第2話 脅威の『装甲』
イデアの『
イデアの『構築解析』でも全貌が見えないように女神が何かしら策を用いている可能性は大いにあり得るので、今後の展開についても考えておかないといけない。
銃火器やら敵さんの構造は少しだけ俺が知っているロボや銃知識にもあるようなモノだったのだが、どんな銃がどんな性能をしていて、敵さんの形状がどんなタイプなのかってとこまでは知らないのが痛いところだ。
「あの巨体で飛び回って遠距離ガンガン撃ってくるんだから……普通だったらヤバかった話だな」
『神聖天装バスデヤMK-Ⅱ』も『神聖天装アルメルスⅫ』もネメシスよりも確実に性能が上だったので、ネメシスだけに任せてしまうと数が多くても時間の無駄になりかねないレベルの力が敵さんの新能力にはあり、イデアの『
「……戻ろうウロボロス」
――パリィィィンッ!! ドシャァァァンッ!
「『雷電天砲レールカノン』!」
「『
真っ白な異空間が罅割れ、元の場所に戻ってきた俺たちが見た光景は変わらぬ銃撃の嵐だった。
自分以外に強制的な命令を下せるようになる洗脳よりも質の悪いイデアの『
ネメシスたちがバスデヤから放たれる砲撃と、蒼く輝きながら速さの増したアルメルスに粉砕されていく。
そんな敵さんに押し切られそうな流れの中、イデアは少し難しそうな顔をしながら腕を組み、冷静に現状をまとめてくれた。
「私のスキルで視れたのは極一部。隠し武装や能力はあるのが確定、1番厄介なのはネメシスの攻撃でも傷1つ無い装甲かな」
「相手が攻勢の流れで気持ち良くなる前に終わらせないとな。イデアは砦のほうを頼んだ」
「了解」
「ウロボロス……『UNION・SiN』」
――バキバキッ! パリンッ!!
次々にネメシスが蹴散らされていく光景を見ながら、イデアに指示を出しつつウロボロスに右手を当てて魔力を解き放つ。
ウロボロスの超巨体に罅が入り、一瞬で粉々となって光の粒へとなって俺の身体の中へと吸収されていく。
鏡で見てないから詳しくは知らんが、ウロボロスと『UNION・SiN』した俺は輝く銀髪へと髪色チェンジをしながら、『
イデアが砦に跳んだのを確認し、全てのネメシスを片付けたバスデヤとアルメルスに向き合うことにする。
ちなみにウロボロスと『UNION・SiN』すれば浮いていられるのでなんとか戦えそうだ。
――ドドドドドドドドッ!!
さっきまではウロボロスに乗っていたので感じなかったけど、人間サイズの俺からすれば、敵さんの天使鎧は巨大だし、そこから放たれる銃弾は凄くデカい。
2体から放たれた嵐のような弾丸は残念ながら俺に届くことなく、『
「厄介な能力だなッ! 撃ち続けるから近接で叩け!」
「おいっす!」
――ゴッ!!
とんでもない速さで加速して接近してくるアルメルス、ウロボロスと合体した俺からすれば転移できない奴なんて遅いも同然だから、まずは後ろを叩いていくことを考えるのが良さそうだ。
イデアの力を弾き、ネメシスの攻撃を通さないってのは異常なレベルの防御力なのでどう崩していくか悩ましい。
とりあえず3分しかないので、『罪の魔眼』を発動させつつ後ろで砲撃してきているバスデヤへと跳ぶ。
――ヒュンッ!
「『刻印の弾丸』」
「ッ! アルジスこっちだ!!」
――ガガガッ!!
「効かなすぎだろッ!」
「うおぉぉぉぉぉッ!」
「さすがに跳べるから逃げるんだけどなッ!」
不意を突いて背中部分を『
イデアの力も俺の『刻印の弾丸』も効かないってなると、『大罪』系統の状態異常が効かない説が出てきてしまう。
神熾天使にも効いたので、さすがにいけると思ったが『女神』か『七元徳』も学習したのか綺麗にメタってきている。
巨体で空中戦が得意、様々な武装があって遠距離戦に強く、状態異常を弾ける鉄壁の装甲を兼ね備えているって奴だな。
………なかなかに面倒な相手だ。
「でも考えて無かったわけじゃないんだよな」
周囲に『
球体はドロドロした液体へと変化し、空中で流れ落ちながら一気に広がっていく。あまりの異質な気配に敵さんも不用意に攻撃できないようで、異質な液体は俺を囲むようにして広がる。
――プシュー
紫色の煙をあげている不気味な液体。
これは個人的にウロボロスが誇る確殺兵器である『毒』である。『神殺毒』という自身の攻撃全てに最強の毒を付与できるモノだ。
「どんだけ立派な装甲してようが……中身はただの人間だろ? 『
――バァンッ! バァンッ! バァンッ!
「念のためシールドを最大展開しろ!」
「了解ッ!」
俺から放たれた『
俺の周囲に漂っていた毒を通過し、神をも殺す毒を纏った弾丸は展開されたシールドへと一直線に進んでいく。シールドに直撃し防がれるかと思う直前で敵さんは予想外であろう……弾丸は消え、2人の身体の内側へと転移した。
「ッ!? ゴハァッ!」
「あの装甲見て普通の弾撃つわけ無いだろ」
弾丸を的確に跳ばすのは相当難しい芸当だが、『罪の牢獄』No.1の転移能力を持ったウロボロスの力があれば可能な技、それが『
転移させてしまうと弾丸は止まってしまうのだが、目的は鉄壁の装甲の内側にいる普通の人間の体内に毒を送り込むことなので敵さんからすれば止めるのは難しかっただろう。
――プシュー!
「「ガァァァァァァッ!!」」
「中身までは『女神』様のご加護は行き届いて無かったっぽいな」
ウロボロスの毒は『
装甲の隙間から毒々しい色の煙を噴き出しながら、2つの天使鎧は地へと堕ちていく。
中身の人間は変わらないってのは大きな情報だ。身体を溶かし尽くすような毒では無いので、後で回収して天使鎧の全貌を調べなきゃいけないな。
そんなことを考えていたら、何やら2体が落下していった気配が膨れが合っている気がする。
――ゴゴゴゴゴゴッ!!
「……なるほど。あのロボ形態は前哨戦って話なのか、とりあえず3分になる前に距離とっとくか」
――グオォォォォォォォォッ!
嫌な感じがしたのでウロボロスの力が使える内に距離をとるために転移を行う。
俺が転移した直後に爆発的な魔力が2体が落ちたところから広がっていき、逞しい雄叫びとともに現れたのは、立派な剣と盾を持った20m級の光の巨人だった。
……ビックリ箱だな。
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