺の予想だと『
「マスター曰く! 『メタゲームは手札が多い方と、性格の悪い方が勝つ!』ってことだから……デザイアちゃ~んッ! 誰か跳ばして~♪」
「ウロボロスが忙しいからと言って……妾が運送要因になるとはのぅ」
――パキッ パキパキッ!
ライラの上空に裂け目が入り、そこから圧のある巨大な気配が2つ。
ウロボロスがイデアとネメシスの改良にいそしんでいるので、普段ウロボロスがやっている転移タクシー係をデザイアがやってくれている形だ。
フリーで動けるツーマンセルで、何かしら面倒そうな戦場に一声で現れる便利屋二人組……特に名前は決めていないが今回の戦争では酷使されそうな感じがするな。
そんなデザイアとツーマンセルを組んでいる相方が裂け目から、ライラに向けて襲来する。
「『
――ドシャァァァァァァンッ!!
裂け目から飛び出てきたのは一筋の雷。
『
砂煙があがる中、ガラクシアのほうへと飛び退いてきたシャンカラが自分の拳を見ながら、1撃入れた感想を呟いてくれる。
「……なかなかの頑丈さ。素直に顔を殴っておけば1撃だったかもしれんな」
「デザイアちゃんありがとぉ~! ってことでシャンカラ頼んだよ~♪」
「阿修羅たちはすでに王都内に侵入した。お主も行って暴れてくると良い」
「『神熾天使』よりは面倒かもしれないから気を付けてね♪」
「主も見ておることだし、少し引き出せるよう気張るのみというやつだ」
――ゴゴゴゴゴゴッ!!
砂煙の中から、先ほど以上に強い光と気による圧が放たれる。
最早ライラの存在感は感じられず、戦場を覆うのは『
シャンカラはライラのほうへと意識を向け、雷の魔力をさらに迸らせた。
「『女神』の聖槍……その力見せてもらおう」
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