第4話 圧倒的『個性』
大蝦蟇に『五右衛門』という真名を授け配合を始める。なんとなく浮かんできた大蝦蟇に合いそうだと思った真名だ。
五右衛門の身体に4つのアイテムが光となって吸い込まれていき、お馴染みとなってきた眩しい光を放つ。
しかし姿形は何も変わることなく、出てきたのは着てる和服が豪華になっただけに見える大蝦蟇だった。
何故か両肩に足が3本もある烏がいる。ネックレスみたいなアクセサリーまでしてお洒落な烏だ。
「服豪華になったなぁ~」
「おぉ~若返っとるぞ!」
どっからどう見ても若返ったとか分からんぞ。そのまんまの蛙だ。
ただよく見ると腰に先ほど配合で使用した『天叢雲剣』があるので刀を使えるようになったっぽくて嬉しい。飾りだったら悲しいけど…。
それに五右衛門から『
【自来也】 仙人蝦蟇族 ランクEX Lv960 固定
真名 五右衛門 使用DE?
ステータス 体力 EX+50 物理攻 EX+50 物理防 SS+30
魔力 SS+30 敏捷 EX+99 幸運 EX+30
アビリティ ・『
・『
・水平線上の八咫烏 EX
・蝦蟇、来たるなり。 EX
・神を陥れる義賊 EX
・仙法の極み EX
スキル ・『
・極忍術 EX
・仙法 EX
・『
・地獄の大釜 EX
・天下御免の傾奇者 EX
・大蝦蟇+大罪+SS以上のジョブ系統魔名2つ+武器聖魔物
・『
・忍者でもあるが忍ぶ気がないのも特徴である。
「確かに『強欲』に相応しいよ」
「これで儂も『
「変わらず仲良くやってくれよ」
「御意」
そう言うと五右衛門は煙となって消えていった。
たぶん改めてあいさつ回りにでも言ったんだろうな。
次の配合をフレイムリザードに頼もうかと思っていたらアイシャからメッセージが来ており、至急来てほしいとのことなので行くことにした。
◇
――『焔輪城ホムラ』 ダンジョン 会議室
アイシャのダンジョンにやってきた。
急ぎだと言われたので何事かと思ったら、アイシャの迷宮都市に「プレイヤー」が作ったギルドが拠点にして住み着いたとのことだった。
アイシャの推測では自分を倒すことが目標の1つである「プレイヤー」集団だということだ。
「ちなみに強いのか?」
「まだまだ弱いですが、数は40人もいるギルドになっていますね」
「あの程度なら40人集まっても変わらんと思うがの」
挨拶回りに行っていたはずの五右衛門とその背中に引っ付いてきていたメルが俺の護衛としてきてくれている。出かけるのを察するのが速すぎてビックリだ。
アイシャは特に触れることなく話を進める。
「このギルドは「プレイヤー」の中で最前線という括りで考えられている集団で、「プレイヤー」の中では強者が集まっているようです」
「3か月ちょっとでBランクパーティーってのは確かに速すぎるな。俺の冒険者についての参考データは少ないけど…」
「紅蓮の蝶々」がSランクパーティーになるまで数年かかったというのに対してあまりにも速すぎるし、個人の成長速度が遅い人間なのに「プレイヤー」は全員異常な速さでレベルが上がっている。
最前線ってのは同じ時期にはじめた「プレイヤー」の中でも一番良いところまで来ている連中ということなんだろう。
正直早めに潰しておいても良い気がするんだけどな。
「この場でやるのか?」
「いいえ……もう少し様子を見ようかと思います。実績記念狙いでもありますが」
「なるほどね」
Sランクプレイヤーギルドが拠点にした記念とか凄そうだ。
だが不安要素も大きいように感じる。今は40人だが最終的にはもっと数が多くなるかもしれないし、全員が恐ろしい強さを獲得する可能性もあり、そうなるといくらアイシャであろうと厳しい可能性があるので、常に動向を探っておく必要があるということになる。
アイシャは大丈夫と言うので突っ込まないけど、きっとアイシャもどんどん強い魔物とダンジョンを作り上げているんだろうな。
