第5話 『世界に意味を刻む時』
紅色に染まる空、人骨に埋め尽くされた大地、バビロンの『
俺から見た感じの話ではあるが、同じスケルトンでもアヴァロンと違って、どこか違和感と言うか……ぶっちゃけスケルトンが身に着けるには豪華で重厚に感じる武装をした5体のスケルトンである。
『数』を絶対的な武器としてきたバビロンの戦い方からは驚きの少数精鋭型のスキルなので、そこの5体だけ見たら普通のスキルなんじゃないかって間違えるレベルだ。
5体それぞれ持っている盾にⅩやⅪといった数字とそれぞれの絵札の模様が刻まれているのは凄くお洒落で好き。
「ここからは蹂躙劇なり。我が王が本物の王であること示し、世界を恐怖と力で飲み込むための見世物である。我らが王が自身こそが頂きであると見せつけるための戦……なれば貴様ら犬程度にだろうが我が宝を喜んで見せてやろうぞ」
――ゴゴゴゴゴゴゴゴッ!
バビロンたちから溢れ出る真なる『原罪』の魔力が一帯を震わせる。
ただでさえ強力で厄介な力である『
バビロンは超速で迫っているはず白狼たちのことを前に、手にしている黄金の杯を揺らしながら、悠々と語り続ける。
「我らが王が何故『魔王』であるかの意味を世界に刻み付けるため、我らは例え犬であろうと全力をもってもてなす。『女神』と『原初の魔王』以外は眼中にあらず……我らが力に恐れるが良い! 決して色褪せることのない『罪』の力を!」
それっぽいことを言う天才、俺がバビロンを見てていつも感じることだ。内容について色々言いたいことはあるが、この流れで口出しするのは空気が読めないと思って黙って聞いておくことにする。
このバビロンの言葉に、ウチの面々はいつも闘志を滾らせてくれてるんだから、相当効果がある演説方法なんだろう……俺より魔王っぽいな。
とんでもない速さで接近していた白狼たちを前に、どうしてこんなにも悠長なことができているのかという理由は簡単だ。
『
――ゴゴゴゴゴゴゴゴッ!
俺とバビロンの背後から大量のスケルトンの波がゆったりと王都へむけて進軍を開始する。
「貴様らが我に届く確率は0%であると断言してやろう。そして……我が最強のスケルトン軍団に触れし時、貴様ら犬の命は儚く消える運命なのだ」
味方である俺が聴いても何馬鹿なこと言ってんだ? と思わず言いたくなるようなふざけた話である。
俺たちから見ればその場で動いているだけだが、当人たちの中ではバビロンに近づいている感覚がある中で、突然近づくことすら0%だなんて言われて戸惑っていることだろう。
『
まず俺から見て1番左にいる、白い騎士鎧に盾にⅩと赤子が刻まれているのは『
その隣にいるのは青い騎士鎧、盾にⅪと若い青年が刻まれているのは『
中央には赤い騎士鎧、盾にⅫと女王様が刻まれている『
その右隣には黄金の鎧、盾にⅩⅢと王様が刻まれている『
そして最後に黒い騎士鎧、盾にⅠと1体のスケルトンが刻まれている『
「出鱈目すぎる。1vs3くらいまでなら負けないだろうふざけた力だ」
簡単に言えば0%と100%を覆すことのできる摩訶不思議な能力。もちろんタイマンであれば、バビロンを越える理不尽を発動しない限り『
しかも、『
ちなみに今回はバビロンが生みだしたスケルトンに肩を触れられた場合だそうなので、ひたすらスケルトンから逃げなければいけない。
「女神の駒どもよ! ここから先は『大罪の魔王』による蹂躙劇であるッ! 我が王が『魔王』とはなんたるかを世界に意味刻むための糧となるがよい!」
白狼たちはバビロンから逃げる選択肢をとらなければ、永遠にバビロンに辿り着くことができず、その場で動き回るだけの的になってしまうが……残念なことに手遅れだろうな。
5体の騎士スケルトンと、大量の強化スケルトンたちを戦闘に悠然と王都へ向けて進軍していくバビロン達、『
俺ですら『
真なる『原罪』は誰のだろうと、本当に理不尽な力だなって見るたびに思うけど……本当にバビロンのは異質というか、バビロンらしいんだけども予想で出来ないモノだから、特に近づけない能力の1つとも言える。
「我が王より授かりし『真名』をバビロン、『大罪』は『
『大丈夫そうだな』
「我らが王が世界に『最強』を刻む戦争なれば……どのような羽虫にも我らの力を見せつけねばいけません。『大罪の魔王』が如何にして最強の魔王なのかという意味をこの進軍にて知らしめてやりましょうぞ!」
『……俺は違うとこも見てくるから気をつけてな』
『お任せあれッ! どこぞで聞いておる女神よ! 我が内より生まれし『
よくこんなにもしゃべれるな……なんて思いながら、バビロンの『原罪』『
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