第17話 『無頼』の騎士王
アイシャの相談は2時間ほどで終わり、「また来ます」と言って華麗に去っていったのでダンジョン運営のほうに気を向ける。
月に2回配合することができるようになったのでさっそく誰か配合しようか悩んでいる。
『大罪』の使用できるのは一度のため、できれば『大罪』を配合する魔物は慎重に選びたいので悩ましい。
「ご主人様提案があるのですが」
「どうしたポラール?」
ガラクシアは仲良くなったアウラウネと駄弁っているらしく何もない時はつに着いてきてくれているポラール。
コアの前でブツブツと悩んでいる俺を見かねて声をかけてきてくれた。
「推薦になるのですが、先の戦いで素晴らしい活躍をしたソルジャーさんを『大罪』の仲間として推したいのですが」
なるほど。
なんだかんだGランクではない魔物で付き合いが長いし、『銅』の戦いでも率先して仕事をこなしてくれるし仲間想いの良い奴だから良い選択肢だと思う。
「ご主人様はスケルトンがお好きなようなので、ここでソルジャーさんを本格的にスケルトンを指揮できる魔物になっていただくのがダンジョン的にも良いことだと思います」
「本当に良い子だな~ポラールは」
あまりの素晴らしい推薦に思わずポラールの頭を撫でてしまう。
身長的には俺のほうが高いので、まだまだ魔王としての威厳はあるはず!
「あ、ありがとうございます」
嬉しそうな顔をして黙って撫でられてくれるポラール。
確かに『銅』の力でスケルトン軍団の強化はできているので、それを俺不在かつガラクシアやポラールが忙しい時に統率してくれる魔物が居てくれれば大助かりだ。
コアを通してソルジャー君に至急集合の指令を出す。
とりあえず選びやすいように魔名カードと聖魔物を並べておく。
何が適してるとか強くなる組み合わせかどうかはまったく分からないから、今のところ成功している魔物自身に選んでもらう作戦で行く。
少しすると至急集合だったためカシャカシャと頑張って走ってくる音が聞こえてくる。
ソルジャー君もポラールと同じで真面目タイプで、うちのダンジョンには真面目軍とガラクシアやフレイムリザードといったサボり軍でケンカしていることがよくある。
できればソルジャー君には配合しても真面目のままで居てほしい。
「急に呼んですまないが、ソルジャー君はもっと強くなりたいか?」
カクンカクンと綺麗に磨かれた頭蓋骨が頷く。
剣を掲げて「やってやります」とアピールをしている。
本当にそう思っているかどうかは俺の判断なので分からないが、やる気は相変わらず素晴らしくあるので早速選んでもらうとしよう。
「ここにあるカード2枚と聖魔物を1個選んでほしいんだ。どれでもいい、好きなのを選んでくれ」
俺とポラールは少し離れた所で見守ることにする。
ソルジャー君は武具を置いて、じっくりとアイテムを触ったりして確認していく。
特に聖魔物は気になるものが多いのか悩んでいるようだ。
5分ほどすると、こっちを向いて決まったというようなオーラを出していたので確認してみると、しっかり3つのアイテムが選ばれていた。
1.魔名カード『聖騎士王』 ランクSS
2.魔名カード『無敵要塞』 ランクEX
3.魔名カード『大罪』 ランクS
4.聖魔物『
選んであった3つに『大罪』を足したラインナップを見てみるとポラールと同じように種族的に合わなさそうな物を選んでいる。
アンデッドに『聖騎士王』なんて混ぜたら消滅しちゃうんじゃないかって思うけど本人が選んだのならきっと大丈夫だと信じよう。
「これで本当に良いんだな?」
カクンカクンと頭を動かして肯定を示してくれるソルジャー君。
その行動を確認してコアを操作する。
配合を選択し4つのアイテムを決めてDEを支払う。
4つのアイテムがソルジャー君の周囲に浮かび、光となって吸い込まれていく。アンデッドに対して聖剣と聖騎士の形がどうように影響されるかは分からないけど、見ているこちらもドキドキする。
でも1つ言えるのはどんな魔物になろうとも『罪の牢獄』の大事な一員であることには変わらない。
ランク差なんて気にせず、いつか色んな人や魔族が楽しく暮らせる理想郷にしたいと思っているから、そこも守る守護神として真名を授ける。
「頼むぞ『アヴァロン』」
配合中であるが真名を授ける。
ソルジャー君は大きく輝き、どんどん巨大な光となっていき少しずつ現れたのは巨大な鎧だった。
右半分を白と金色を、左半分を黒と銀色をした重鎧がそこには立っていた。
3mを超えるであろう巨大な鎧は獅子を思わせる兜に紅色のマントもあり、大きさ以上の威圧感を放っている。
右手に持つ巨大な大剣に左手に持つ盾も立派だ。骨だったソルジャー君時代にはない体格を思わせる幅の広さもある魔物へと変わっていた。
【ヘラクレス・アビス】 アンデッド族 ランクEX Lv955
真名 アヴァロン 使用DE??
