第8話 『神の獅子』
『
翼と剣に闘気と『聖神力』を大量に纏わせ、レーラズの動きを観察する。
何かしらのスキルやアビリティが発動していることは理解できているフロネシスではあるが、『
『
「『
「『
――ドドドドッ!!
闘気と『神聖力』にモノを言わせる高速突進の連続攻撃である『
根の壁を粉砕しながら暴れ回るフロネシス。
跳弾のように跳ねまわりながらレーラズの気配を感知するが、そこでフロネシスは違和感に気付き、急停止して周囲を警戒する。
「この魔力……どうなっている?」
空間を覆い尽くすのは蒼く輝く魔力の霧。
レーラズが使用した『
魔力の霧で視界も遮られ、気配探知も効果を無くし、『
「気配を断ち、我が『
「速くて驚きましたが、止まれる思考力はあったんですね♪」
「……声は聞こえても、気配も何も感じぬとは……」
「飛んでいる敵に対して、攻め手が少ないのが私の困りどころですねぇ~」
「随分余裕であるな」
「そうですか~?」
『大罪』側の六封城の効果と相まって、レーラズの『
こういった時に軍全体をサポートしていたのが『
前線に飛び出し、レーラズと1vs1をしていることが、いかに不味い状況なのか、さすがのフロネシスにも分かってきたようで、気配を断たれながらも、一旦後退すべく頭を働かせる。
(『
「ちなみにお仲間さんはここまで辿り着けないと思うので、あんまり待ってても意味ないですよ?」
「……我ら『美徳』を舐めるでない」
「6人で役割分担しなくちゃいけないのに、ここに来る余裕のある天使さんはいるんですか~?」
「我が力を測り終えたと思われるのも心外なり……『
――ゴウッ!!
フロネシスの鎧が機械人形だったのかと如く変形し始める。
闘気と『神聖力』を溢れ出しながら、姿形が翼の生えた獅子へと変わっていくフロネシス、『
咲いていた花々を巻き上げながら誕生したのは、白銀に輝く重厚な獅子。
『
剣を使用した武技であったり、極光魔導を使用できなくはなるが、『獣王闘技』という違うスキルが使用可能になり、先ほどまでとは違う戦闘スタイルで戦える切り替え技でもあるのだ。
「消し飛べッ! 『
「周辺全部吹き飛ばすつもりですか~」
――ゴウッ!!
獅子の姿へと変形したフロネシスを中心に暴風が巻き起こる。
巻き上げたモノを斬り刻む暴風は根の壁を粉砕し、大地を削り、レーラズが展開していた『
レーラズが創り出した根の迷路の中心、『七元徳』側からすれば、1番近い六封城の大地の一部をも消し飛ばした一撃は、天使たちが苦戦していたところに訪れた道標にもなるような規模。
レーラズの『
自身の真上にレーラズとは違う……とてつもなく巨大な魔力の持ち主を…。
「馬鹿な……貴様ら幹部は互いにエリアを区切って戦うのではないのか!?」
「主曰く、「『そんな戦法するわけない』って思わせた時点で一手は確実に決まるもんさ」……だそうだ。さすがに警戒が無さ過ぎるな」
フロネシスの真上に現れたのは、4本の腕、巨大な弓に三又槍を装填して構えている人型の魔物、『
フロネシスが先程使用した『
「『
「オォォォォォォォォッ!!!」
――ドシャァァァンッ!!!
大技を放った直後の隙に放たれたのは、『
レーラズの感覚鈍化と気配遮断は全て、シャンカラが来るまでの一瞬のその場しのぎ、フロネシスが何かしらの手段で抜け出し、力任せに根の壁を破壊し、天使たちの士気が上がるかと思った瞬間に沈めるという性格の悪い策。
神速で迫る『
根の迷路の下側から突き抜け、2㎞ほど穿たれたところで、フロネシスは木端微塵となって消滅していってしまう。
「本当にこれで天使の士気が下がるの~?」
「……上がっても下がっても変わらないと思うけどね」
『
魔王戦争では見せてこなかった『
今回の場合はフロネシスが強引にレーラズの妨害能力を突破すると予測した、シャンカラによる不意の一撃必殺。味方の能力を強制解除するアビリティの無いシャンカラとレーラズだからこそ成し得る不意打ち作戦。
「統制って言うけど、自分から乱して突っ込んで来た時点でコチラの勝ちだったかな~?」
「次の作戦に移るとしよう。最初の城を壊すまで、敵陣に転移出来ないのが痛いけれどね」
「根の迷路の再生に30秒待っててほしいな~♪」
「……承知したよ」
『大罪』と『七元徳』の魔王戦争。
最初の幹部クラスで合った神熾天使アリエル・フロネシスの消滅、戦争開始から僅か3分程の出来事であったが、『七元徳』の天使たちに衝撃を与えるには、十分すぎる最初の攻防なのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます