第22話 『雷神招来』
――『罪の牢獄』 ダンジョン入り口広場
アクィナスの『号令』により、撃破したはずの『美徳』持ちの神熾天使たちが配下の天使たちを引き連れて増殖復活してしまい、完全に数で逆転されてしまった戦場。
根の迷路も、強化スケルトンの軍団も、メルクリウスの分裂体天使たちも、神熾天使たちによって処理されてしまい、蘇りし天使の軍勢は『罪の牢獄』入り口前まで迫っていた。
多くの神熾天使率いる天使の軍勢の視界には、ダンジョンの入り口前に堂々と立ち塞がる白黒の鎧、『
――バチッバチッ!
「雷の魔力と守りに秀でた鎧型の魔物……主に近距離戦で脅威になるッ! 囲み遠距離スキルで仕留めるぞ!」
神熾天使が1体であるカマエルが天使たちに共有されているアヴァロンの情報を元に指示を出していく。
完全ではないとは言え、アヴァロンの『
しかし、ハクという最強戦力がダンジョンに居ながら、わざわざアヴァロンが単騎で迎撃をするということ、ソウイチの身に何かあったと気配で察知したアヴァロンの静かなる怒りの証である。
アヴァロンは黄金の魔力を愛剣に纏わせ、天使の軍勢に宣戦布告かのように向ける。
――ゴウッ!!
「「「「「ッ!?」」」」」
圧し殺されるかと思うほどの闘気の圧が天使の軍勢を襲う。
アヴァロンから溢れ出る黄金の闘気、そうソウイチがダンジョンから出る前にアヴァロンの『
『
天使の軍勢が『罪の牢獄』入り口に辿り着くまで倒してきた数万のスケルトンと大量のメルクリウスの分裂体の犠牲がアヴァロンに宿っている。
その力は、同じく怒りに震えているハクとレーラズが戦うこと譲るほど強大なモノである。
不意に……天から一筋の雷光がアヴァロンと天使たちに降り注いだ。
――ドシャァァァァァァァンッ!!
「『雷神招来』」
アヴァロンに近めであった天使たちが雷光によって消し炭になると同時に、響き渡るスキル名を言い放つアヴァロンの機械音。
白黒の鎧姿であるアヴァロンは、数えきれないほどの仲間たちの犠牲により『
「……雷の化身」
――バチッバチバチッ
鎧は白雷と黒雷の2種で構成された体を持ちし化身へと姿を変え、戦場に逆巻く雷の魔力の音を響かせながら、恐ろしいほどの闘気の圧を放つ騎士へと成った。
自身を最強の戦闘形態へと変えるアヴァロンの必殺スキル『雷神招来』。
『
存在しているだけでこの場を支配するかのような存在感。
圧倒的な魔力と闘気に圧し潰されるような流れにも見えたが、天使たちの切り替えは素早く、神熾天使たちは迎撃するため『美徳』のスキルを発動しようとしていた。
「消えた!?」
――バチバチッ!
どの天使も索敵や視線を外したわけでもない。
しかし、アヴァロンは音も無く天使たちの視界から消えており、気付けば自分たちの頭上で白黒の雷を纏った『
『雷』と化したアヴァロン、普段は鈍足豪力なスタイルで『
最早メルクリウスレベルの探知力でないと追いきれない雷速となったアヴァロン、そこから放たれる剛剣は、いくら神熾天使とは言え防げるはずも無く…。
「『
――バリバリバリッ ドシャァァァァァァァンッ!
幾万の無念が『
破裂音とともに天使たちを消し飛ばした『
神熾天使やEX天使が束になって発動している様々なバフによる守りも、アヴァロンの一振りの前ではあって無いようなモノであり、視界が光った時には天使たちは雷に飲まれ影となり消えていたのだ。
僅か一振りで半分以上の天使が消し飛んだ。
そんな事実にプライドの高い天使たちが耐えれる訳も無く、神熾天使たちの静止空しく統制を一瞬にして失い、天使たちは無闇にアヴァロンへと攻撃を測ろうとする。
「「「「「「「「「『裁きの聖槍!』」」」」」」」
「『
――バヂッ!
「……がはァッ!?」
アヴァロンに向けて放たれた天使たちのスキル。
アヴァロンに直撃する瞬間に放たれた眩い光、天使たちの視界が戻った時、目にした光景はアヴァロンから伸びた雷の枝が残る全ての天使たちを貫き感電させている光景だった。
自身も貫かれていることに気付いたときには、すでに時遅しであり、肉が焼け焦げる香りを感じながら炭化していくのみ。
アヴァロンがスキルを受けた直後に発動可能なカウンタースキルである『
受けたスキルを無効化し、周囲の全ての魔力や闘気を持つ者に雷の枝を伸ばして貫くという極悪スキル。
もちろん味方が居てしまった場合は関係なく貫き殺してしまうので要注意だ。
「…………」
『雷神招来』から僅か30秒の出来事。
雷速の一振りと、1度のカウンターで天使の軍勢を壊滅させた。
天使たちは炭化し崩れていく自分の身体を感じながら、最初から埋めようのない力の差があったことを痛感し、こんな魔物が10体以上存在する『大罪』陣営に挑まなくてはいけなかった運命に後悔するのであった。
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