ステータス 体力 EX+99 物理攻 EX+99 物理防 EX+99
魔力 SS+91 敏捷 S+84 幸運 EX+99
アビリティ ・『
・『
・『
・武神の極致 EX
・火を以って毒を制す EX
・神々の加護 EX
スキル ・『
・『
・無価値にする一撃 EX
・剣神剣技 EX
・神の権能 EX
・絶対的守護神 EX
スケルトン系統+『大罪』+守護系魔名ランクSS以上2つ+武器系聖魔物ランクEX
・気になる兜をとったらスケルトンなので注意。
・勇敢なアンデッドに聖なる力と神の加護が宿った究極の鎧である。同種族が居ればいるほど防御力があがり、1人になればなるほど攻撃力が上がる特徴がある。
・俊敏性が少し劣っているが遠距離でも十分戦える力があるので安心。
これで今のところ『大罪』を使った配合はぶっ壊れたような魔物が誕生してしまっているがいいのか?
ランクEXはリーナも知らないようなランクなのにアヴァロンで3体目だ。
もしかして他の魔王もしっかりとした配合をすればランクEXは簡単に生まれるものなんじゃないかという感じがしてきてしまう。
でもまずはアヴァロンにしっかり挨拶をしないとな。
「改めてよろしく頼むアヴァロン。これからも一緒に戦ってほしい」
ガシャンッ! と膝をついて意を示してくれるアヴァロン。
これ以上にないダンジョンの守護神としての力を持っているし、何より巨大な鎧だけあってか安心感がすごくある。
ポラールがアヴァロンの力を見たいと言い出したので2人で闘技場に行ってしまったが、とりあえず残り1体の配合をしておきたい。
『大罪』は使用できないが、魔名カードと聖魔物は机の上に並べたままなので、どうせならこのままやっておきたい。
コアを使ってブリザードイーグルを召喚する。
すでに物の準備は済んでいるので召集より手早い転移で移動してもらう。
相変わらず大人しいブリザードイーグルを撫でながら話しかける。
「好きなもの4つまで選んでくれ、カードが3枚で他が1個までだ」
特に鳴き声をあげて応答するわけでなく、机の上に飛んで着地してキョロキョロと物色している。
ブリザードイーグルもうちのダンジョン内では真面目組なので前の2体と同じような感じで選ぶのだろうか?
個人的には『水神』なんかが相性良さそうな気がするけど何を選ぶかな?
3分ほど経って、決まったのか口にくわえて俺に渡しに来てくれる。
予想を超えたラインナップに少し驚いてしまう。
1.魔名カード『轟雷』 A
2.魔名カード『轟雷』 A
3.魔名カード『コピー』 SS
この3枚だった。
『コピー』のカードは手元にある魔名カードと同じものになれるカードだけど、もしかして…。
「3枚とも同じがいいのか?」
ブリザードイーグルはコクコクと頷いてくる。
属性が全然違う雷系統をしかも3枚同じものって凄い統一感だし、悪いことにはならなさそうだが意外だった。
ブリザードイーグルの言う通りに『轟雷』を3枚にして配合を開始する。
これで今月の配合は使い切ることになるが、毎月悩まなきゃいけないのは逆に大変に感じそうだな。
3枚のカードが光となりブリザードイーグルに吸い込まれていく。
大きさは特に変わる様子は見られず、現れたのは全身青から数本の黄色のラインが体に追加されたブリザードイーグルだった。
【真雷氷幻鳥】 幻鳥族 ランクS 真名 無し 使用DE20000
ステータス 体力 A 物理攻 B 物理防 A
魔力 SS 敏捷 S 幸運 S
アビリティ ・凍てつくオーラ S
・雷氷の支配者 S
・空の支配者 S
・天候の指揮者 A
・空飛ぶ避雷針 SS
スキル ・雷氷魔法 S
・天地轟雷 S
・氷空落槌 S
・高速滑空 S
・天嵐 S
・単独行動 S
・『轟雷結界・エレクトリカル』 S
氷鳥族+雷系統魔名カードランクA以上3枚
雷鳥族+氷系統魔名カードランクA以上3枚
・嵐の中を生きる雷氷を支配する幻鳥。天候を操作しながら敵の射程外からの攻撃で仕留めるスタイル。
・結界魔法が使用できる数少ない鳥族である。
カードを任せた結果見事正解を導き出したような結果だ。よかった俺がオススメしていた『水神』とか推さなくて…。
パッと見た感じ、今存在しているダンジョンエリアでは適したものがないのでダンジョンルームを追加しないといけない。
でも追加するべきなほどの強さを持って生まれてきてくれた。
性格も変わっていないようで、特に鳴き声をあげるわけでもなく、ただひたすら撫でられていてくれるいい子であった。
とりあえずダンジョン弄らないと。
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