第20話 『最古』のウサギ
『罪の牢獄』が誇る最古の魔物。
常に自分のペースを崩さず、いかなる相手であろうが気に入らないなら体当たりをぶちかます。
そして……稀ではあるが俺のストレスを解消してくれるデレ行動を見せてくれる魔物。
その名は……『一角ウサギ』である。
みんなで配合を見守れるようにダンジョンエリア「地獄の門」に来ている。
ウロボロスは上の方に裂け目を作って覗いている。なんだかホラーだが、全身を出すととんでもないことになるので我慢してもらっている。
俺とリーナ以外の誰よりも先輩である一角ウサギ、周囲の見守りなんぞ一切気にせずにアイテムを物色している……というより踏みながら遊んでいる。
チラっと貴重なコピーカードが2枚ほど咥えられるのが見えたが大丈夫だろうか?
ここまで盛大に配合が行われるのは、何より俺が一角ウサギに対して思いやりがあるからである。しっかり真名も付与しておこう!
「最初の魔物……俺の中でのウサギのイメージで悪いが『
自分で授けておいてあれだが、長いので略してハクと呼ぶことにする。
真名を授けたことで身体が輝きだし、4つのアイテムも決まったようなので、そのまま配合をタッチする。
1.魔名カード『天上天下唯我独尊』 ランクEX コピー
2.魔名カード『真祖』 ランクEX
3.魔名カード『大罪』 ランクS
4.聖魔物『悪神台座』 ランクEX コピー
貴重なコピーが2つもかよ! 贅沢な奴だな! いつぞやのシンラみたいだな。
4つのアイテムがハクに吸い込まれて、さらに体が輝きだす。
――ゴゴゴゴゴゴゴゴッ!!
『確認:超変異が発生しました。配合を続けます』
今まで配合していて感じたことの無い揺れが発生し、ハクからどんよりと重苦しく感じる白と黒が綺麗に螺旋模様をした魔力が溢れ出る。
魔法陣の上にいたのはウサ耳二足歩行をした人型の魔物だった。
白銀のウサ耳に肩上まである白銀のショートヘア、ウサ耳の下ほうには兎型のアクセサリーのような物を着けており、服装はイデアと似ているが配色はアヴァロンみたいに白と黒に綺麗に別れている。
左手には1本の刀を握っており、ヒールで若干身長が高くなっていて170cmちょっとある美女が現れたのだ。
「マスター♪」
近づいてきて、突然キスしてきたハクによって、地獄の門はまさに阿鼻叫喚地獄となってしまったのだった。
◇
――『罪の牢獄』 居住区 ソウイチの部屋
配合直後に起こったハクの行動により、とんでもない騒ぎになった後。
ハクが軽い謝罪の1声で誰も何も出来なくなり、なんとか落ち着いたので一旦解散して、俺はハクを連れて自室で話を聞くことにした。
「いきなりつれ込むなんて……き、緊張するね」
「話聞くだけだから落ち着いてくれ」
とりあえずハクのステータスを改めて確認してみる。実は4回目くらいだが、何回確認しても信じられないステータスだ。
【アルテマラビット】 真祖神兎族 ランクEX Lv1000 固定
真名 『
ステータス 体力 EX+99999 物理攻 EX+99999 物理防 EX+99999
魔力 EX+99999 敏捷 EX+99999 幸運 EX+99999
アビリティ ・『
・『
・『
・真祖 EX
・『
スキル ・『
・唯我絶刀 EX
・真祖の権能 EX
・月之御業 EX
・兎の理 EX
・一番最初に生み出した魔物が『一角ウサギ』であった場合のみ配合可能。
・超配合必須:一角ウサギ+『大罪』+真祖+EX魔名+邪神系統EX聖魔物
・『
・自分だけが唯一絶対という崩れること無い芯があり、究極の傲慢さを持ち、誰も自分の土俵にすら上がることを許さない。己以外全ての能力を基本許さず、本気をだせば全てを原初の姿に戻し、魂を斬って対象を宇宙の塵へと変える兎。愛されることが出来れば最強だが、懐かれないと……味方だろうが魔王だろうが滅び去る諸刃の兎ちゃん
懐かれてなかったら死んでたのかよ…。
そして本当に誰とも共闘できない……というかさせてすらくれない魔物が出来てしまった。
さっき誰も行動すら許されなかったのはハクの力だったのか。
「マスター、これからは僕だけがいれば安心だよ♪」
「みんな仲良くがルールなんだ……ルールを守れない子は嫌いになってしまうかもしれない」
「き、嫌いになるの?」
「仲良く出来るなら大好きになるけどな」
「な、仲良くする! だから大好きのままで! いつもみたいに可愛がってよ!」
一角ウサギ時代の記憶がしっかりと残っているようで安心した。
そしてけっこうチョロいことも判明したけれど、話すのにも命がけって思うと、あまりにも重すぎる……けど可愛い。
「可愛いな! おい!」
「ひゃん♪」
なんか誘導された気もするけど、とりあえず可愛かったので抱きしめておく。
