第12話 報告する『脅威』たち


 ――『罪の牢獄』 居住区 コアルーム


 帝国騎士団団長格たちが、個々の隊に分断され、特殊結界内で『枢要悪の祭典クライム・アルマ』たちと戦い、結末はそれぞれに任せているので、殺しり生かしたりとは色々あるが、第1回戦目は無事終わってくれたようで、とりあえず報告を聞く時間である。


 リトス以外は皆で考えた団長格と戦って貰った。

 まだ第1陣で、この後第2陣が作戦を開始するが、とりあえず良い感じの流れではあるな。


 女神と『七元徳』が入り込んで来るのは予想通りで、『星魔元素』がいるかなとも思ったが、最強の勇者様が頑張ってくれているおかげで帝国には来ていないようだ。



「まずはガラクシア、お疲れ様」


「持ち帰ってきたモノはメルちゃんに渡しといたよ~♪」



 帝国騎士団第6師団『ザ・ムーン』のイルシオンと『悪魔ラ・デビル』ランドルフと戦ってくれたガラクシア。

 一番手での戦いだったので、情報を得ながら頑張ってくれたおかげで、女神さんの加護みたいなのがどんなもんなのか知ることができたし、思ったより俺たちの侵略に対して、戦略を立てていないことも分かった。


 女神さんがどこまで介入してこれるかも少しだけ把握できたので、安心して作戦を続けられることが判明できたのはガラクシアの頑張りのおかげだ。



「全力で遊べると思ったけど、全然だったからガッカリ♪ 天使さんだったら良かったのに~♪」


「きゅっきゅ~~♪」


「わざわざ自分で行くって言っただけあって、さすがの戦いぶりだったな。模擬戦でも見せない『飢渇悪神アクガミ』使うのは驚きだったけどな」



 リトスは『七元徳』の天使最強格の1体らしいラファエルってのと戦ってくれた。『大罪』では考えられないような能力構成をしており、魔物なのに人間を強くできたり、サポートや回復に特化したタイプだったので、1対1で戦えたのはラッキーだった。


 なんといっても魔王戦争前に『七元徳』か『真名』持ちを一体削ぐことができたのは大収穫と言ってもいいと思う。

 俺と違って、今回を倒したラファエルという魔物はDEで復活させることができるんだろうが、いくら『七元徳』でも『真名』ストックを残しているはずないから、単純に戦力ダウンさせることができたということだ。


 もう一体天使が帝都に潜伏していたようだが、すぐに逃げてしまったようだ。デザイアも深追いはしなかったので、どんな天使だったかは不明である。



「五右衛門もご苦労様だった。捕縛してくれて助かったよ」


「ルジストルの仕事を増やすのは可哀想じゃったからのぉ」


「女神さんの力も、守り面ばかりだったから問題無さそうだな」


「中途半端な守りの力じゃ、戦うことにだけ特化した儂らは止められんということじゃな」


「『美徳』の神熾天使様は戦闘以外でも何でもこなせる万能魔物だったけどな。本当に俺たちとは真逆だよ」


「魔王戦争前に良い情報を得られて、えらくご機嫌じゃな」


「リトスが長い間戦ってくれたからな、たくさん観察できたよ」


「きゅ~~!」


「儂もそこそこ長引かせたつもりじゃったがな」


「本当最高だったよ」



 五右衛門が戦ったのは第10師団の『ザ・スター』フェガリと『戦車ザ・チャリオット』シャールたちだった。

 バフ力を前面にだして戦ってくる部隊だって言うのは調査済みだったので、確実に勝てるように五右衛門に戦ってもらうことにしたが、見事完封してくれたようで良かった。


 正直、普通の魔物だっらら厳しい戦いになるような能力者ばかりの帝国騎士団団長格たち。騎士って何なんだろうかと問いただしたくなるような力で戦ってくるので、観ているだけで戦い方の参考になる事が多い。



