第7話 アピール合戦は『続く』
「エントリーNo.6! その大きさは『罪の牢獄』最大! いかなる事象をも元に戻してしまう『
「相変わらずデカいな」
――ギャォォォォォォォッ!
空を見上げれば次元の裂け目から、大地を震わす咆哮を上げながら登場したウロボロス。
さすがに闘技場の中に入るのは大きすぎるので空を漂いながらのアピール時間になるようだ。
個人的にはウロボロスが『罪の牢獄』に来てくれたことは、魔王として歩むうえでどれだけ大きかったことか……。極時空間魔導とかいう魔導の中でもトップクラスに壊れたスキルとリセットボタンこと『
その巨体が弱点となってしまうこともあるが、次元の裂け目からいつでも登場・離脱ができるので場面を自分で選んでくれるので不利になるようなことはしないだろう。
そして闘技場ではウロボロスが様々な魔物を錬金術で生み出している。イデアと組み合わせれば完全な人間も構築可能らしいけど、人間の身体は想像以上に繊細で面倒とのことでやらせていない。
「ゴーレムにホムンクルスと錬金術の極地ッ! 時空間魔導と合わせて細かい能力が得意でもあるが、ウロボロスは自身の攻撃力をも誇っております! 『神毒殺』に『因果律喰尽』と恐ろしい殺傷力を秘めた恐ろしい蛇なのです!」
「どっちかというと『無限再生』の厄介な感じはあるけど、ウロボロスの能力セットでやられるなんてハクとポラール以外は難しいと思うんだよな……」
天を裂く咆哮をあげながら錬金術パーティーの時間を終えてウロボロスは次元の裂け目へと消えていく。
次は7人目、誰になるのか楽しみなところだ。
――ハオォォォォォンッ!
響き渡る咆哮と同時に闘技場が凍り付いていく。
一瞬にして環境を変化させ、美しい銀世界の中を堂々と入場してくるのは神速の大狼の姿。
「エントリーNo.7! 『罪の牢獄』の切り込み隊長ッ! 自慢の神速を持って相手のバフを打ち消しながら行動を縛りつつ撃退するその姿はまさしく災禍! 『王虎』の魂を色濃く継し誇り高き神狼! 氷月の王様フェンリルの登場である!」
「切り込み隊長か……確かにピッタリな気はする」
ぜひとも誰かと組ませて戦争での活躍を期待したい魔物No.1のフェンリル、メインでもサポート役でもどちらでも輝けるような能力を持っていると俺は考えていて、特に特殊状態異常『災禍』が恐ろしく強力なので、付与さえできてしまえば攻撃特化の魔物はやりたい放題できるようになる。
『狼王の覇気』・『災厄の咆哮』・『
「圧倒的な速さ! とにかく速い! 我らスケルトンはその風圧だけでバラバラになってしまいそうになるので気を付けるのだぞ!」
「さすがにそこまで脆くないだろ……」
氷で作った何本もの柱を綺麗に跳びまわっているフェンリルに目がなかなか追いつかないけど、とにかく敏捷性をアピールしたいのは理解できた。
本当ならば獣系統の魔物をたくさん召喚して『
最後に全ての氷を砕き、フェンリルの氷と速さを活かしたアピール時間が終わり、次の3分間へと突入する。
――プヨプヨッ プヨプヨッ!
大量の可愛らしいスライムが闘技場に入場してくる。
見ているだけで心が癒される。
「エントリーNo.8! 『罪の牢獄』の影の番人ッ! 感情察知・認識阻害・記憶吸収となんでもござれな『
「人間形態で出てきたな」
大量の分裂体と登場したメルは、分裂体を今まで喰らってきた魔物に変化させて遊んでいる。
本体は『
メルには細かい仕事をいつも頑張ってもらっている。
レーラズにサポートしてもらいながらアークに忍び込む輩を探知してもらって目的まで感知してもらうことでアークの治安や隠者を炙り出したり、喰らった相手の記憶を得ることができるので色んな相手を倒してきてもらっている。
基本的に視認されない限り『宵の水星』と『明けの水星』を発動している限りは探知されないのも地味に見えるがとても助かっている。
「相手の感情を読んで自在に誘導する恐ろしいスライム! 自慢の『
メルのメインウェポンでもある『
メルの分裂体と『
次は誰の番かとお茶を飲みながら楽しみにしていたら、観客席のスケルトンたちが一斉に闘技場に飛び込んでいく。
そして横を見てみると『黙示録の獣』も闘技場にむかって大ジャンプをしていた。
――ブワッ!
「エントリーNo.9は我! 我らが王より『
「自分で演出して自分で実況するのかよ」
強化スケルトンがまさかの息の合った巨大組体操を始める。
下の誰かが崩れたら総崩れになるので見てみたいがスケルトンだから出来る芸当でもありそうなので、とりあえずスケルトン組体操を見守ることにする。
バビロンは俺が生み出し続けることができるGランクのスケルトンを大幅に強化し統制をとることができるので、数の暴力ができるありがたい魔物だ。
『
真に恐ろしいのは『
この2つが発動していれば戦闘維持能力も単純な攻撃力が大幅に変わってくる。『黙示録の獣』は多種多様な攻撃スキルを使用できるので攻撃の生命線だ。
「でも一番は『
バビロンが持つ能力で個人的に1番恐ろしいと思っている『
最後にバビロンの指示で美しいスケルトン組体操による巨大なピラミッドが出来上がりアピール時間は終了した。
しっかり時間になった瞬間に、手早く解散して戻って行く姿は少し面白かった。
――儂の出番じゃなッ!
どこからか五右衛門の声が聞こえたので周囲を見渡してみるがどこにも見当たらない。
「エントリーNo.10! 『罪の牢獄』が誇る傾奇者! 神出鬼没で好奇心旺盛な仙人忍者! 『
――ドゴォォォォンッ!
「儂ッ! 参上!」
地面の中から五右衛門が飛び出してくる。これイデアが一々地面とか元に戻してくれるからいいんだけど、演出に力かけすぎてビックリだ。八咫烏と一緒に忍術や仙法とやらを披露してくれている。
五右衛門はベテラン魔物として違った視点での意見を提案しつつ、『罪の牢獄』全体の雰囲気を考えていてくれたり、密かに色々と手を回してくれていたりと暗躍してくれている魔物だ。
バフ・デバフを吸い取りまくって強くなる独特な戦闘スタイルだが、両肩に乗っている八咫烏のサポートがあれば元の攻撃力もなかなかあるので、『
「巨体を誇るが気配は気付かれず! 何でも奪ってしまえる便利な大罪と能力を斬り裂く『
五右衛門と八咫烏による劇のような面白アピール時間はスケルトンたちに大うけしながら幕を閉じた。
さすがに観ているのも疲れてきたが、残っている面子を考えれば、まだまだ凄いことになりそうだから気を引き締めるとしよう。
次は11人目だ……各々凄すぎて疲労感が半端ないぞ。
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