「さすがルーキーでSランクダンジョンを作った魔王だよ」
「それほどではありませんよ」
ちなみに五右衛門とメルはアイシャのとこの幹部に少し舐められていたらしく俺の許可もなくボコしていたので、アイシャに全力で謝っておいた。許してもらえた。
用事というのはこれだけだったようで、アークにも来るかもしれないから注意してくださいと最後に忠告を受けて、俺たちは『罪の牢獄』へと帰還した。
◇
――『罪の牢獄』 居住区 コアルーム
帰ってきて少し休んでからコアルームに行くと阿修羅と五右衛門が座っており、何故か五右衛門はボロボロだ。阿修羅の顔はとても勝ち誇った顔をしている。
「何があったんだ? ダンジョンが奥まで突破されたとは聞いてないけど」
「漢の喧嘩ってやつさ」
「若いもんに負けるとは不覚じゃ」
詳しく聞くと、五右衛門が『大罪』の力を司ることになり、おそらく俺から個別階層を貰えるとの予想で、どちらも奥の階層を守りたいと口論になり正々堂々勝負をすることになったらしい。
正直タイマンでポラール以外に阿修羅に勝てるやつなんていないと思ったが、五右衛門は承知で挑んだようで、忍術で攪乱し、仙法で地形有利や回復を挟みつつ様々な策で阿修羅を嵌めようとしたが、やっぱり相性が悪かったようだ。
自身を対象とした近接技以外を封じるのを上手く掻い潜って頑張ったようだ。
相手にデバフを与えることはほとんどないが、いかなる能力でも妨げられない自身へのバフと武神スキルを持ち、アヴァロン並みの防御性能がある『三明の神剣』で常に前進してくる阿修羅には相手の力を奪って強くなる五右衛門では厳しかったようだな。
最後は五右衛門が弱っていったことで力を増した『暴虐』で勝負を決められたようだ。
そして2人の戦いで分かったことが1つあるとすれば、EXランクの能力の戦いは魔物自身のLvが上下を決め、どれだけステータスをあげれるかの戦いになるようだ。
それとEXランク相手だろうが揺るがないほどの圧倒的能力があるかどうか、そしてその能力の相性ってとこか。
「阿修羅にタイマン挑むなんて凄いな五右衛門」
「自身の力を把握するにはいい機会と思ったんじゃが初戦敗退じゃ」
「五右衛門の力は集団戦のほうが発揮するだろうさ」
2人が仲良しだったからか分からないが、阿修羅と五右衛門は『
他者が誰かに与える影響を全てプラスにして奪う五右衛門と自身にだけバフを追加し続けて強くなっていく阿修羅、この組み合わせは今後大きな武器となりそうだ。
まぁ五右衛門は相手をとことん弱くして圧倒するガラクシアとは相性最悪だけどな。
「ということで俺が奥ということで頼みますよ、若」
「悔しいのぅ~」
互いの力を試すのは結構だが、ダンジョン構造まで決めるのはなんともなって思うけど今回は俺も決めていなかったから本人が決めたということでそうするか。
それにしても『
阿修羅と五右衛門はあくまで手合わせ程度で済ましたので良いが、他の『大罪』たちも本気出したらダンジョンが無事なのか心配になってきた。
「五右衛門は私よりも前」
騒ぎを聞きつけたのかメルがコアルームまでやってきた。
私よりも前ということはメルも自身の階層にこだわりがあるんだろう。
少し怒り気味に五右衛門にスライム形態で向かっていく。
「そんなに怒るでない。メルにも敵わんので前でええぞ」
「えっへん」
まぁメルに勝つのも難しいだろうからな。
2人とも接近戦でも遠距離でもなくその場その場に適したスタイルとスキルで相手を圧倒するタイプだが、メルのほうが圧倒的にレンジが広いし、Lvの差で力を奪えない五右衛門では厳しい戦だろう。
メルは勝ち誇って俺にアピールしている。
とりあえずフレイムリザードのところに行くか。
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