「王国騎士団は『騎士』の塊集団らしいから、帝国騎士団が珍しい感じなんだろうな」


「儂らの『大罪』みたいに核となる特異能力があり、それを中心に戦うタイプじゃったからな。騎士としての剣技や武技は少し王国に劣るもんなのかもしれんのぉ」


「別に騎士らしく戦わんきゃ騎士って名乗っちゃダメなんてルール無いしな」


「私の方は少し戦って降参してくれたから楽だったよ」


「結界に取り込まれたかどうか気付かせない最強の方法だったな」



 イデアは第9師団団長の『女教皇プリーステス』と戦ってもらった。第9師団の副団長である『恋人ザ・ラバース』は人間爆弾として爆散したので、団長格1人だけだったので、本人も偽天使たちの良い実験になったらしいので良い時間になったのだろう。


 帝国皇帝を討った後の帝国を平和に治めてもらうために、今の帝国騎士団団長格には何人か頑張ってもらわなきゃいけない。

 全員殺してしまうと後々大惨事を引き起こしてしまうだろうから、俺の我儘で殺さずに制してもらうように頼んだが、五右衛門やイデアが頑張ってくれたので、ある程度安心して大丈夫そうだ。



「『七元徳』のほうは魔王戦争まで仕掛けてこなそうだな」


「真名持ちがリトスに食べられちゃったから厳しいんじゃないかな? そのかわり魔王戦争にむけて怒りを燃やしてるだろうけど」


「DEがあれば、いくらでもEXを呼び出せるのってズルいよなぁ」


「リトスが戦った感じだと、真名持ちじゃなければそこまで脅威じゃないけれど、バビロンのスケルトン並に数を揃えられると危ないかもね」


「なんか眩しくて疲れちゃいそうだね~♪」


「きゅ~~」



 まず帝都侵略戦を無事勝たないと、『七元徳』との魔王戦争の時はやってこないが、今回ラファエルと戦えたことで、色々と展望が見えてくる。

 きっと溜め込んだDEを絞り切ってでも、大量のEX神熾天使たちで圧殺しにくるであろう『七元徳』の姿が目に浮かぶほどに想像できる。


 俺ですらDEを溜め込めているのに、長生きしている『七元徳』は一体どれほどのDEがあるのだろうか? 

 EXランクは必要DEがヤバいものではあるが、さすがに大量召喚してきそうである。しかも天使は数が多ければ多いほど相乗効果を生む魔物らしいので厄介極まりない。



「儂としては戦いやすいもんではあるんじゃがなぁ」


「確かに五右衛門は相性良いのかもな。相手は勝手にバフを掛け合ってくれるからな」


「まぁバフ解除を無効化してくる天使がおるんじゃろうがのぉ」


「面倒なもんだな」



 今やっている戦いに集中しなきゃいけないのは理解しているんだけど、どうしても考えてしまう『七元徳』との魔王戦争。

 帝都侵略戦を無事終えたら、割とすぐに戦うことになるので、無意識のうちに戦い方について考えてしまう。


 そんなことばかり考えていると、帝都侵略戦を引っ繰り返されかねないので、真面目に第2陣の作戦に頭を働かせることにしよう。



「よし、情報は全員に行くように頼むよ。そろそろ第2陣が始まるだろうからな」


「隠れんぼはデザイアが終わらせたから、いつでもいけるね。帝国最強さんが守っているようだけど」


「『罪の牢獄』は守護神たちに任せて、俺たちも所定の位置に行くか」


「デザイア・ウロボロス・ポラールがおると何でもやれるから助かるのぉ。ウロボロスの時空間スキルが反則レベルじゃから成り立っとるもんじゃが」


「本当面白いよねぇ~♪ デザイアちゃんなんて、適当なとこで声かけたら、どこでも顔出してくれるから面白いもん♪」


「頑張ってくれてんだから遊ぶなよ……」



 俺が考えている作戦は大体、ウロボロス・デザイア・ポラールの転移と、リトス・イデア・レーラズの結界ありきで成り立っているから、本当に過労死させてしまうのではないか心配だ。


 五右衛門・阿修羅・シャンカラといった働き者の前線部隊や、ガラクシア・メル・シンラの補助部隊、バビロン・リトスの数で制圧できる面子にハクとアヴァロンといった単体で守護神を任せられる役割分担で考えられるから色々やりやすい。



「よし、第2陣やろうか」



 報告を聞いて、続けても大丈夫だと判断できたので、俺は第2陣の戦闘開始の『号令をかけることにした。


 

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