第1話 着実な『戦力』強化
「なんだかんだ後3週間のところまで来たか……」
俺やアイシャのルーキー期間が終わるまで残り3週間。
生まれてから1年記念日ってことになる。もちろん1年間で派手にやらかした俺とアイシャは今後に向けてしっかりと対策を練っている。
『異教悪魔』を倒すことを目標とした俺は、とにかく基盤を固めること、そして戦力を強化することに集中した。
フェンリルは阿修羅や五右衛門、ポラールにアヴァロンの地獄の特訓を毎日こなすことでLvが最大まで行き、ステータスは他のみんなと遜色ないほどに強くなってくれた。
そして配合を使って魔物を創りだすことも忘れてはいない。あまり思い浮かばなかったのもあり1体しか配合していないが、「ピクシー」にいくつかのアイテムを配合した魔物を迎えることが出来た。
1.魔名カード『古代機械』 SSランク
2.魔名カード『腐夢』 EXランク コピー
3.魔名カード『言霊遣い』 Sランク
4.聖魔物『邪神のイヤリング』 EXランク
この4つのアイテムをピクシーに配合した魔物が超変異を起こした、これまたビックリというか運が良いというか不思議な魔物だった。
【
真名 無し 使用DE300000000
ステータス 体力 EX+75 物理攻 SS+60 物理防 EX+90
魔力 EX+95 敏捷 SS+40 幸運 SS+40
アビリティ ・『
・古の邪神 EX
・未知なる機械兵器 EX
・呪詛の理 EX
・輝く真理 EX
スキル ・『
・『
・『
・『
・『
・『
・古代兵器の武装 EX
・2mほどのゴーレム。女性型で6本腕、5種類の『
・古代兵器とありながら、誰も造ることのできない未知の構造をしており、武装も豊富で空も自由に飛べる。
まさかの『罪の牢獄』17体目のEXランクの魔物誕生である。
そして今回の配合でよくわかったのは、聖魔物が高ランクであることが強魔物を配合するのに、かなり重要なポイントになってくるんじゃないかってことだ。
まぁ確率から言っても聖魔物のほうが重要なのは分かり切った話だけどな。
配合は超変異と聖魔物次第という、なかなかのクソ仕様が確実となった気がする…。
名前が長いからアマツって呼ぶことにしたけど、基本ゴーレムなので指令がないと動かない。色んな武装を装備していてゴツイし、女性型らしく感じるのは顔が確かにモチーフが人間の女だなって思うくらいで、他は完全に服という名の防具を羽織ったゴーレムなのだ。
ちなみにフェンリルと同じく地獄の特訓でLvは最大になった。
フェンリルとアマツという互いに邪魔せず連携できる魔物2体が『罪の牢獄』に加わってくれたことは、戦力的にもツーマンセルを組ませられるので助かる。
Lv的なところから『
「もうすぐ1年だけど、ダンジョンも随分進化したな」
ダンジョン名 『罪の牢獄』ダンジョンLv71 知名度S 総合SS(難易度EX)
迷宮都市 街 ルジストル・ホムンクルス多数+リーナ 難易度 無
1F 薄暗い洞窟 ゴブリン集落+スライム+一角ウサギ 罠多数 F
地下1F 朽ちた街 スケルトン+子蜘蛛 『銅』の軍勢化 D
地下2F 湿地帯 スケルトン(泥纏い)+血吸い蠅+スライム C
地下3F 灼熱火山 炎腕魔王イブリース(メル分裂体のためランクS) B
地下4F 破裂の黒森 偽魔狼+偽竜 S
地下5F 暗黒遺跡 デザイアが創り出した魔物3体 SS
地下6F 荒れ果てた荒野 フェンリル+天津甕星 EX
地下7F 闘技場 スケルトン+全滅したら出てくるアヴァロン EX
地下8F 骨塗れの山 スケルトン+バビロン EX
地下9F 永遠の星空 マスティマ+ガラクシア EX
地下10F 暗黒湿地帯 アセナ+五右衛門 EX
地下11F 星海 メルクリウス+スライム多数 EX
地下12F 永久天地 ウロボロス EX
地下13F 鬼の花道 阿修羅 EX