『罪の牢獄』所属の魔物となら頑張って仲良くすると言ってくれた。後日、みんなをまた集めて、自己紹介と謝罪をしてもらうことにしよう。
ウサ耳美人がオドオドしながら謝ってるのを見ると、何だかクるものがあった。
怒ると皆殺しにされるので注意しないといけない。
これで俺が授けたかった全ての魔物に『大罪』が付与できた。
こっからは、みんなで楽しく進んでいこう。
「改めてよろしくな。ハク」
「うん♪ 僕に任せておいて」
デレデレウサ耳吸血鬼ボクッ娘美人とか属性多すぎて混乱するけど可愛い。
ハクに次の戦争は先に決めちゃったから出れないけど、もし次に魔王戦争があったら必ず出てもらいたいことを伝えたら、俺の指示通りにしてくれるらしく。俺の指示だけは絶対守るとのことなので、色々大変になりそうだな。
それにしても一角ウサギが単体戦闘でポラールやデザイアよりも強い魔物になるだなんて誰が予想できただろうか…。
◇
――『罪の牢獄』 居住区 コアルーム
リトスとハクを新たな『
リトスのほうは変わらず、色んなエリアをシンラみたいに出入りして、みんなと交流をしているようで好奇心旺盛かつ仲良し体質は変化して無いので上手くやっているようだ。
ハクはアビリティを普段はOFF状態にすることで頑張って交流できるようにして頑張っているけど、基本的には誰かと絡むようなことはしない。
俺と話すとき以外はそこまで口数が多くないようで必要最低限しか会話していないようだが、他の面々が大人なのと会話が少ないだけで話は通じているので、なんだかんだ仲良くしているようだ。
ガラクシアには何やら色々教えてもらっているようで。夜部屋に忍び込んで来る時に実践されるので、とりあえずガラクシアにはキツくお仕置きをしておいた。
リトスとハクを『
ダンジョン名 『罪の牢獄』ダンジョンLv37 知名度B 総合A(難易度EX)
迷宮都市 街 ルジストル・ホムンクルス多数+リーナ 難易度 無
1F 薄暗い洞窟 ゴブリン集落+スライム+一角ウサギ 罠多数 F
地下1F 朽ちた街 スケルトン+子蜘蛛 『銅』の軍勢化 D
地下2F 湿地帯 スケルトン(泥纏い)+血吸い蠅+スライム C
地下3F 灼熱火山 炎腕魔王イブリース(メル分裂体のためランクS) B
地下4F 破裂の黒森 偽金剛蜘蛛+偽火竜+偽狼軍 S
地下5F 暗黒遺跡 デザイアが創り出した生命体たち SS
地下6F 闘技場 スケルトン+全滅したら出てくるアヴァロン EX
地下7F 骨塗れの山 スケルトン+バビロン EX
地下8F 永遠の星空 ガラクシア EX
地下9F 暗黒湿地帯 五右衛門 EX
地下10F 星海 メルクリウス+スライム多数 EX
地下11F 永久天地 ウロボロス EX
地下12F 鬼の花道 阿修羅 EX
地下13F 白の塔 イデア EX
地下14F 地獄の門 ポラール EX
異空間 星屑の祭壇 デザイア EX
居住区 果樹園 レーラズ+リトス EX
コアルーム ソウイチ+ハク EX
シンラ(各階層にランダム出現) EX
配置に関して、リトスはレーラズと一緒にいることにしたようだ。
だけどシンラと同じで各階層に現れてみんなの魔力回復やバフを受け入れられるやつにはバフを振りまいていく係のようだ。
ハクは俺と一緒に最後の砦をしてもらう。究極的に共闘がむいていないので、単体で頑張ってもらう。コアルームまで辿り着けるやつがいるかどうかは分からないけど、共闘できるEX集団みたいなのが来られたら可能性はある。
それにしてもそれぞれが規格外である『
阿修羅は相手に接近戦を強制できるのに自身は自由にやれるし、手数も多いし1撃が強力。戦いが長引くほど強くなる近距離戦の鬼だ。
イデアは魔法・魔導をメインで使う相手には確実に完封できるし、自在に魔物を創り出せるので相手がどれだけ多くても気にならない。そして龍神の力も地味にあるので本体自体の接近戦での戦闘力も高い。
デザイアはデバフの神で、相手の能力を極限に下げ、最早マイナスの領域まで下げる怪物だ。ニャルもいるので隙がなく好き放題出来るニートだ。意欲があれば…。
ポラールは変わらず『
ハクは戦闘に限れば無敵。誰も届かない領域にいる。ハク以外の能力は発動せず、全ての存在は原初に戻るのでLv1の状態に戻すことができてしまうのだ。その上意味不明なステータスしてるハク。能力発動不可能って反則じゃないのか…?
「真名付与回数が底が見えたな……次もカッコいい名前をつけたいもんだ」
魔王戦争前だが、思ったより余裕があるのは、みんなのおかげだな。
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