第6話 『熾天使』の光
「さすが『大罪の魔王』……野蛮な正体を、ようやく晒しましたか」
「きゅ~~♪」
「私の相手が獣一匹とは舐められたものですね。しかし、私が天使ということはバレていたようなので油断はしませんよ」
「きゅっきゅ~♪」
帝都に募っていた帝国騎士団員たちをウロボロスとデザイアで各結界内へと跳ばした先の1つ。
多種多様な花が咲き誇る花畑を自身が召喚した『
そんなリトスの下に跳ばされてきたのは、帝都で住民に声を駆け回っていた帝国騎士団第8師団団長『
帝国1美しいと言われている黄金の長い髪、蒼色の瞳をした整った顔、金と青を中心として彩られた煌びやかな鎧、自慢の長い髪を弄りながら自身の秘密を隠すことなく発するイスラ。
ソウイチたちにはバレてしまったが、彼女は『七元徳』から帝都に偵察として送られていた天使の1体。自身の能力の劣化版であった元第8師団団長を誰にも気付かれぬ間に葬り去り、入れ替わって活動していたのだ。
「我が名はラファエル・イスラフィア、貴方のことは主より伺っておりますよ。魔力を喰らい尽くすカーバンクルさん」
「きゅっきゅ♪」
「『
――ゴウッ!!
ラファエルとリトスの身体から凄まじい勢いで魔力が溢れだす。
ラファエルは騎士の姿から純白の翼を6枚生やし、魔力でも闘気でも無い聖なるナニカで創られた様々な色に輝く7体の魚のようなモノ、そして赤い壺と青い壺を展開する。
対するリトスは大量の『
人間と虎を合わせたような顔をした7mほどの蠍の尾を持つ猪、見た目からは想像できない遠距離攻撃に秀でた巨体な魔物である『
「「「グォォォォォォッ!!」」」
「『
――ズゴォォォォォンッ!!
『
綺麗に相殺された互いの攻撃は花畑の一部を消し去ってしまうほどの威力であったが、互いに挨拶程度だと言わんばかりに両者の顔には余裕が溢れていた。
「召喚獣を駆使するカーバンクル。本当に特殊な存在ですね。その虎さんもEXの力があるなんて驚愕です」
「きゅ~~!」
慈愛に溢れた優しい表情でリトスを見るイスラフィア。
EXに驚かない彼女は『七元徳』が誇る。7つの美徳が1つである『
全ての魔物の中でも最高と呼ばれる回復スキルを持ち、『神を癒す者』という異名までついている熾天使ラファエルとしての権能。
そして『
その能力の特徴は『調整・管理・倹約』といったもの。
今は放った『
どんなに威力が高く、広範囲なスキルであろうと相殺できる恐ろしいスキルであり、魔力や闘気ではなく、神熾天使のみが持つ『
「なるほど、貴方の周囲を守る蠅の騎士も、私の『
「きゅっきゅ~~♪」
『難虎死閃』と『
「きゅ~!」
「その恐ろしい外見をした虎さんを、どう対処しましょうか」
『
この戦いは当初ポラールかシャンカラが担当するはずであったが、リトスが珍しく積極性を見せたので、半ば強引に決まった対面である。
魔力を吸い尽くし、超強力な召喚獣を従える『
『大罪の魔王』と『七元徳の魔王』の魔王戦争前に行われる。
互いに『大罪』と『美徳』という魔王の魔名の力を持ちし、真名持ち同士の真剣勝負なのである。
「私は前に出るタイプでは無いので、配下を呼ぶとしましょう。『
――ファァァァァン!
イスラフィアの周囲に大量の魔法陣が展開され、そこから4つの燃え盛る車輪を自身の周囲に展開し、顔は美男美女の人間型に似せられた天使、『
イスラフィアもリトスと同じで自身が前線に戦うタイプではなく、サポートに回ったり、相手の妨害をしたりすることで真価を発揮できる能力構成になっており、完全に似たタイプ同士の戦いとなってしまった。
大量の『
「『
「「「グオォォォォォォッ!!」」」
――ドシャァァァァンッ!
イスラフィアの隣を漂っていた2つの壺から水のような魔力が溢れだしたと同時に、『
轟音とともに巻き上がった砂煙が晴れると、そこには金色の『聖神力』を纏い、『難虎死閃』を受けても僅かな傷しかついていない『
『難虎死閃』を『
「さぁ……主の敵、我らが『美徳』の敵を討ち滅ぼすのです」
「「「「「ハッ!!」」」」」
イスラフィアの号令で『
イスラフィアが使用した『
聖神力が吸収されないと判断したイスラフィアにより素早い全軍強化である。
――ブワッ!!
「「「「「なっ!?」」」」」
「……外見に合わぬ底知れぬ存在圧ですね」
このままイスラフィアの超強化の勢いのままにリトスに向かって、『裁きの聖槍』を一斉に投じようとした瞬間に襲い掛かる、EXランクの天使たちを一斉に怯ませるリトスの身の毛のよだつほどに恐ろしい邪気。
調子に乗るなと言わんばかりのリトスの圧に、イスラフィアと『
「きゅ~!」
そんな天使たちに、いつもと変わらぬ可愛らしい顔を向けながら、リトスは『
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