地下14F 白の塔 イデア EX
地下15F 大いなる大自然 シャンカラ EX
地下16F 地獄の門 ポラール EX
異空間 星屑の祭壇 デザイア EX
居住区 果樹園 レーラズ+リトス EX
コアルーム ソウイチ+ハク EX
ゼブルボックス+シンラ(各階層にランダム出現) EX
知名度はカノンがアークを拠点としたことで一気に広がった。
正直、もう数年したら知名度だけで言えば、3人のEXランク冒険者が拠点にしているってだけ魔王界トップになれるような気はしている。
ダンジョンLvの上限は、どれだけ魔物の強さや知名度があっても上限に達するのは長くなりそうだ。
ちなみにダンジョンランクSSになった報酬は大量のDEだったので少しガッカリだったが、圧倒的速さでSSランクダンジョンの主となってしまったことで、魔王界では再度目をつけられてしまうことになってしまった。
「ダンジョンレベルが100にならないと解放されない罠が楽しみすぎる」
魔物の強さに頼りっきりな『罪の牢獄』なのだが、ダンジョンレベルが100になることで新たな罠が解放されることがレベル70になって分かったので、まだ先の話だがワクワクしてしまっている。
「人間同士の戦争は始まったばかりで落ち着いている……けど『異教悪魔』は騒がしいな」
完全に俺が狙っているのがバレてしまっているかのような動きを『異教悪魔』はしている。
公国騎士だったり、高ランク冒険者を迷宮都市に呼び込んだり、わざと魔王界で噂になるように他魔王との交流を深めているようだ。
元々同盟相手は少なかった上級魔王だったようで、今になって他魔王と交流を深めるだなんて、何かを狙っているようにしか見えない。
「3週間以内にどうにか攻め落とさないとな」
ウロボロスには迷宮都市エリファスの場所をしっかり覚えてもらったので大丈夫だが、いかんせん人も他魔王も多すぎて手が出せない状況にはある。
力押しでどうにかなりそうだけど、『罪の牢獄』の知名度が上がって行くことで、アークに高ランク冒険者がどんどん来るようになってきているので、そういったところで油断は出来ない。
そして『異教悪魔』を調べていて分かってきた事実が1つある。
「EXランク魔物を配下にいる魔王が、俺と最古の魔王様以外にもいる」
ウロボロスとメルが調査してくれた流れで分かったことなんだけど、『異教悪魔』もEXランクの魔物を配下に加えているっていう事実。
クラウスさんの説明ではいなかったはずだが、メルとウロボロスの調査を疑うことも出来ないので、俺は嘘を教えられていると思っておくことにしている。
最古の魔王様たちに聞いたところで良い感じにはならなさそうだから、気にしないほうが良いんだろうな。
「ダンジョンは俺と同じ地下に潜っていく階層型。出てくる魔物で気になるのは悪魔や堕天使系統、特徴は2体の能力相性が悪い魔物たちが上手く連携をとれているところか……これは『異教悪魔』の能力なんだろうな」
『異教悪魔』の同盟相手には上級魔王の姿も見られるので、魔王戦争になってしまえば何面作戦になるか分からないくらいの面倒な戦いになってしまう。
ダンジョンにも魔物は多いけれど、後半は『罪の牢獄』と同じように強力な個体がコンビを組んでいるような階層が確認されている。
モニターを見ながら『異教悪魔』を倒すための作戦を練っていたら、ルジストルがコアルームにやってくる。
「閣下……公国領土にありますエリファスより手紙が来ております。『罪の牢獄』の王宛てに」
「良い内容ではないだろうな」
俺はルジストルから手紙を受け取り、中身を確認する。
最初に見えた文字は「ルーキー最強魔王へ」というものだった。
「みんなを果樹園に集めてくれ……ルーキー期間最後の戦争になるな」
「……かしこまりました、閣下」
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