第19話 宝石の『煌めき』
魔王たちに俺からの愛がたっぷりと籠ったメッセージを聞いてもらって早5日。
俺の知ってる同盟魔王たち含め、魔王界ではとんでもない反響があったようだ。
最古の魔王の1人であるリンさんからは面白いよくやったと褒められ、アイシャとピケルさんからは物凄く心配され、ラムザさんからは道化師だと笑われた。
あの痒くなるようなメッセージのおかげで、この魔王戦争への注目は最高潮に高まってるようなので、一応狙い通りではある。
そしてこの『海賊』との戦争で力を示せば、今後面倒事が減ると俺は思っている。
この魔王界は力がなんぼの世界。強い奴には誰も抵抗なんぞしない。それはクラウスさんを見てればなんとなく分かる。
この魔王戦争で上手く俺たちの力を示して多くの魔王を黙らせて、俺の行く道の邪魔をされなければそれで良い。
それでも邪魔をする奴は踏みつぶしていくだけだ。考えは傲慢なのかもしれないけど、割り切って考えないと疲れてしまう。
「ピリピリしてるな」
俺が『海賊』との戦争に向けて宣言した3体の魔物での魔王戦争勝利。
これは圧倒的な力を見せつけるために少数にしたいと、みんなでしっかり話し合って決めた数だが、これは今回の配合の後にジャンケンをして決めることになっている。
ポラールとイデアが3体で蹴散らすと自信満々で言ってくれた影響だ。
みんなこの勝負に勝ちたいという共通意識をしっかりともってくれている。
普段では味わえない緊張感が『罪の牢獄』に漂っている。
負けても文句なしの真剣勝負らしいので見物だな。しっかりみんなが戦えるように考えないといけないな。
そして俺が『大罪』を背負ってほしいと思う魔物も少なくなってきた。
まぁ今のところだからもしかしたら変わる可能性もあるし、アヴァロンのときみたいに、誰かが推薦してきたりしたらしっかり考えるつもりではいる。
「きゅ~♪」
『大罪』の力を受け取ってほしい魔物1体目は、俺の腕の中で気持ちよさそうに遊んでいるカーバンクルだ。今までは配合を拒否されてきたが、様子を見る限り今日は調子が良い感じに見える。
可愛いから許したが、俺の昼ご飯のステーキを見事に搔っ攫っていった食いしん坊なのだが、それで調子を整えられるなら仕方がない。
今までは配合は断られてきたけど、今日の感じだといけるんじゃないか?
「そろそろ受け取ってくれないか?」
「きゅ~?」
反応が一々可愛いので悶えたくなるが、我慢して話し合いを続けなければ……。
『罪の牢獄』の雰囲気を感じ取って、何か決意でもしてくれたんだろうか?
すでに配合アイテムは机に並べてある。
何かを待っているような気がするんだよな。なんとなくだけど。
カーバンクルと見つめ合っていると1つの可能性が浮かんでくる。
「そういうことか……『リトス』」
「きゅ~~~!!」
もしかしたらと思い、カーバンクルに真名を与えると大喜びして配合アイテムのところへ走っていった。
……現金なやつだ。先に真名を寄こせとは生意気だけど可愛いから許すことにしよう。
しかも事前に決めていたのか、すぐ配合アイテムを決め終わって戻ってくる。最初っからこうすればよかったのか……。
ため息が出てしまうが、画面をタッチして配合をスタートさせる。
カーバンクルのアイテムはなんともよく分からない選別だった。
1.魔名カード『四凶』 ランクEX
2.魔名カード『風神』 ランクSS
3.魔名カード『大罪』 ランクS
4.聖魔物『虹色の宝石』 ランクEX
リトスに4つの光が吸い込まれる。
しかしどれだけ経っても形は変化せず、後には身体についている宝石が色とりどりになったリトスがそこにはいた。
とりあえず可愛い。
【神獣カーバンクル】 幻神獣族 ランクEX Lv940
真名 リトス 使用DE??
