第9話 『飢渇悪神』
リトスが溜め込んでいた大量の魔力と、『四凶』4種が合わさったことにより爆誕した、『
リトスより少し大きい程度なので、魔物全体で見ても小さい部類に入るような身体の大きさをした悪魔。
しかし、小さな外見とは裏腹に、イスラフィアを存在圧だけで怯ませてしまうほどの邪気と魔力。
「『
「させません! 『
――ワンワンワンッ!!
『
イスラフィアは危険と判断したのか、黒い球体にむけて『
――ジュルルルルルルッ!
「なっ!?」
イスラフィアの周囲に展開されている『
『聖神力』を纏わせたスキル、しかも『
――チャポンッ
『
――ギュルギュルギュルッ!!
「『聖神力』は吸収できなかったはずでは無いのですか……」
「……俺様は何であろうと食うサ、主の尻尾デモナ」
「きゅ~~!」
『
『
小さな球体からは想像もできない勢いと速さで『
「……終わったナ」
「『
――ヒュンッ!
『
2つの球体が勢いよく『
触れさえすれば、相手を『管理』し、ただの置物とすることができるスキルなので、一瞬の隙さえ突けばという形である。
「……遅いナ」
「ワンワンワンワンッ!!」
「……反応するのですか」
『
黒い球体についている小さな口を大きく開ける。
――ギュルギュルギュルッ!
吸い寄せられるかのように『
ここにきて『聖神力』と『
『神を癒す者』と呼ばれる幾多の回復スキルや付与能力があるが、それはリトスに吸われてしまう。それらのスキルはそもそも前線で戦うのに適していないので、イスラフィアとしては攻め手が無くなってしまう状況に陥ってしまっているのだ。
「……戻レ」
「ワンワンッ!」
様々なモノを吸い尽くした『
『
――ブワッ!!
「……まだ足りんナ」
「きゅ~~!」
ただでさえ悍ましいほどの邪気と魔力を纏っていた『
イスラフィアの3種のスキルを喰らった程度では足りないと言わんばかりに、自身のお腹を擦る『
そんな2体の姿を見て、イスラフィアは様々なことを確信する。
(我ら天使と違って、『大罪』の魔物は戦闘に特化しすぎた力を有している。最早戦闘のみを考えた力を持っていると言って良いでしょう。一番困るのは相手の方がLvが確実に高いということ……)
イスラフィアとリトス。
『七元徳』と『大罪』という対照的だが、似たような『魔名』を授かった存在。
EXランクで『真名』持ちというところまで同じで、何故ここまで力の差が出てしまっているのか、それはイスラフィアが感じたことが正解である。
イスラフィアのLvは890で、『罪の牢獄』に存在しているどのEXランクの面々よりもLvが低い。
それでもバフのかかっていない初期ステータスはリトスよりも高い。『神を癒す者』としての回復スキルや付与スキル、神熾天使としての力に『
しかし、そんなバランス力など関係無いのが『大罪』の魔物たち、特に『
「戦闘スキルのみを持ち、単体で相手を制することを中心とした能力構成」
どれだけ敵の数が多かろうが、EXランクが複数だろうが、自身が絶対有利になれるような環境や相手へのデバフを撒き散らし、自分のみがバフを受けられるようなアビリティの数々。
元より仲間とともに戦うことなど考えていない広範囲かつ無差別に破壊する火力重視のスキル。
リトスは召喚獣をメインに攻撃するため、補助スキルを多く持っているが、それも自身の召喚獣にのみ多くの恩恵を付与できるアビリティ構成をしており、他の『大罪』たちと戦うことは考えられていないとも思える能力構成である。
「天使たちを召喚でき、多勢で攻められるという考え事体が傲りでしたか。『美徳』複数で戦わねばならなかったようですね」
『七元徳』側としても1対1の状況は絶対に避けるべきだという認識ではあったが、まさかEXランクである『
イスラフィアが体感した感じでは『美徳』2体と大量の『
単独で敵を殺し尽くすことを前提として『大罪』の魔物たちの力、特化しすぎているかもしれないが、同じランクで『真名』持ち同士の戦いでは、その差が顕著に表れてしまった形となった。
「もちろん、まだ負けたわけではありません」
「……お前本体は美味ソウダナ」
『
この『
「『
「……喰ラウ」
――パキパキパキッ
『
罅はどんどん広がっていき、いくつもの大きな裂け目へと割り広がった中から出てくるのは、見覚えのある鋭い牙。
――ギャォォォォォォォッ!!
イスラフィアの周囲、上下左右に展開されたのは『
雄叫びをあげながら、我先にと全力の吸引をはじめている。
「主よ……神熾天使であり、『美徳』と『真名』を授かりながら、このような醜態を晒してしまい、申し訳ありません。天にて主の活躍を見守らせて頂きます。勝ってくださいませ……」
1つの『
『七元徳』が『美徳』、『
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