ステータス 体力 SS+85 物理攻 SS+74 物理防 SS+90
魔力 EX+99 敏捷 EX+90 幸運 EX+99
アビリティ ・『
・『
・終末四凶 EX
・たくさん食べて、たくさん遊ぶ EX
・召喚魔法を極めし者 EX
スキル ・『
・四凶召喚 EX
・蠅神召喚 EX
・七色魔導 EX
・極回復魔導 EX
・極結界魔導 EX
・無尽の胃袋 EX
カーバンクル+『大罪』+四凶+神or悪魔系統+宝石系統EX聖魔物
・『
・召喚魔導を極めており、四凶で攻防戦を、蠅を呼んで魔力を喰らい尽くす。
『大罪』の中でも珍しい補助型に見えて、結局個人プレータイプのスタイルだ。でも無差別に魔力を吸い取りつつバフをばら撒けるのは良いな。
デザイアと真逆でバフに特化した形になっているが、これはありがたい。アヴァロンや阿修羅とは組み合わせが悪いが、イデアやメル、レーラズなんかとは良い連携でやっていけるような気がする。
外見は宝石が色鮮やかで多くなっただけで、変わらずに可愛らしい見た目なので抱き上げて撫でまくる。
「きゅ~~♪」
「可愛いな!」
こんなんだから昼ご飯を盗られても怒れないんだよな。
バビロンと同じタイプで本体よりも召喚獣のほうが戦闘力は高いようだ。しかも種類が豊富だ。
でも無邪気なのは変わらず戦うのは好きじゃなさそうだな。
「これからもよろしく頼むぞ」
「きゅっきゅ~♪」
とりあえず可愛い。尊い。
◇
――『罪の牢獄』 居住区 食堂
ダンジョンも閉まり、リトスの紹介も兼ねて、みんなで晩御飯タイムだ。
ちなみにリトスはウロボロスとシンラの3体で過ごしていたらしい。
ウロボロスの上でお昼寝していて、中身は変わっていないようで、みんな何故か安心していた。
リトスは俺以外からご飯を盗めないと判断し、俺のご飯に狙いを定めているので、盗られる前におかわりをあげておく。
「きゅ~~♪」
「これは狙ってやられてる?」
「リトスの思うつぼだよ。ますたー」
これはリトスの策だったようで、みんな笑っている。
リトスが笑っているのは気に入らないが、せっかく揃っているのでクイズを出してみることにする。
「ここで問題! これに正解すれば次の魔王戦争に参加確定だ!」
「なんだと! 絶対に正解するぞ! 若頼むぞ!」
「儂も活躍するんじゃぁぁぁ!!」
「王に我の偉大さを再認識させるチャンス!!」
「よ~し、頑張るぞー!」
「ご主人様が出す問題を外すわけにはいきません!」
ジャンケンではなく、正解すれば『海賊』との魔王戦争に確約参加できるとのことで、さっきまでの和やかな雰囲気は一転して、食堂は戦場となってしまった。
気合が入りすぎていくつかの机が軋む音が聞こえてきているが気のせいだと信じたい。
ちなみにけっこう自信があるし、これはいくら我が幹部たちでも正解するのは難しいであろう。
ドヤ顔をしていると、イデアが速くしてとのことなので問題を言う。
「問題! 『罪の牢獄』で最古参だと思う魔物を連れてきなさい! とりあえず紙に書いてくれ!」
テーブルの上に紙とペンを用意してみんなに渡していく。
ちなみにリトスとシンラ、それとアヴァロンにレーラズは『罪の牢獄』の守護に入るので参加しないそうだ。
みんなガヤガヤしながら考えている。
さぁ正解者はいるかな?? けっこう悩んでいるように見える。
「どうだー? そろそろ締め切るぞ!」
「ま、待つのじゃ主、儂みたいな割かし新参者には難しいぞい!」
「それは勉強不足だな」
「くぅぅぅぅぅ!」
何人かは自信のある顔をしているな。
特にガラクシアとポラールはさすが古参組なので自信満々といった感じの顔をしている。
そして何故だかバビロンも自信満々なようだ。まぁバビロンはいつもか。
「それでは正解を……オープンッ!」
一斉に紙を俺の方に向けてくる。
ガラクシア・メル・阿修羅・五右衛門・バビロンは「スケルトン」と書いてある。
そして、ポラールとデザイアは「俺の部屋にいる一角ウサギ」と書いている。かなり詳しく書いてくれている。
――パキッ パリンッ!
俺の真上らへんに空間の裂け目が出来て、見慣れた一角ウサギが落ちてくる。
その裂け目からはウロボロスが覗いている。わざわざ連れてきてくれたのか。
ということはウロボロスも一角ウサギが解答ってことだな。
「いや~、誰も正解できない自信あったんだけどな。……正解は「俺の部屋にいる一角ウサギ」だ! ポラール・デザイア・ウロボロスが魔王戦争参戦決定!!」
「やりました!」
「少々面倒じゃが……主の晴れ舞台を彩らせてもらおうかの」
――ギャオォォォォォ!
不正解の面々はそういえばそうだったというような顔をしている。
特にガラクシアとメルは、俺の部屋で寝る時に会っているから尚更悔しいだろうな。
この一角ウサギは一番最初に生み出して、なんと『銅』の戦争で奇跡的に生き残り、そこからは居住区で放し飼いにしている。
ちなみに『
そして気に入らないと『
「ということで、みんなで『罪の牢獄』の最古参様である一角ウサギの配合を見守るぞ」
実は昔から配合してみたいと思っていた『大罪』は君だぁ! 一角ウサギ!
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